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「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例32(法人税)】 「土地の売却益を圧縮するため、特定資産の買換えの圧縮記帳を適用して申告したが、土地の面積制限により修正申告となった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例32(法人税)】   税理士 齋藤 和助       《基礎知識》 ◆特定資産の買換えの圧縮記帳(租税特別措置法65条の7) 法人が、特定の資産(譲渡資産)を譲渡し、譲渡の日を含む事業年度において特定の資産(買換資産)を取得し、かつ、取得の日から1年以内に買換資産を事業の用に供した場合又は供する見込みである場合に、買換資産について圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を損金経理により減額する等の経理をしたときは、その減額した金額を損金の額に算入する圧縮記帳の適用を受けることができる。 なお、長期所有の土地等(所有期間が10年を超える土地、建物、構築物等)に係る譲渡につき、買換えによって取得した資産が土地等である場合には、その面積が300㎡以上であるものに限られる。       (了)

#No. 146(掲載号)
#齋藤 和助
2015/11/26

〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第19回】「請負に関する契約書③(請負に関する契約書③(機械の売買契約~一の文書とは)」

〈Q&A〉 印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第19回】 「請負に関する契約書③(機械の売買契約~一の文書とは)」   税理士・行政書士・AFP 山端 美德   当社は大型機器販売会社です。 機器(規格品)を販売するにあたり、機器の引渡しには組立据付工事費を請求する場合としない場合があります。 見積書を袋とじにし、契印が押されていますが、この場合、印紙税の取扱いはどうなりますか。 【事例1】 【事例2】     【事例1】は組立据付工事の請負については定めておらず、単なる機器の売買に関する契約書に該当する。【事例2】は据付工事を請負うことに合意しており、第2号文書(請負に関する契約書)に該当する。   [検討1]  一の文書に該当するか 契約見積書には契約当事者双方の署名、押印はなく、各売買契約書に、それぞれ袋とじにされて、契印が押されている。契約当事者双方の署名、押印は売買契約書にされており、契約当事者は、契約見積書の内容を含めたところで合意し、売買契約書において双方署名、押印を行ったとみられる。 したがって、売買契約書、契約見積書は印紙税法上の「一の文書」と認められ、売買契約書が課税文書に該当するか否かについての判断は、売買契約書及び契約見積書に記載されている事項を含めたところで総合的に行うこととなる。 [検討2] 「請負に関する契約書」と「物品の譲渡に関する契約書」のいずれに該当するか 【事例1】のように、売買契約書において「組立据付工事は一切含まない」とあるのは、契約見積書で提示された組立据付工事について、請負うことまでを含めない旨合意した契約書であるため、機器の売買に関する契約書となる。 他方、契約見積書に工事を行う旨の記載があり、【事例2】のように「据付工事を行わない」など、明確に組立据付工事を行わない旨の記載がないものは、工事を請負うことに合意した契約書であり、第2号文書(請負に関する契約書)に該当することとなる。 なお、「請負に関する契約書」と「物品の譲渡に関する契約書」との判別が明確でないものは、契約当事者間の意思が仕事の完成と、物品の譲渡のどちらに重きをおいているかによっても判断することとなる。この場合は大型機器の売買であり、規模からみても家庭用電気器具の取付けのような物品の譲渡に付随する簡単な工事ではない。 組立据付工事が終了して初めて機器の使用ができることから、この売買契約書は、仕事の完成に重きをおいたものである。   ▷ まとめ   ◆ 一の文書の意義(基通5) ◆ 請負に関する契約書と物品の譲渡に関する契約書との判別(基通別表1第2号文書2(抜粋)) (了)

#No. 146(掲載号)
#山端 美德
2015/11/26

改正電子帳簿保存法と企業実務 【第6回】「国税関係書類のスキャナ保存(1)」

改正電子帳簿保存法と企業実務 【第6回】 「国税関係書類のスキャナ保存(1)」   税理士 袖山 喜久造   前回までは、国税関係帳簿書類に係るデータ保存にあたっての問題点や税務調査への対応等について解説した。今回からは、平成17年の電子帳簿保存法(以下、「電帳法」)の改正で導入された国税関係書類のスキャナ保存について解説する。   1 スキャナ保存制度の要件緩和の経緯 スキャナ保存制度の規制緩和の内容については、【第3回】において概略を解説したが、今回から数回にわたり、国税関係書類のスキャナ保存制度について詳細に解説する。 国税関係書類のスキャナ保存に関する電帳法の規定は、平成17年に施行されたe-文書整備法に基づいて改正され盛り込まれた制度である。しかしながら、国税関係書類のスキャナ保存に係る入力要件や保存要件が厳格であったために、今年で改正法の施行から10年経過したにもかかわらず、承認件数が150件余りと低調であった。このことについては、かねてから経済団体等からの規制緩和要望や、内閣官房の規制改革会議などで民間事業者等の電子化の阻害要因となっていた電帳法のスキャナ保存に関する規定の改正が望まれていたものである。 今後は民間事業者等の電子化の流れを止めることなく推進していくため、一定の統制のとれた環境で作成された国税関係書類のスキャンデータについては、さらに規制緩和が進められていくであろう。   2 スキャナ保存の保存要件の厳格性 なぜ国税関係書類のスキャナ保存の規定が厳格なのか、それは国税関係書類が税務行政の運営上、非常に重要な位置づけとなる証憑であり、その書類の真正性を担保することが必要であったからである。 我が国において収益事業を営めば、一定の期間を区切りその期間の収支について計算を行い税法に基づいて所轄税務署に申告を行うこととなる。法人であれば事業年度単位での申告となる。税務署に提出された申告書は税務当局において必要と判断されれば、国税通則法で規定されている質問検査権に基づいて正しく申告がされているかを確認することになる。これが税務調査である。 税務当局は強い権限をもって、申告書に記載されている内容や日々の取引、決算処理などについての事実認定を行い申告漏れがないかどうかを確認する。その結果、法令に基づいた会計処理や税務処理がされていないことが明確になれば、調査に基づく修正申告書の提出を促されたり、あるいは更正処分といった行政処分が行われるのである。 税務当局が更正処理を行った場合、その処分について不服がある場合には、納税者側には、異議申し立て、不服審査請求や税務訴訟といった救済措置がある。この場合、税務当局側は行政処分を行ったその事実を証明する挙証責任の割合が非常に高い。このために帳簿の備付、保存や書類の保存については紙のものであっても厳格な規程がある。これら帳簿書類が紙でなく電磁的記録であれば、なおさら厳格になる。なぜならば電磁的記録は紙の帳簿書類と比較して容易に改ざんや書き換えが可能であり、改ざん等の後を全く分からなくすることも容易にできるからである。 我が国の申告納税制度は、税務調査により一定程度の税務コンプライアンスを維持しており、この税務調査の根幹をなす帳簿と書類の保存がきちんとされなければ、税務行政の運営に著しく支障が生じるわけである。 このために電帳法第1条では、 と規定されており、納税者等の帳簿書類の保存に係る負担を軽減することを目的とするのであるが、納税義務の適正な履行を確保するため、つまり税務調査に支障を生じる程度のデータの作成や保存は認めていない。データの保存に当たっては、帳簿書類の電磁的記録の真正性の担保のための一定の保存要件等を規定しているのである。   3 e-文書法との関係 平成15年頃、経済団体等から、様々な法律で保存が義務付けられている紙の書類が、民間業務運営の効率化の阻害要因となっているとして、書類の電子保存化について強い要望が行われた。このような状況を踏まえ、民間事業者等の利便性の向上、経済発展に寄与するため、当該事業者等に対して書面の保存が法令上義務付けられている場合について、税務関係書類を含めた原則としてすべての書類に係る電磁的記録による保存等を行うことを可能とするため、e-文書法が平成17年4月に施行された。 e-文書法は、「e-文書通則法」と「e-文書整備法」の2つの法律で構成される。 e-文書通則法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)は、民間事業者等が電磁的記録による保存等をできるようにするための共通事項を定めたものであり、通則法形式の採用により、約250本の法律による保存義務について、法改正せずに電子保存ができるとする法律である。 一方、e-文書整備法(民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律)は、文書の性質上一定の要件を満たすことを担保するために行政庁の承認等特別の手続が必要である旨の規定等、e-文書通則法のみでは手当てが完全でないもの等について、約70本の個別法の一部改正により、所要の規定を整備している。 税務関係書類については、適正公平な課税の確保のため、税務署長の事前承認を要件としており、e-文書整備法において電帳法を改正して措置したのである。   4 スキャナ保存の検討 今年度の電帳法施行規則の改正により、国税関係書類のスキャナ保存に関する要件が緩和された。改正後の保存要件は次表のとおりとなる。 【スキャナ保存要件一覧表(平成27年9月30日以後申請分)】 ※画像をクリックすると別ウィンドウでPDFが開きます (注1) 電帳法施行規則第3条の該当箇所を指します。 なお、丸囲いの数字は「項」を、漢数字は「号」を表します。 (注2) 「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第3条第6項に規定する国税庁長官が定める書類を定める件(平成17年国税庁告示第4号)」に定める書類が該当します。 (注3) 当該電磁的記録の作成及び保存に関する事務の手続を明らかにした書類(当該事務の責任者が定められているもの)の備付けを行う必要があります。 保存要件等は緩和されているとはいえ、書類のデータの真正性は厳格に確保するべきである。そのためには、入力方法については、ルールを作成し、入力者が誰であってもきちんとデータが保存されることが必要である。なぜならば、入力作業が終了し、一連の入力事務等についての検査が終了すれば、原本は破棄されるからである。 電帳法では青色申告や連結申告の承認要件の1つである国税関係書類の保存の要件を、当該スキャンデータの保存をもって紙の保存に代えているのであり、法定保存期間にわたって整然とした形式で明瞭な状態でこのデータが確認できなくてはならない。当該スキャンデータの保管がなければ、当然これらの優遇制度の承認の取消要件となるので、注意が必要である(もっとも私見であるが、これらのデータがないことだけをもって承認が取り消される運用はされないと思われる)。 このようなスキャナ保存の導入の検討に当たっては、まずどの業務で作成あるいは受領したどの書類を電子化したいのかを明確にする必要がある。申請された書類が紙で保存されていたり、データで保存されたりすることはできないのである。 また、電子化することで社内にどのようなメリットがあるのかを明確に説明できなければ導入に至らないことが多く、まず法的要件を検討する前には「何を申請するか」、「何のメリットがあるか」について検討する必要があろう。 *   *   * 次回からは、スキャナ保存の法的要件について詳細に解説する予定である。 (了)

#No. 146(掲載号)
#袖山 喜久造
2015/11/26

国境を越えた役務の提供に係る消費税課税の見直し等と実務対応 【第6回】「国外事業者が行う芸能・スポーツ等に係る消費税の課税方式の見直し」

国境を越えた役務の提供に係る 消費税課税の見直し等と実務対応 【第6回】 「国外事業者が行う芸能・スポーツ等に係る消費税の課税方式の見直し」   国際医療福祉大学大学院准教授 税理士 安部 和彦   5 国外事業者による芸能等の役務提供に係る消費税 (1) 制度の概要 国外事業者が国内において行う芸能・スポーツ等の役務の提供について、その取引に係る納税義務を、役務の提供を行う事業者から役務の提供を受ける事業者に転換することとなった。これは【第4回】4(4)で説明した「リバースチャージ方式」の導入を意味する。当該改正は、平成28年4月1日以後に行われる役務の提供について適用される。 当該制度を図示すると以下のとおりとなる。 【国外事業者による芸能等の役務提供に係るリバースチャージ方式】 国内において特定役務の提供を行う国外事業者は、リバースチャージ方式が適用される国内事業者に対して、その取引がリバースチャージ方式の対象となることを表示しなければならない(消法62)。 なお、特定役務の提供を受けているため、リバースチャージ方式による申告納税義務を負う事業者に関しては、事業者向け電気通信利用役務の提供を受ける場合と同様に、特定課税仕入れがある課税期間の課税売上割合が95%以上である場合には、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとして消費税法の規定を適用することとされている(経過措置、改正法附則42)。 (2) 制度導入の背景 このような税制改正が行われるようになった背景には、会計検査院の指摘(※1)があったものと考えられる。会計検査院は、平成21年から24年までの課税期間に係る外国人スポーツ選手や芸能人ら延べ276人につき、その消費税の課税状況を確認したところ、課税漏れの可能性のある「消費税の確定申告を確認できなかった者」が延べ102人いた。そのうち、基準期間の課税売上高が1,000万円を超すため消費税の納税義務を有する可能性が高い者が延べ30人おり、その中で課税期間に支払われた報酬が確認できた者が延べ20人、その合計額が4億5,716万円であった。 (※1) 会計検査院『平成25年度決算検査報告(第3章第1節第7財務省)「消費税の申告審理等において国内で人的役務の提供等を行った非居住者に係る報酬等支払調書を活用することなどにより、消費税の納税義務のある非居住者を的確に把握して課税を行うよう改善させたもの」』177~181頁。 また、上記延べ102人のうち、基準期間の課税売上高が確認できず納税義務の有無が不明な者が64人おり、その中で課税期間に支払われた報酬が確認できた者が延べ12人、その合計額が5億2,533万円であった。 【会計検査院の調査結果】 (出典) 会計検査院前掲(※1)報告180頁 上記検査結果は、外国人スポーツ選手や芸能人への報酬の支払いに関する消費税の課税漏れがあることを意味するものと考えられるが、それが生じる原因として、会計検査院により、課税庁内部の報酬等支払調書の回付の体制の不備があること等が指摘されていた。 それを受けて課税庁は、課税の実効性をより高めるため、国内の事業者に消費税の納税義務を課す「リバースチャージ方式」の導入に踏み切ったものと考えられる。 (3) 特定役務の提供の意義 今回の改正で、国内において外国人タレント等が行う役務の提供のうち一定のものを「特定役務の提供」と位置付け、当該特定役務の提供を受ける行為(「特定課税仕入れ」)に対して消費税の申告納税義務を課す、前述のいわゆる「リバースチャージ方式」(【第4回】参照)が導入された。 特定役務の提供は、消費税法上、資産の譲渡等のうち、映画もしくは演劇の俳優、音楽家その他の芸能人又は職業運動家の役務の提供を主たる内容とする事業として行う役務の提供のうち、国外事業者が他の事業者に対して行う役務の提供であると定められている(消法2①八の五、消令2の2)。ただし、「電気通信利用役務の提供」に該当するもの、不特定多数の者に対して行う役務の提供は除かれる。 特定役務の提供を行う国外事業者は、法人のみならず個人事業者も含まれるため、例えば、プロテニスプレーヤーが国内の楽天オープンに参加し優勝して賞金を得る場合も、特定役務の提供に該当する。 一方、国外のプロモーターが国内事業者を介さずに国内でコンサートを開催する場合、それは国外のプロモーターが直接不特定多数の者に対して行う役務の提供に該当することから、特定役務の提供に該当しないこととなる。 (4) 特定役務の提供と内外判定 電気通信利用役務の提供とは異なり、特定役務の提供に関しては国内取引の判定基準の改正はなされていない(消法4③二)。そのため、役務提供者が誰であるかにかかわらず、役務提供地が国内である場合には、国内取引に該当することとなる。 (了)

#No. 146(掲載号)
#安部 和彦
2015/11/26

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第4回】「遡及立法事件」~最判平成23年9月22日(民集65巻6号2756頁)~

さっと読める! 実務必須の [重要税務判例] 【第4回】 「遡及立法事件」 ~最判平成23年9月22日(民集65巻6号2756頁)~   弁護士 菊田 雅裕   (了)

#No. 146(掲載号)
#菊田 雅裕
2015/11/26

これだけ知っておこう!『インド税制』 【第5回】「インドのサービス税」

これだけ知っておこう! 『インド税制』 【第5回】 「インドのサービス税」   公認会計士・税理士 野瀬 大樹   サービス税を簡単に言えば「モノではなくサービスにかかる消費税」となる。サービスは製造業であってもメンテナンスなどが結局サービスに分類されるので、おそらくほとんどの日系企業が関わりを持つことになる。今回はこのサービス税について、その概要を押さえることとする。   1 サービス税とは? サービス税とは、インド国内での「特定」の「サービス」に対して課せられる間接税である。 税率は基本税率が14%、それに加えてSwachh Bharat Cessが0.5%かかるため、実質的には14.5%の税率となる。従来税率は12%だったのだが、今年(2015年)の7月より14%に引き上げられている。 またSwachh Bharat Cessとは、モディ政権が掲げている「インドを綺麗にしよう」というキャンペーンのために特別に徴収されているもので、日本の復興税をイメージすると分かりやすいかと思われる。こちらはつい最近、今年の11月15日より導入されたのだが、これが決まったのがなんと11月7日。 インドではこういったことは日常茶飯事であり、絶え間ない情報収集とタイムリーな実務上の反映(インボイスの差し替えなど)が必要となる。 さて、課税の対象となる「サービス」なのだが、これは条文により事細かに定められており、その範囲は毎年拡大している。「ここに明記されている項目以外はサービスとみなす」という「ネガティブリスト」が発表されて以降は、ようやくその範囲も明確になったと言える。 最近では2015年の法改正により、このネガティブリストが改定され、アミューズメントサービス、飲料用アルコールの製造に関わるサービスが課税の対象になるとされた一方、政府・地方政府から企業へのサービスについては、非課税である旨が確定している。 またこのネガティブリスト以外に、例外規定も存在しており、こちらも2015年の法改正により、公共電話、宝くじの手数料・マーケティング費用が課税されることとなり、一方、インド国内輸出業者に国外エージェントが提供するサービスについては免税とされた。   2 サービス税納付の仕組み サービス税納付の仕組みは、物品税と基本的に同じである(インドの物品税については前回を参照されたい)。こちらも日本の消費税と同様に「受取サービス税」と「支払サービス税」を相殺してその差額分だけを納付する仕組みになっている。そしてこの金額を毎月正確に計算し、物品税と同様、翌月の5日までに納付をする必要があるので、こちらも経理部や会計事務所の事務作業は非常にタイトなスケジュールが求められる。   3 特殊な税率「アベイトメント」 サービス税についても物品税と同様特殊な税率が存在する。基本は先ほど示したように14.5%だが、サービスの内容によっては税率が異なる。物品税でも同様の制度は存在したが、サービス税の場合はそれがさらに複雑なのである。 たとえば、インドのレストランで食事をすると、そのレシートに記載されるサービス税率は14.5%ではなく5.8%となる。それは「レストラン」というビジネスの性質に起因する。確かによく考えるとレストランの場合「どこまでがモノで、どこまでがサービスか」の判断は難しく、その価格すべてに基本税率14.5%をそのまま使用するのは議論の余地があるだろう。 このような場合、14.5%の税率を乗じるのではなく、うち価格の40%がサービスであると考え、14.5%×40%=5.8%となるのである。この引き下げ幅(この場合は60%)のことを「アベイトメント」と言い、このアベイトメント料率は法令により事細かに定められている。さらには、このアベイトメント料率、頻繁に改正されるのが厄介で、筆者がよく行くレストランでもレシートを見ると法改正に対応しきれておらず、間違っていることもあるぐらいである。 最近の改正だと、ビジネス・ファーストクラスの運賃に関するものが40%から60%に、陸運・鉄道・海運輸送に関するものが従来バラバラだったが30%に統一された。 このアベイトメント料率は、ビジネスの内容、その契約形態などにも依存するため、「モノとサービスが組み合わさったビジネス」を展開する場合は、事前に会計士と入念な打ち合わせを要する。間違った税率の使用は、税務調査のリスクに加え顧客からのクレームも予想されるからである。   4 源泉徴収とサービス税 サービス税に付随して、実務上よくある問い合わせを補足する。 日本と同様、インドにも源泉徴収制度が存在する。主にサービス売上げに関して源泉税が生じるのであるが、その源泉税の計算をサービス税込みの金額から計算するのか、サービス税抜きの金額から計算するのかが近年まで不透明であった。 たとえば、家賃に関する源泉税はサービス税抜きからの計算であり、それ以外はサービス税込みからの計算・・・というのが慣例であったが、近年それが「サービス税抜きからの計算」に統一されたので、この点留意が必要である。 余談だが、この解釈の統一もある日突然通達が出され「明後日から」という急な変更であり、この点もインドの税会計に携わる身としては難しいところである。   5 サービスの輸出入について サービスの「輸出」についても日系企業から問い合わせが多いので、ここで補足する。 インドから日本へサービスを「輸出」した場合は、インド国内がその費消地にならないので、基本的にサービス税は免税となる。逆に言うと、サービスの提供地が明らかにインド国内である場合はサービス税を徴収・納付する義務があるので、このあたり注意が必要である。たとえば日本の企業向けにイベントや展示会を「インド国内で」提供した場合は、その内容がサービスであればサービス税が課される。 このように「サービスの輸出」とみなされるかどうかは議論の余地が残るので、後から税務当局による突っ込みどころになりやすいとも言える。そもそものビジネスの内容、インボイスの記載方法など、事前に専門家に相談することが望ましい。 (了)

#No. 146(掲載号)
#野瀬 大樹
2015/11/26

[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第4回】「グループ企業管理に関わる基本的方針(その1)」 ~親会社は全社的な統制とグループ会社の自主・独立性をどのように調和させるのか?~

[子会社不祥事を未然に防ぐ] グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第4回】 「グループ企業管理に関わる基本的方針(その1)」 ~親会社は全社的な統制とグループ会社の自主・独立性をどのように調和させるのか?~   弁護士 遠藤 元一   親会社は、親会社の企業理念・価値観に基づいて経営を行う必要から、コード・オブ・コンダクト(行動規範)を策定し、グループ会社にも親会社の企業理念・価値観を共有してもらうことがグループ会社経営の出発点となる。 そしてその次に問題となるのは、「どのようにグループ会社を管理すべきか」である。   1 グループ会社管理規程を定めて全社的な統制を図る 親会社も子会社の管理業務を行う役職員の人数が限られており、全てのグループ会社に対して逐一個別の監視・監督を及ぼすことは現実的ではない。また、子会社を親会社内の各部門と同様に位置付けて、一律にマイクロマネジメントを及ぼし、管理者が子会社に直接的な指揮命令を行い細部にまで干渉すると、子会社の独自性・自立性が損なわれるうえに、親会社としての管理責任を問われる法的リスクを抱えることにもなりかねない。 管理自体が目的化し、形式的・ルーチンな報告要求が繰り返されたり、子会社が親会社に情報を提供し、あるいは事前承諾を求めても、親会社の管理担当者が多忙で手が回らない等の理由から迅速に反応できないと、子会社の事業を停滞させ、モチベーションを低下させることも生じる。 親会社が全社的な観点からどこまで統制を及ぼし、どこまで自律性・独立性を尊重すべきか、そのバランスをどこで図るのか、メリハリの利いた管理をどのように実現するかは難問である。 多くの企業は、グループ会社管理規程を定め、規程の中で全社的な統制を図る範囲と、自律的・独立性を尊重する範囲とを取決めしている。グループ会社管理規程は、グループ会社管理の基本方針やグループ会社管理の具体的な方法等を定めることで、グループ会社が売上や収益目標のみならず、コンプライアンスに対する取組みの指針にもなる。親会社にとって子会社の実効的な管理を実現するツールとなるだけでなく、子会社にも法令・定款、管理規程を遵守することで効果的にグループ会社としての責任を果たすことにつながるという意味でも有用である。   2 グループ会社管理規程を策定する際の留意点 では、親会社による全社的な統制と子会社の自律性・独立性とのバランスをとったグループ会社管理規程を策定するには、どのような点に留意すればよいのか。 これは、論理的に一律に決まるものではないが、例えば、次のように考えることが合理的な方法の1つであろう。 (1) グループ会社の範囲の明確化 まず、グループ会社の範囲を明確化する必要がある。会社法・施行規則で企業集団の範囲が明文化されているので、それで企業集団とされている会社群をグループ会社の範囲とする、つまり連結子会社をグループ会社とすることが合理的と思われる。 ただし、会社法等が規定する連結子会社に該当しない会社であっても、 上記のような様々な事情が認められ、親会社としては統制を及ぼすことが相当と判断される会社については、グループ会社に含めて規程を定めることが適当である。 なお、会社法等が規定する連結子会社の範囲を広げてグループ会社に取り込む場合、連結子会社とそれ以外の関連会社に分けること、また、連結子会社も、 上記のように分けることが統制の範囲・程度を検討する上で有用であろう。 (2) グループ会社の管理部門・役割を特定・明確化 次に、グループ会社の管理部門・役割を特定・明確化することが必要である。 大別すれば、グループ会社の管理を一定の部署(例えば関連統括部等)に集めて、同部署が統一的・集中的に管理するのか(一元管理型)、それとも各事業部門(管掌部門)がそれぞれ管理することに委ねるのか(分散管理型)のどちらかの管理態様をとることになる。 グループ会社をどちらの管理型に振り分けるかは、親会社の部門の事業の範囲の広狭、(【第5回】で詳述する)リスクベース・アプローチによるリスクの程度、コーポレート部門(管理本部)の担当者の人数等を考慮して決定することになる。親会社の部門が扱う業種が単一、又は複数でも少ない場合は、一元管理型で足りる。この場合、「関連事業部」、「グループ統括部」等の名称の部署がグループ会社の統一的な窓口となっていることが通常である。 多種多様にわたる場合には一元管理ではなく分散管理型となるが、分散管理型も、製品カテゴリーや地域等の区分をもとに業績管理を行う「事業部制」と、事業毎にカンパニーを立ち上げ、カンパニーに人事権や投資権等の裁量を委ねるいわゆる「カンパニー制」とに分けることができる。 カンパニーには社内で設ける「社内カンパニー」と、会社自体を分ける「社外カンパニー」とがあり、社外カンパニー制では各カンパニーの株式を保有するホールディングカンパニーを通じた管理を行う。社内カンパニー制では親会社によるグループ会社に対しての統一的・集中的な管理が可能であるが、社外カンパニー制の場合は、グループ会社としての統一性や集中的な管理を行うことより、ホールディングカンパニーに管理を移行することで、カンパニーの効率的な経営による変化・成長等がグループ全体の方向性をボトムアップし、規律付けしていくことが期待されている。 なお、リスクベース・アプローチにより高いリスクが認識されるグループ会社は、リスクの認識と評価を定期的に行って、当該グループ会社が抱えるリスクを見直し、直近に認識したリスクに対して既存の対応策で不十分なところはないかを見直すというPDCAを実践する必要があるが、これをグループ会社の自主独立性に委ねるのではなく、親会社の事業主管部が法務部門等の協力を得ながら、行うことが必要であり、一元管理型で管理することになる。またコーポレートガバナンス部門(管理本部)担当者の人数がグループ会社の数に比べて必ずしも多くない場合も、一元管理型を選択せざるを得ない場合が生じる。 以上のように、グループ会社の規模、事業の範囲、抱えるリスクの程度等によって管理形態・組織を決定することになるが、グループ会社管理規程の策定やその改定等自体は、親会社のコーポレート部門(管理本部)が行うことが肝要である。 (3) 取引の透明性を確保するための規定を定める さらに、親会社とグループ会社、グループ会社間の取引について、取引の透明性を確保するための規定を定めておくことが重要である。 周知のとおり、グループ間取引は、独立した対等の当事者間の取引と比較すると、親会社の事業部門の意向が介在しやすく、取引条件も曖昧になりやすい。子会社からの収奪による親会社の収益向上のための不当条件による取引が横行したり、不適切会計の場としてグループ会社が利用される可能性もないとはいえない。このような非通例的な取引を牽制し、防止する規定を定めておくことが重要である。 なお、グループ会社管理規程で定められる項目としては次のようなものがある。 (了)

#No. 146(掲載号)
#遠藤 元一
2015/11/26

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第40回】株式会社東芝「役員責任調査委員会調査報告書(平成27年11月9日付)」

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第40回】 株式会社東芝 「役員責任調査委員会調査報告書(平成27年11月9日付)」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   株式会社東芝(以下「東芝」という)は、平成27年11月7日「役員責任調査委員会の調査報告書の受領及び当社元役員に対する損害賠償訴訟の提起並びに米国における訴訟等に関するお知らせ」と題するリリースを公表、週が明けた9日には役員責任調査委員会の調査報告書を公表した。 本稿では、東芝が、平成27年9月7日に過年度決算の修正を発表した後、元取締役5名に対する損害賠償請求に至った経緯を確認したうえで、報告書における役員の責任追及について検討することとしたい。 【元役員5人に対し損害賠償請求訴訟を提起するまでの経緯】   【役員責任調査委員会の概要】   【調査報告書の特徴】 1 調査手法 役員責任調査委員会(以下「調査委員会」という)の調査対象となった取締役・執行役(以下「対象役員」という)の総数は98名。調査委員会は、第三者委員会調査報告書が指摘した不適切会計に係る案件につき、対象役員へのヒアリングや書面照会により事実関係の聴取・確認を行うなどの方法で、調査を進めた。 具体的には、不適切会計の案件のうち、対象役員の善管注意義務違反等の法的責任が認められるかどうかの判断を行った後、それぞれの案件に関与した対象役員について、法的責任の有無を判断したものである。   2 損害賠償請求が相当であると判断された不適切会計に係る案件 調査委員会は、不適切会計の各案件について、わが国の公正な会計慣行や米国会計基準に照らして、違反しているかどうか、違反があったとすれば、それが損害賠償請求を相当とするものかどうか、という観点から調査を行い、以下の5つの案件について、損害賠償請求が相当であると結論づけ、関与した対象役員の法的責任の有無を判断している。 なお、以下で使用する案件名は、第三者委員会調査報告書によって使用されているものと同一である。 (1) インフラ関連案件の中のG案件 東芝の米国連結子会社であるWestinghouse Electric Company(WEC)が受注した原子力プラント建設プロジェクトにおいて、2013年度第3四半期末において4億100万米ドルの見積工事総額の増加が見込まれていたにもかかわらず、実際には2億9,300万米ドルしか計上されていなかった案件。 (2) 同じく、I案件 東芝の米国連結子会社であるToshiba International Corporation(TIC)が受注して、東芝の社内カンパニーである社会インフラシステム社が請け負った設計及び製造において、損失の発生見込みに従った損失引当金が計上されなかった案件。 計上すべきであった損失引当金の額は、2011年第4四半期末で6,380万米ドルであったが、実際に引き当てられた金額は2013年度第2四半期において、25億円であった。 (3) 同じく、K案件 東芝の社内カンパニーである社会インフラシステム社は、契約金額97億円で受注したETC設備更新工事について、2013年6月には少なくとも36億円の損失が見込まれる状態にあったにもかかわらず、見積工事原価総額の見直し及び工事損失引当金の計上を行わなかった案件。 (4) Buy-Sell取引 東芝のPC事業において、ODM先に部品を販売し、ODM先からPC完成品を購入する取引(Buy-Sell取引)において、部品の調達価格と販売価格(マスキング価格)の差額を製造原価から控除して利益計上し、未実現利益による利益の嵩上げが行われていた案件。 マスキング価格が実勢価格を大幅に上回る水準に設定されていたこと、通常の生産に必要な数量を超えた部品販売が行われていたことで、未実現利益が嵩上げされていた。 (5) キャリーオーバー案件 東芝の映像事業及びPC事業では、遅くとも2011年6月から、キャリーオーバーと称して、費用計上の先送りや海外現地法人に販売する製品の一時的な値上げにより、利益の過大計上が行われていた案件。   3 不適切会計に関与したことが認定された対象役員 上記で損害賠償請求が相当であるとした案件それぞれについて、調査委員会が「善管注意義務違反」を認定した対象役員を表にまとめると以下のとおりである。   4 損害額 (1) 相当因果関係 調査委員会は、本件における役員の法的責任が認められる任務懈怠行為について、「執行役又は取締役として、適切な会計処理を行い、若しくは不適切な会計処理を知り若しくは知り得た場合にはこれを是正するべき善管注意義務に違反する行為」であり、こうした任務懈怠行為により財務諸表の虚偽記載という結果が生じたことについて、「相当因果関係の範囲内にある」ことを認めている。 そのうえで、本件における特徴として、以下のように述べている(報告書P104)。 この記述は、「本件の特徴」というよりは、粉飾決算の一般的な特徴である。粉飾決算が会社のためにならず、会社にとって新たな損害(金銭的なものだけではなく、信用面も含めて)を生じせしめ、よって、経営者は多額の損害賠償義務を負うことは当然理解しているはずの前提条件である。にもかかわらず、東芝の旧経営陣は粉飾に手を染めたという点で、強く法的責任を問われているのではないかというのが、筆者の理解である。しかし、調査委員会の記述は、合理的な損害賠償請求額を検討すべきであるという主張を補強するかのように読みとれる。 (2) 具体的な損害の範囲 調査委員会は、不適切な会計処理に起因して発生する「無用な支出若しくは損失」について、次の3項目を挙げている(報告書P104以下)。 ①の具体例としては、過年度決算の修正のために業務を委託した会計専門家に対価として支払った報酬が、②の具体例としては、すでに徴求されている上場契約違約金(東証9,120万円、名証1,740万円)に加え、金融商品取引法により課され得る罰金、課徴金が、それぞれ挙げられており、「本件不適切会計処理に関与した各役員の任務懈怠行為から生じた社会通念上相当な損害と認められる」と締め括っている。 一方、信用毀損については、「金額的に算定することは困難である」としながらも、損害が生じたことは認めざるを得ないとしている。 (3) 損害賠償請求額 調査委員会は、「報告書作成日現在において」認定した損害について、①会計専門家に支払った報酬額、②東証・名証に支払った上場契約違約金、③信用毀損相当額としたうえで、「これらのうち相当因果関係が認められる範囲内で、責任追及対象役員らからの回収可能性等も斟酌した額の一部を当面の請求として、損害賠償を求めることが相当である」と結論を述べているが、具体的な請求額についてのコメントはない。 また、今後、罰金・課徴金をはじめとする不適切会計処理に起因する損害が発生した場合には、「追加的請求をすることは可能である」としている。   【11月7日付リリースにより明らかにされた事項】 1 元役員に対する損害賠償請求訴訟の提起 11月7日付のリリースにおいて、調査委員会の調査報告書を受領した東芝の監査委員会は、調査委員会が損害賠償請求を行うことが相当であると判断した責任追及対象役員5名に対し、連帯して3億円の支払いを求める訴状を、東京地方裁判所に提出したことを発表した。 リリースのなかでは、現時点で判明している損害を10億円超と見込んでいること、「今後、新たな損害が発生した場合には、適時請求の拡張を検討する予定」であることが明らかにされているものの、「3億円」という訴額についての根拠は明示されておらず、「損害額の内金」という表記があるのみである。 2 米国における訴訟 7月29日付で明らかにしていた、米国カリフォルニア州における不適切会計問題に係る集団訴訟については、米国証券関連法令の適用がないこと等を理由にした訴訟の棄却を申し立てる予定であるとしている。 3 従業員の懲戒処分 また、第三者委員会で言及されている幹部従業員を中心に関与した従業員26名についても、11月9日付で懲戒処分を実施する予定であることが公表された。   【ウエスチングハウス社の減損】 11月7日、東芝の2015年度第2四半期決算説明会において、発表者である平田政善代表執行役上席常務は、米国連結子会社ウエスチングハウス社(WH社)の単体決算において、2012年度、2013年度減損処理を行っていることを明かしたうえで、東芝の連結決算においては、WH社全体のバリューを勘案したうえで、減損はしていないとコメントした。 公開されている説明会資料及び説明会の動画では、WH社がどの程度の減損処理を行っているのかはわからないが、11月12日、日経ビジネスオンラインが「スクープ 東芝、米原発赤字も隠蔽」という記事を公表した。 記事の中では、WH社の2012年度の減損額が約1,110億円、2013年度が約480億円であるとされ、この2年間、WH社は単体で赤字に転落していたということである。 東芝は翌13日付の「当社の原子力事業に関する一部報道について」と題するリリースの中で、WH社の減損の事実を認めたうえで、連結ベースの減損テストはWH社が所属する事業部門全体として実施することから、「事業部門全体として収益が確保されていることから減損損失を計上しておりません」と結んでいる。 さらに17日には「当社子会社であるウェスチングハウス社に係るのれんの減損について」と題されたリリースを発表し、上記日経ビジネスオンラインの記事を追認するとともに、連結ベースでの減損テストについて、さらに詳細な説明を行っている。 本事件については、今後も、証券取引等監視委員会による行政処分、監査法人に対する公認会計士・監査審査会による検査、東芝が訴訟を提起した責任追及の訴えにおける主張立証のなどを通して、新たな事実が発覚した場合には、続報として寄稿させていただく予定である。 (了)

#No. 146(掲載号)
#米澤 勝
2015/11/26

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第23回】「外貨建有価証券の評価」

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第23回】 「外貨建有価証券の評価」   仰星監査法人 公認会計士 西田 友洋   【はじめに】 今回は、外貨建有価証券の評価について解説する。具体的には、外貨建満期保有目的の債券、外貨建子会社株式及び関連会社株式、外貨建その他有価証券の評価を解説する。 評価の方法は、【第13回】の「有価証券の評価」と同一であるが、外貨建てのため、決算時に円換算することがプラスされる。 なお、外貨建売買目的有価証券は、本稿では解説していない。 ※各ステップをクリックすると、それぞれのページに移動します。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (次ページ【STEP1】へ進む) (前ページ【はじめに】へ戻る) 外貨建満期保有目的の債券(満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券)の評価は、通常時の評価(減損が必要でない場合の評価)、減損の順に検討する。 ※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。 (1) 通常時の評価 外貨建満期保有目的の債券は、原則として、取得原価をもって貸借対照表価額とする(企業会計基準第10号「金融商品に関する会計基準(以下、「基準」という)」16)。 そして、外貨建ての取得原価を決算時の為替相場で換算し、換算差額は為替差損益として会計処理する(外貨建取引等会計処理基準(以下、「外貨基準」という)一2(1)③イ、(2))。 ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法(【第13回】【STEP1】参照)に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない(基準16)。 そして、償却原価法を適用する場合、償却額に係る円換算額と換算差額は以下のように会計処理する(会計制度委員会報告第4号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」(以下、「外貨実務指針」という)13)。 なお、時価のある外貨建債券であっても、満期保有目的である限り、時価評価することはない。 (2) 減損 減損とは、著しい時価(又は実質価額)の下落があり、かつ、回復可能性が認められない場合に、時価(実質価額)と貸借対照表価額の差額を当期の損失として処理することである(基準20、21、会計制度委員会報告第14号「金融商品に関する実務指針」(以下、「実務指針」という)91、92)。 外貨建有価証券の場合、「著しく下落した」かどうかは、外貨建ての時価(又は実質価額)と外貨建ての取得原価を比較して判断する。そして、減損処理を行った場合、外貨建ての時価(又は実質価額)を決算時の為替相場により円換算し、この場合に生じる換算差額は、為替差損益ではなく、当期の有価証券の評価損として処理する(外貨実務指針18、19。【STEP2】及び【STEP3】でも同様)。 そして、外貨建満期保有目的の債券の減損においては、「時価のある外貨建満期保有目的の債券(以下、①参照)」と「時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建債券(以下、②参照)」に分けて検討する。 なお、減損処理を行った外貨建満期保有目的の債券については、取得差額はもはや金利調整差額とは考えられないため、減損後は、償却原価法は適用しない(金融商品会計に関するQ&A (以下、「Q&A」という)Q25)。 ① 時価のある外貨建満期保有目的の債券の減損 時価のある外貨建満期保有目的の債券において、著しい時価の下落があり、かつ、回復可能性が認められない場合には、減損処理を行う必要がある。そのため、著しい時価の下落に該当するか否かの判断が必要となる。 具体的には、(ⅰ)50%程度以上の下落、(ⅱ)30%以上50%未満の下落、(ⅲ)30%未満の下落に分けて判断することになる。 (ⅰ) 50%程度以上の時価の下落がある場合 個々の銘柄の外貨建満期保有目的の債券の時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合には、時価が著しく下落したときに該当する。この場合、合理的な反証がない限り、時価が取得原価まで回復する見込みがあるとは認められないため、減損処理を行わなければならない(実務指針91)。 時価が50%程度以上下落した場合には、通常、合理的な反証を行うことはできず、減損処理することが多いと考えられる。 (ⅱ) 30%以上50%未満の時価の下落がある場合 時価の下落率が30%以上50%未満であっても、状況によっては時価の回復可能性がないとして減損処理が必要な場合があることから、時価の著しい下落があったものとして、回復可能性の判定の対象とされることがある。 この場合、時価の著しい下落率についての固定的な数値基準を定めることはできないため、状況に応じて個々の企業において時価が「著しく下落した」と判定するための合理的な基準を設け、回復可能性がない場合には、減損処理をする(実務指針284)。 したがって、各社で、状況に応じて50%未満の時価の下落における、著しい時価の下落の合理的な基準を設定(例えば、2期連続して時価が30%以上低下している場合等)し、毎期、減損処理が必要かどうかを判断する必要がある。 (ⅲ) 30%未満の時価の下落がある場合 時価の下落率が30%未満の場合には、「著しく下落した」ときに該当しないと考えられるため、減損処理は不要である(実務指針91)。 ② 時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建満期保有目的の債券の減損 時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建満期保有目的の債券の貸借対照表価額は、債権の貸借対照表価額に準ずるとされている(基準19(1))。償却原価法を適用した上で、債権の貸倒見積高の算定方法に準じて信用リスクに応じた償還不能見積高を算定し、会計処理を行う(実務指針93)。したがって、時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券(債券)を期末時の為替相場で換算(換算差額は為替差損益)した上で、償還不能見積高を算定する。 また、償還不能見積高の算定は、原則として、個別の債券ごとに行う(実務指針93)。 (次ページ【STEP2】へ進む) (前ページ【STEP1】へ戻る) 外貨建子会社株式及び関連会社株式(以下、「外貨建子会社株式等」という)の評価は、時価のある外貨建子会社株式等と時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建子会社株式等で検討方法が異なるので、まず時価の有無を検討する。その後に、時価及び実質価額の低下の程度を検討し、さらに、通常時の評価、減損、投資損失引当金について検討する。 ※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。 (1) 時価の有無 時価の有無により、この後の検討過程が異なる。そのため、時価のある外貨建子会社株式等の場合、「(2) 時価の著しい低下の有無」を検討する。時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建子会社株式等の場合、「(4) 実質価額の著しい低下の有無」を検討する。   (2) 時価の著しい低下の有無 時価のある外貨建子会社株式等で、時価の著しい低下(【STEP1】(2)①(ⅰ)~(ⅲ)参照)がある場合、減損が必要かどうかの検討が必要となるため、(7)①を検討する。時価の著しい低下がない場合は、(3)を検討する。 外貨建有価証券の場合、時価が「著しく下落した」かどうかは、外貨建ての時価と外貨建ての取得原価を比較して判断する(外貨実務指針19)。   (3) 時価のある程度以上の下落の有無 時価が著しく低下していないが、ある程度以上低下している場合、健全性の観点から時価の低下に相当する金額を投資損失引当金として計上することができる(監査委員会報告第71号「子会社株式等に対する投資損失引当金に係る監査上の取扱い(以下、「取扱い」という)」3.(1)、2.(2))。 時価がある程度低下している場合、投資損失引当金の計上の検討が必要となるため、(8)①を検討する。時価がある程度低下していない場合は、(6)を検討する。 (2)と同様に時価の「ある程度以上の下落の有無」は、外貨建ての時価と外貨建ての取得原価を比較して判断する。 なお、「ある程度以上の低下」の水準は「取扱い」で明らかになっていないため、各社で設定する必要がある。   (4) 実質価額の著しい低下の有無 実質価額とは、原則として、資産等の時価評価に基づく評価差額等を加味して算定した1株当たりの純資産額に所有株式数を乗じた金額をいう。この実質価額が取得原価に比べて50%程度以上低下している場合、実質価額が著しく低下している状態となる。 外貨建有価証券の場合、実質価額が「著しく下落した」かどうかは、外貨建ての実質価額と外貨建ての取得原価とを比較して判断する(外貨実務指針18)。 実質価額が著しく低下している場合、(7)②を検討する。実質価額が著しく低下していない場合、(5)を検討する。   (5) 実質価額のある程度の低下の有無 実質価額は著しく低下していないが、ある程度低下している場合、健全性の観点から実質価額の低下に相当する金額に対し投資損失引当金を計上することができる(取扱い2.(1)①、(2))。 実質価額がある程度低下している場合、投資損失引当金の計上の検討が必要となるため、(8)①を検討する。実質価額がある程度低下していない場合は、(6)を検討する。 (4)と同様に実質価額の「ある程度以上の下落の有無」は、外貨建ての時価と外貨建ての取得原価を比較して判断する。 なお、「ある程度の低下」の水準は「取扱い」で明らかになっていないため、各社で設定する必要がある。   (6) 通常時の評価 減損処理が必要ではない外貨建子会社株式等は、取得原価をもって貸借対照表価額とする(基準17)。そして、外貨による取得原価を取得時の為替相場で換算する(外貨実務指針17)。したがって、換算差額は発生しない。   (7) 減損 減損の検討は、時価のある外貨建子会社株式等と時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建子会社株式等で検討過程が異なる。 ① 時価のある外貨建子会社株式等の減損 時価のある外貨建子会社株式等における減損の検討は、時価のある外貨建満期保有目的の債券(【STEP1】(2)①参照)と同様である。 減損処理を行った場合、外貨建ての時価を決算時の為替相場により円換算し、この場合に生じる換算差額は、為替差損益ではなく、当期の有価証券の評価損として処理する(外貨実務指針19)。 時価のある外貨建子会社株式等において、著しい時価の下落があり、かつ、回復可能性が認められない場合には、減損処理を行う必要があるため、著しい時価の下落に該当するか否かの判断が必要となる。具体的には、(ⅰ)50%程度以上の下落、(ⅱ)30%以上50%未満の下落、(ⅲ)30%未満の下落に分けて判断することになる。 (ⅰ) 50%程度以上の時価の下落がある場合 個々の銘柄の外貨建子会社株式等の時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合には、時価が著しく下落したときに該当する。この場合、合理的な反証がない限り、時価が取得原価まで回復する見込みがあるとは認められないため、減損処理を行わなければならない(実務指針91)。 時価が50%程度以上下落した場合には、通常、合理的な反証を行うことはできず、減損処理することが多いと考えられる。 (ⅱ) 30%以上50%未満の時価の下落がある場合 時価の下落率が30%以上50%未満であっても、状況によっては時価の回復可能性がないとして減損処理が必要な場合があることから、時価の著しい下落があったものとして、回復可能性の判定の対象とされることがある。 この場合、時価の著しい下落率についての固定的な数値基準を定めることはできないため、状況に応じて個々の企業において時価が「著しく下落した」と判定するための合理的な基準を設け、回復可能性がない場合には、減損処理をする(実務指針284)。 したがって、各社で、状況に応じて50%未満の時価の下落における、著しい時価の下落の合理的な基準を設定(例えば、2期連続して時価が30%以上低下している場合等)し、毎期、減損処理が必要かどうかを判断する必要がある。 (ⅲ) 30%未満の時価の下落がある場合 時価の下落率が30%未満の場合には、「著しく下落した」ときに該当しないと考えられるため、減損処理は不要である(実務指針91)。 ② 時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建子会社株式等の減損 時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建子会社株式等は、子会社等の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、減損処理を行う。ただし、時価を把握することが極めて困難と認められる株式の実質価額について、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合には、減損処理をしないことも認められる(実務指針92)。 減損処理を行った場合、外貨建ての実質価額を決算時の為替相場により円換算し、この場合に生じる換算差額は、為替差損益ではなく、当期の有価証券の評価損として処理する(外貨実務指針18)。 ここでは、(ⅰ)財状状態の悪化、(ⅱ)実質価額の著しい低下、(ⅲ)減損の判定を検討する必要がある。 (ⅰ) 財政状態の悪化の判定 財政状態とは、原則として資産等の時価評価に基づく評価差額等を加味して算定した1株当たりの純資産額をいう。「財政状態の悪化」とは、この1株当たりの純資産額が、当該株式を取得したときのそれと比較して相当程度下回っている場合をいう(実務指針92)。 相当程度下回っているとは、どの程度かが基準等で定められていないため、各社で相当程度下回っている場合を決定する必要がある。 なお、財政状態の悪化がなくても、減損処理が必要な場合(下記(ⅲ)参照)があるため、財政状態の有無に関わらず、下記(ⅱ)、(ⅲ)を検討する必要がある。 (ⅱ) 実質価額の著しい低下の判定 上記(4)より、すでに実質価額の著しい低下があると判定されているため、ここで改めて判定する必要はない。 (ⅲ) 減損の判定 上記(ⅰ)、(ⅱ)より、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下している場合には、減損処理を行う。なお、子会社等の実質ベースの財務諸表や事業計画等を入手し、回復可能性(取得原価までの回復)が十分な証拠によって裏付けられる場合には、減損処理をしないこともできる(Q&A Q33、実務指針92)。減損処理をしない場合は、(8)②を検討する。 また、財政状態の悪化がなくても、以下のような場合、実質価額の著しい低下のみで減損処理を行う。 企業買収においては、会社の超過収益力や経営権等を反映して、財務諸表から得られる1株当たり純資産額に比べて相当高い価額で当該会社の株式を取得することがある。その後、超過収益力等が減少したために実質価額が大幅に低下することがある。このような場合には、たとえ発行会社の財政状態の悪化がないとしても、将来の期間にわたってその状態が続くと予想され、超過収益力が見込めなくなった場合には、実質価額が取得原価の50%程度を下回っている限り、減損処理をしなければならない(Q&A Q33)。   (8) 投資損失引当金 投資損失引当金の検討は、実質価額の低下の程度により分けて検討する。時価のある外貨建子会社株式等の場合は、ある程度以上低下している場合のみ検討する。 ① 時価又は実質価額がある程度低下している場合の投資損失引当金 時価又は実質価額がある程度低下している場合、健全性の観点から実質価額の低下に相当する金額を投資損失引当金として計上する必要があるかどうかを検討する(取扱い2.(1)①、(2)、3.(1))。 ② 実質価額が著しく低下している場合の投資損失引当金 実質価額が著しく低下しているが、回復可能性が見込めるとして減損処理を行っていない場合、回復可能性の判断はあくまでも将来の予測に基づいて行われるものであり、その回復可能性の判断を万全に行うことは実務上困難なときがある。そのため、健全性の観点からこのリスクに備えて、実質価額の低下に相当する金額を投資損失引当金として計上する必要があるかどうかを検討する(取扱い2.(1)①、(2))。 (次ページ【STEP3】へ進む) (前ページ【STEP2】へ戻る) その他有価証券とは、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式以外の有価証券をいう。そのため、その他有価証券には、株式のみならず、債券、証券投資信託等も含まれる。 時価のある外貨建その他有価証券と時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券で検討方法が異なるので、まず時価の有無を検討する必要がある。その後に、時価及び実質価額の低下の程度を検討し、さらに、通常時の評価と減損に分けて検討する。 ※画像をクリックすると、大きい画像が開きます。   (1) 時価の有無 時価の有無により、この後の検討過程が異なる。そのため、時価のある外貨建その他有価証券の場合、「(2) 時価の著しい低下の有無」を検討する。時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券の場合、「(3) 実質価額の著しい低下の有無」を検討する。   (2) 時価の著しい低下の有無 時価のあるその他有価証券で、時価の著しい低下(【STEP1】(2)①(ⅰ)~(ⅲ)参照)がある場合、減損が必要かどうかの検討が必要となるため、(5)①を検討する。時価の著しい低下がない場合は、(4)①を検討する。 外貨建有価証券の場合、時価が「著しく下落した」かどうかは、外貨建ての時価と外貨建ての取得原価を比較して判断する(外貨実務指針19)。   (3) 実質価額の著しい低下の有無 実質価額が著しく低下している場合(【STEP2】(4)参照)、(5)②を検討する。実質価額が著しく低下していない場合、(4)②を検討する。 外貨建有価証券の場合、実質価額が「著しく下落した」かどうかは、外貨建ての実質価額と外貨建ての取得原価を比較して判断する(外貨実務指針18)。   (4) 通常時の評価 時価のある外貨建その他有価証券と時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券では、通常時の評価方法も異なる。 ① 時価のある外貨建その他有価証券の通常時の評価 時価のあるその他有価証券は、時価をもって貸借対照表価額とする(基準18)。決算時の円貨額は、原則として外貨による時価を決算時の為替相場により換算する(外貨実務指針15)。 時価と取得価額の差額である評価差額は、全部純資産直入法又は部分純資産直入法のいずれかの方法により、税効果を考慮の上、貸借対照表に「その他有価証券評価差額金」として計上する。原則は、全部純資産直入法であるが、継続適用を条件として部分純資産直入法を適用することもできる。また、株式、債券等の有価証券の種類ごとに両方法を区分して適用することも認められる(以下は、全部純資産直入法を前提に解説する。基準18、実務指針73)。 決算時の為替相場で換算した際の換算差額も「その他有価証券評価差額金」として計上する(外貨建実務指針16)。 ただし、時価のある外貨建その他有価証券で債券の場合、換算差額を「その他有価証券評価差額金」として計上するのが原則であるが、容認処理として、価額変動リスク部分を「その他有価証券評価差額金」として計上し、為替変動リスク部分を「為替差損益」として計上することも認められる(外貨実務指針16)。 なお、期末に計上した「その他有価証券評価差額金」は翌期首に税効果も含めて、洗い替え処理する(基準18、実務指針73)。 《設例》 (1) 原則処理 (※1) 期末時価 13,200-取得価額10,000 (2) 容認処理 (※2) (期末時価(ドル)110-取得価額(ドル)100)×期末時の為替相場120円 (※3) (期末時の為替相場120円-取得時の為替相場100円)×取得価額(ドル)100 ② 時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券の通常時の評価 株式や証券投資信託等の場合、取得原価をもって貸借対照表価額とする(基準19(2))。 債券の場合も原則として、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額とする(基準16、19(1))。 決算時の円貨額は、上記①と同様に、原則として外貨による取得原価(又は償却原価)を決算時の為替相場により換算する(外貨実務指針15)。 決算時の為替相場で換算した際の換算差額も上記①と同様に「その他有価証券評価差額金」として計上する(外貨建実務指針16)。 ただし、時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券で債券の場合、「為替差損益」として計上する(外貨基準一2(2)、外貨実務指針16)。   (5) 減損 減損の検討は、時価のある外貨建その他有価証券と時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券で検討過程が異なる。 ① 時価のある外貨建その他有価証券の減損 時価のある外貨建その他有価証券における減損の検討は、時価のある外貨建満期保有目的の債券(【STEP1】(2)①参照)や外貨建子会社株式等(【STEP2】(7)①参照)と同様である。 ② 時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券の減損 時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券の場合、債券と株式でその検討過程が異なる。 (ⅰ) 時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券(株式)の減損 時価を把握することが極めて困難な外貨建その他有価証券(株式)は、株式発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、減損処理を行う。ただし、時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券(株式)の実質価額について、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合には、減損処理をしないことも認められる(実務指針92)。 減損処理を行った場合、外貨建ての実質価額を決算時の為替相場により円換算し、この場合に生じる換算差額は、為替差損益ではなく、当期の有価証券の評価損として処理する(外貨実務指針18)。 ここでは、(イ)財状状態の悪化、(ロ)実質価額の著しい低下、(ハ)減損の判定を検討する必要がある。 (イ) 財政状態の悪化の判定 財政状態とは、原則として資産等の時価評価に基づく評価差額等を加味して算定した1株当たりの純資産額をいう。「財政状態の悪化」とは、この1株当たりの純資産額が、当該株式を取得したときのそれと比較して相当程度下回っている場合をいう(実務指針92)。 相当程度下回っているとは、どの程度かが基準等で定められていないため、各社で相当程度下回っている場合を決定する必要がある。 なお、財政状態の悪化がなくても、減損処理が必要な場合(下記(ハ)参照)があるため、財政状態が悪化しているか否かに関わらず、下記(ロ)、(ハ)を検討する必要がある。 (ロ) 実質価額の著しい低下の判定 上記(3)より、すでに実質価額の著しい低下があると判定されているため、ここで改めて判定する必要はない。 (ハ) 減損の判定 上記(イ)、(ロ)より、財政状態の悪化により実質価額が著しく低下している場合には、減損処理を行う。なお、特定のプロジェクトのために設立された会社で、中長期の事業計画等を入手することが可能な場合、当該事業計画等において、開業当初の累積損失が一定期間経過後に解消されることが合理的に見込まれており、かつ、その後の業績が当該事業計画等を大幅に下回っていなければ、当該会社の株式の実質価額の下落は恒久的なものではないとして、減損処理の対象としないことができる(Q&A Q33、実務指針92)。 また、財政状態の悪化がなくても、以下のような場合、実質価額の著しい低下のみで減損処理を行う。 企業買収においては、会社の超過収益力や経営権等を反映して、財務諸表から得られる1株当たり純資産額に比べて相当高い価額で当該会社の株式を取得することがある。その後、超過収益力等が減少したために実質価額が大幅に低下することがある。このような場合には、たとえ発行会社の財政状態の悪化がないとしても、将来の期間にわたってその状態が続くと予想され、超過収益力が見込めなくなった場合には、実質価額が取得原価の50%程度を下回っている限り、減損処理をしなければならない(Q&A Q33)。 (ⅱ) 時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券(債券)の減損 時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券(債券)の減損の検討は、【STEP1】(2)②と同様に、償却原価法を適用した上で、債権の貸倒見積高の算定方法に準じて信用リスクに応じた償還不能見積高を算定し、会計処理を行う(実務指針93)。 したがって、時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建その他有価証券(債券)を期末時の為替相場で換算(換算差額は為替差損益)した上で、償還不能見積高を算定する。 また、償還不能見積高の算定は、原則として、個別の債券ごとに行う(実務指針93)。 *   *   * 以上、5つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。 ※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。 (了)

#No. 146(掲載号)
#西田 友洋
2015/11/26

会計上の『重要性』判断基準を身につける~目指そう!決算効率化~ 【第16回】「変わりダネもある、重要性基準」

会計上の『重要性』 判断基準を身につける ~目指そう!決算効率化~ 【第16回】 (最終回) 「変わりダネもある、重要性基準」   公認会計士 石王丸 周夫   この連載の最終回となる今回は、変わりダネの重要性基準を取り上げます。 【第1回】~【第15回】まではオーソドックスな重要性基準の話をしましたが、実はそれ以外にも様々な重要性基準があります。 まず手始めに、以下の問題にチャレンジしてみてください(解答は問題のすぐ下にあります)。 いかがでしたか。正解できたでしょうか。 特殊なテーマに関する問いですので、難しかったかもしれません。 以下、この解答について触れながら、解説していきます。   《300万円基準(リース会計)》 前回までは、重要性の基準値として、税引前利益の5%の額を使った重要性判断を中心に解説してきました。これは主に、個々の会計基準に具体的な重要性の基準値が示されていないことを前提とした話でした。 ところが【第4回】でも触れたとおり、重要性の基準値を具体的に示している会計基準もいくつかあります。その1つがリース会計です。 リース会計では、「300万円基準」というモノサシが示されています。少額リース資産に関する簡便的な取扱い(所有権移転外ファイナンス・リース取引、借手)というものです。 この取扱いについては、以下のように示されています。 (企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」第34項) この適用指針では「重要性が乏しいと認められる場合」が3つ示されていますが、そのうちの1つが以下の300万円基準です。 (企業会計基準適用指針第16号「リース取引に関する会計基準の適用指針」第35項(3)) この規定は、日本において、リース取引が事務機器等の比較的少額なリース資産に利用されることが多いことを踏まえたものです。 判定方法は上記のとおり、基本的にリース契約1件ごとに行います(⇒したがって、問題16のアの記述は誤りです)。   《300人基準(退職給付会計)》 偶然ではありますが、「300」という数値は、他の会計基準でも重要性の基準値として示されています。ただし、300万円ではなく、300人という基準値です。 退職給付会計において、小規模企業等における簡便法というものがあります(企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」第26項)。 「小規模企業等」とは、原則として従業員数300人未満の企業をいいます(企業会計基準適用指針第25号「退職給付に関する会計基準の適用指針」第47項)。従業員が比較的少ない小規模企業等にあっては、数理計算による原則法ではなく、簡便法による会計処理が認められるのです(⇒したがって、問題16のイの記述は誤りです)。 ちなみに、「なぜ300人なのか?」というと、数理計算による結果に高い信頼性が得られるのが従業員数300人以上であるからだと言われています。   《10%基準(退職給付会計)》 退職給付会計にはこのほかに、「10%基準」という重要性の基準値もあります。 これは、退職給付債務の計算において、前期末に使用した割引率を当期末に見直さなくて済む容認ラインとして設定されているものです。 退職給付債務の計算に関する重要性基準は、以下のように示されています。 (企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準」(注8)) ここで「重要な変動が生じていない場合」を示したのが10%基準で、以下のようなものです。 (企業会計基準適用指針第25号「退職給付に関する会計基準の適用指針」第30項後段)   《連結範囲に係る重要性基準》 重要性の基準値をパーセンテージ(%)で表す方法は、上記の10%基準以外にもあります。 その1つが連結範囲に係る重要性基準です。 連結財務諸表の作成に当たっては、親会社は、原則としてすべての子会社を連結の範囲に含めますが、以下のような例外が認められています。 (企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」(注3)) ここで「重要性が乏しい」とはどの程度を指すかについては、日本公認会計士協会から公表されている実務指針に拠ることになります。 そこでは、「資産」、「売上高」、「利益」及び「利益剰余金」の4項目について、非連結子会社の数値にどの程度の重みがあるかを、「割合」(%)を求めることによって測定します(詳しくは、監査・保証実務委員会実務指針第52号「連結の範囲及び持分法の適用範囲に関する重要性の原則の適用等に係る監査上の取扱い」をご参照ください)。 ただし、その閾(しきい)値(%)については示されていません。以前は明記されていましたが、現在ではその記述が削除されています。 具体的な数値基準を示すことにはメリットとデメリットがあり、制度が浸透するまでは数値基準を示すことによって判断のばらつきをなくすメリットがありますが、ある程度実務に浸透すれば、数値基準による形式的な判断が行われるというデメリットが出てきます。 重要性の基準値の明示は、そうしたバランスが考慮されています。 重要性判断というのは、そういう難しさがつきまとう話なのです。   《3ヶ月ルール適用時の「重要な不一致」とは》 最後に、重要性の判断が難しい領域を1つ紹介します。 それは、連結会計における決算日の3ヶ月ルールです。 連結財務諸表を作成する際、子会社の決算日が親会社の決算日(連結決算日)と異なる場合は、子会社は連結決算日に仮決算を行うことになりますが、「3ヶ月ルール」という特例があります。以下のとおりです。 (企業会計基準第22 号「連結財務諸表に関する会計基準」(注4)) たとえば、親会社が3月決算、子会社が12月決算であったとすると、1月~3月の期間に行われた親子間取引はすべて不一致になります。 ちょうどこれは親子で『かえるの合唱』を輪唱したときのイメージと同じです。輪唱では、出だしの部分と最後の部分で声が重なりません。不一致になります。 この不一致の部分について、「重要なものについては調整をしなさい」というのが3ヶ月ルールです。 問題は、ここでいう「重要な不一致」が何を指しているのか、ということです。 連結会計の解説書等の多くでは、資金の貸付・借入や固定資産の売買といった非経常的な取引について、重要であると考えて、調整を行う事例が紹介されています。しかし一方で、営業取引について調整を行っている解説書もあり、そのあたりの取扱いは一様ではありません。 また、非経常的な取引について調整する場合でも、外部取引がひも付きになっているケースは判断が難しいです。親会社が子会社に資金を貸付け、子会社がその資金で固定資産を取得するという取引が1月~3月の間に行われた場合、連結会社間取引ではない固定資産取得取引も調整対象にするのでしょうか。 そういった論点は、実務の現場で個別に対応されているものと思われます。 以上のように、3ヶ月ルール適用時の重要性判断については、その判断基準が明らかになっていません(⇒したがって、問題16のウの記述は正しいです)。 実務上も幅のある対応がなされている可能性がありますが、それはそれとして、重要性判断のルールを一律に示すことが難しいということをよく物語っているといえます。   ●○連載のまとめ○● この連載でお話した内容をまとめると、以下のようになります。 企業の会計実務が複雑かつ高度になればなるほど、それとバランスをとるように「簡便な処理の採用」や「誤った処理の容認」というニーズが増えてきます。 年々難易度が高くなる企業の会計実務においては、重要性判断の必要性はますます高まるものと思われます。 そうしたことを念頭に置いて16回にわたり連載してまいりましたが、この連載が実務家の皆様の一助となれば幸いです。 (連載了)

#No. 146(掲載号)
#石王丸 周夫
2015/11/26
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