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私が出会った[相続]のお話 【第2回】「割引債券の有無を言うべきか、言わざるべきか」~守秘義務と過少申告リスクのはざまで起きた心の葛藤~

私が出会った[相続]のお話 【第2回】 「割引債券の有無を言うべきか、言わざるべきか」 ~守秘義務と過少申告リスクのはざまで起きた心の葛藤~   財務コンサルタント 木山 順三     〔とある老弁護士が取得した割引債券〕 私は長年、ある老弁護士の担当をしていました。 仕事は主に資産運用のアドバイスです。 その老弁護士は、税務面については親しい税理士を顧問税理士として長年契約していました。 ある時、老弁護士は、相続対策のための資産整理の一環として実質オーナーだった某株式を売却し、その売却金2億円で割引債券を購入しました。 一連の経緯については、当時担当者であった私も十分認識していました。 そして、現物の割引債券については極力保護預かりに預けておくよう注意を促し、その手続きをすることを申し出ました。 ところがなぜか老弁護士は「これは自分で手続きするから」と言って、そのままになってしまいました。 それからも私は将来の相続について折に触れ相談し、特にこの割引債については必ず相続財産として算入する旨を伝えました。 すると、老弁護士はこう言いました。 「木山さん、私ら弁護士業界では、『割引債は税務署にはわからない』と皆が言っているよ。だから私も家族にも言わず、銀行の貸金庫にも証券会社の保護預かりにも預けず、あるところに内緒にしてあるのです」と。 思わず私は老弁護士に言いました。 「何をおっしゃっているのですか、今や『弁護士は必ず割引債を保有している』ことを、税務当局では常識になっているのですよ!」と。   〔割引債が私の貸金庫に・・・〕 それから数年経ちました。 ある日突然、老弁護士の顧問税理士が私のもとにやって来ました。 「木山さん、急で申し訳ないが私はこれから入院しなければならなくなったので、今まで弁護士先生から預かっていたこの割引債を、これからあなたが預かるよう先生から依頼されているのでよろしく」 と言って、いきなり現物を渡されたのです。 私はあわてて先生に連絡し、すぐ返却したい旨を述べましたが、所用にて2、3日待ってくれとのこと。 やむを得ず私は、私名義の銀行の貸金庫に一旦入庫しました。 もちろん割引債券の上に とのメモを付したのは言うまでもありません。 それから3日後、弁護士夫人の留守を見計らって、ご自宅に伺いました。 そして、 「先生、これはお預かりできません。万一私が死んで妻が私の貸金庫を開けたら、思わずこう言うでしょう。『あなた、こんなに残してくれていたなんて!』と。それでもいいですか?」 と言いました。 すると弁護士は「おっしゃることはもっともです。ご迷惑をおかけしました」と言って、私が持参した割引債を受け取られました。 もちろん、私から再度保護預かり等にされることを勧めたのは、申すまでもありません。 それからしばらくして、顧問税理士が退院することなく亡くなられました。 そしてその友人の税理士が新しい顧問税理士として担当することになりました。 ・・・それからかなり経ち、今度は老弁護士が亡くなられました。   〔老弁護士の相続開始〕 遺産整理作業は老弁護士との付き合い上、新しい顧問税理士が行うことに決定しました。そして、私には財産内容についてわからないことがあれば、協力してほしいとの依頼がありました。 さぁ、例の割引債は、相続財産に計上されているのでしょうか? 税理士の守秘義務として、何か“事”がない限り私には申告内容はわからず、そのまま時が経過しました。   〔木山さん、ご存じないですか?〕 相続税の申告期限も間近に迫ったころ、新しい顧問税理士から連絡が入りました。 「木山さん、生前に友人から聞いていた財産額からみて、どうしても数億円のお金が足らないのだが、ご存じないですか?奥様に聞いても『分からない』と言われる」と。 その時、私はとっさに返事ができませんでした。 あっ、あの時の割引債だ! 税理士が知らないということは、どこかに隠されているのか? また、奥様もご存じないということは、本当に知らないのか? または知っておられて申告されないつもりなのか? 私としては、相続人である妻または子供が本事態を把握しているのかどうか不明であるかぎり、新税理士に話すことはできません。 すなわち相続人が申告しないのであれば余計なお世話となり、守秘義務違反を問われないとも。 一方、単に知らないのであれば、過少申告になるのをみすみす見逃すことになります。 果たしてどうすれば・・・   〔あなたなら、どうされますか?〕 もし私が担当税理士、または担当コンサルタントとして事態を知っている立場なら、問題なく割引債の存在を相続人に通知するでしょう。 なぜなら将来の加算税等の負担をなくし、結果的に相続人の利益に帰すからです。 本件は担当外のコンサルタントゆえ、微妙な立場でありました。 そこで私としては顧問税理士へのアドバイスとして、 「過去において『弁護士業界では、割引債は隠せるとの話を聞いた』と故人が言われていたので、相続人に再度貸金庫等の調査をお願いされてみてはどうですか?」 と言いました。   〔正しかった税理士の対応〕 それから数日後、再び顧問税理士から連絡が入りました。 「木山さん、助かりました!出てきました、割引債2億円が!おかげさまで、これで帳尻が合います!」 顧問税理士の要請により再度調べたところ、新たに銀行の貸金庫キーが出てきて、そこに保管されていました。どうやら全く別の銀行で貸金庫を借りていた模様です。 このことから、いかに税理士の確認作業が大切かということがわかります。 今回は これらの行動が財産内容の完全把握につながったものと思います。 当時の筆者の気持ちをあえて付け加えれば、担当税理士先生の真剣かつ誠実な態度が、“いかにすれば、知り得た情報を守秘義務をクリアしながら知らせられるか”という考えになりました。   〔最後に、、、筆者のつぶやき〕 あのまま割引債を、私の金庫にメモをつけずに預かっていれば、どうなったのでしょうか・・・ たぶん、ずっと眠れぬ夜を過ごしていたことでしょう。 そして私亡き後、妻は私が宝くじに当たっていたと思い、喜んだことでしょう(もちろん冗談ですが)。 当然のことですが賢明な税理士のみなさんは、いくら親しいクライアントでもこのような大事な財産を預かることはないですね! (了)  

#No. 55(掲載号)
#木山 順三
2014/02/06

《速報解説》 「中小企業の会計に関する指針(平成25年版)」の公表について

《速報解説》 「中小企業の会計に関する指針(平成25年版)」の公表について   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年2月3日付で、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会から、「中小企業の会計に関する指針」(以下「中小会計指針」)の「平成25年版」が公表された。 上記の関係4団体は、中小会計指針を取引実態に合わせた合理性のあるものとするために、年次ごとの見直し及び改正が行っているが、今回の平成25年版では企業会計基準委員会が公表した各種の企業会計基準のうち、主に「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号)に対応した用語の見直しなどが反映されている。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 平成25年版の中小会計指針における主な改正点は、以下のとおりである。 (了)

#No. 54(掲載号)
#阿部 光成
2014/02/04

Profession Journal No.54 公開のお知らせ

2014年1月30日(木)AM10:30、Profession Journal  No.54 が公開されました。 Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開してまいります。 Web情報誌 Profession Journalは、プロフェッションネットワークのプレミアム会員専用の閲覧サービスです。 Profession Journalについての詳細はこちら。 バックナンバー一覧はこちら。

#Profession Journal 編集部
2014/01/30

損益通算廃止に伴うゴルフ会員権売却判断のポイント 【第1回】「現行制度の確認と売却時の注意点」

損益通算廃止に伴う ゴルフ会員権売却判断のポイント 【第1回】 「現行制度の確認と売却時の注意点」   税理士 内山 隆一   はじめに ゴルフ会員権には、いわゆる「預託金方式」(ゴルフクラブに入会金と預託金を払い込むことにより優先的施設利用権を取得する形態)のものと、「株式方式」(ゴルフ場を経営する法人の株主となることにより優先的施設利用権を取得する形態)とがあるが、我が国におけるゴルフ会員権のほとんどが預託金方式によるものである。 このゴルフ会員権の譲渡による所得は、いずれの方式によるものであっても総合課税の譲渡所得とされ、保有期間が5年以内のものは総合短期譲渡所得、5年を超えるものは総合長期譲渡所得として取り扱われている。 また、ゴルフ会員権の譲渡により生じた損失は損益通算の対象とされ、通算しきれない金額は、青色申告者は純損失の繰越控除又は繰戻還付の適用を受けることができる。 平成26年度税制改正では、平成26年4月1日以後のゴルフ会員権の譲渡による損失を損益通算の対象から除外する旨が示されている。 そこで本連載では、ゴルフ会員権の譲渡にあたり注意すべき事項をあらためて確認するとともに、上記の改正に対応するための「譲渡(売却)を判断するポイント」について2回にわたり解説する。   1 現行制度の概要及び平成26年度改正内容 現行制度では、総合課税による譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は損益通算の対象とされるが、このうち「生活に通常必要でない資産」に係るものはその対象から除外する旨が規定されており、ゴルフ会員権は現行法上この「生活に通常必要でない資産」に該当しないことから、損益通算ができるものとして取り扱われてきた。 今回の改正により、この「生活に通常必要でない資産」にゴルフ会員権が該当するように見直され、損益通算を規制することとなる。   2 売却にあたり注意すべき事項 ゴルフ会員権の譲渡にあたり注意しなければならないのは、その取得費をどう捉えるかということである。 その要点を以下にまとめる。 (1) 基本的考え方 ゴルフ会員権の取得に直接要した金額として、次のようなものが該当する。 なお、預託金方式のゴルフ会員権の性格は、優先的施設利用権【A】と預託金返還請求権【B】を内容とする契約上の地位とされており、【A】と【B】セットで譲渡所得の基因となる資産とされる。 (2) 預託金の分割が行われた場合 【A】も【B】も維持されるため、契約内容の変更とみて、分割前の取得価額を、預託金の比によって分割後のゴルフ会員権に振り分ける(取得時期は分割前の取得時期が維持される)。 《例1》 分割前の預託金1,000万円、入会金 250万円のゴルフ会員権が5口に分割された場合 《例2》 上記《例1》で、預託金100万円を返還後に5口に分割された場合 (3) 更生手続等によって預託金の切捨てが行われた場合 ① 預託金の一部が切り捨てられた場合 契約内容の変更とみて、取得価額、取得時期ともに維持される。 ② 預託金の全部が切り捨てられた場合 イ 原則 預託金返還請求権が消滅し、優先的施設利用権のみで構成される新たな地位を取得したことになるため、取得価額をその時点での適正評価額に付け替える。 なお、この場合の損失は家事上の損失となり考慮されない。 ロ 特例 次の要件を満たすときは、【A】の部分について取得価額を適正評価額に付け替えず、切捨て前の優先的施設利用権の取得価額を維持する。   3 いつまでに判断しないと間に合わないのか ゴルフ会員権の譲渡による損失が損益通算の対象から除外されるのは、平成26年4月1日以後の譲渡であるため、いわゆる損出しによる節税を図るタイムリミットは平成26年3月31日ということになる。 そのため、売却した場合に譲渡損失となるかどうかについて、上記2の取得費についても勘案しつつ、2月中に検討しておく必要があろう。 (了)

#No. 54(掲載号)
#内山 隆一
2014/01/30

平成25年分 確定申告実務の留意点 【第4回】「金融所得に対する課税(まとめ)」

平成25年分 確定申告実務の留意点 【第4回】 (最終回) 「金融所得に対する課税(まとめ)」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子   平成25年は、日経平均株価の年間上昇率が50%を超えるなど、金融所得が生じやすい環境にあった。そこで、シリーズ最終回は、金融所得課税を取り上げ、課税方法の概要と計算上の留意点をまとめることとする。 なお、本稿の内容は平成25年分の確定申告を前提としており、平成26年以後適用される改正項目についてはふれていない。また、営利を目的とする継続的な資金運用に基づく金融所得は取り上げていない。 なお、所得計算や所得控除等に関する留意点については、以下の拙稿も併せてご参照いただきたい。 個人が得る金融所得は、その発生源泉により、利子所得、配当所得、譲渡所得(総合、分離)、雑所得に区分される。以下ではその区分ごとに解説する。   【1】 利子所得 (1) 利子所得に区分される金融所得(所法23①) 次の利子は、利子所得ではなく「雑所得」に区分される(所基通35-1、35-2)。 (2) 課税方法 利子所得に対する課税方法は、次の通りである。 (3) 外貨預金の取扱い 外貨預金に関する所得税法上の取扱いは、次の通りである。 居住者が外貨建取引を行った場合には、取引時の外国為替の売買相場により円換算し、所得金額を計算する(所法57の3①)。利子は、利払日の対顧客直物電信買相場(TTB)により円換算する(措通3の3-6(1))。 預金の預入時と引出時の為替レートが異なることにより、為替差損益が生じることがある。この為替差損益は、雑所得に区分される(所法35)。 円高になり為替差損が生じた場合、他にも雑所得があれば当該他の雑所得の金額から控除することができるが、給与所得をはじめ他の各種所得と損益通算することはできない。 また、元本や利子に為替予約を付しているときには、為替差益部分も利子と同様に20.315%の率による源泉分離課税の対象となる(所法174①七、所令298④、措法41の10)。   【2】 配当所得 (1) 配当所得に区分される金融所得(所法24①、25①) 次の配当等は、配当所得には該当しない(所基通24-2、23~35共-5、35-1、所法76①、77①)。 (2) 課税方法 配当所得に対する課税方法は、次の通りである。 なお、配当等の支払いに際し、上場株式等の配当等については10.147%(所得税7%、復興特別所得税0.147%、地方税3%)、非上場株式の配当等については20.42%(所得税20%、復興特別所得税0.42%、地方税なし)の率で所得税等が源泉徴収されている。 (3) 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算 上場株式等の譲渡損失の金額は、申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得の金額と損益通算することができる(措法37の12の2①)。 この損益通算の対象となる上場株式等の譲渡損失の金額は、同年に譲渡した他の株式等に係る譲渡益を控除した金額である(措法37の12の2②)。 (次ページへつづく) (前ページへ戻る) 【3】 譲渡所得(総合課税) (1) 譲渡所得(総合課税)に区分される金融所得(所法33①) (2) 課税方法 次の算式で算出した譲渡所得の金額を、他の各種所得の金額と合計し総所得金額及び税額を計算する(所法33③~⑤、60①、所令82)。総所得金額の計算上、長期譲渡所得については1/2相当額を他の各種所得の金額と合算する(所法22②二)。 なお、譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、一定の順序により他の各種所得の金額と損益通算することができる(所法69①、所令198)。 (注1) 金等、生活に通常必要でない資産に係る譲渡損失は、損益通算の対象とならない(所法69②)。 (注2) 平成26年度税制改正大綱によると、平成26年4月1日以後は、ゴルフ会員権等の譲渡損失を他の所得と損益通算することは認められない。   (3) 取得費及び譲渡費用の範囲 譲渡益の計算上控除する「取得費」は、資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の合計額であり、「譲渡費用」は、譲渡のために直接要した費用である(所法38①、所基通33-7)。 例えば、ゴルフ会員権の「取得費」及び「譲渡費用」としては、次のものが該当する。   【4】 譲渡所得(申告分離課税) (1) 譲渡所得(申告分離課税)に区分される金融所得(措法29の2④、37の10①②) (2) 課税方法 次の算式で算出した株式等に係る譲渡所得の金額に対し、他の所得と区分し一定の税率を乗じて税額を計算する(措法37の10①⑥)。 特定口座での取引について源泉徴収口座を選択している場合には、口座内での譲渡及び受け取った配当等の金額に対して所得税及び地方税が計算され源泉徴収されている。 そのため、源泉徴収口座内の取引は、原則として確定申告する必要はない。 源泉徴収口座内の取引について確定申告が必要となるのは、次の場合である。 株式等に係る譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得を除き、他の各種所得の金額との損益通算は認められない(措法37の10①)。 また、上場株式等に係る譲渡損失の金額は、翌年以後3年にわたり、各年分の株式等に係る譲渡所得の金額及び上場株式等に係る配当所得の金額から控除することができる(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除)(措法37の12の2⑥)。 平成25年において、株式等の譲渡所得に適用される税率は、譲渡の形態に応じて次の通りとなる。 (3) 外国株式の譲渡 外国法人が発行する株式を譲渡した場合も、原則的な課税方法は国内株式の譲渡の場合と同じである(措法37の10①②)。 譲渡対価の額が外貨で表示されている場合の邦貨換算は、約定日における対顧客直物電信買相場(TTB)により行う。為替差損益部分の金額も譲渡損益に含めることとなる(措通37の10-8)。 外国法人が発行する上場株式等について譲渡損失が生じたとき(国内の証券会社等を通した取引の場合に限る)には、国内株式の場合と同様に3年間の繰越控除が可能である(措法37の12の2⑥)。   【5】 雑所得 (1) 雑所得に区分される金融所得(所法35①②、措法41の14①、措令26の23②) (2) 課税方法 ① 総合課税、源泉分離課税 雑所得に区分される利子は、原則として他の各種所得の金額と合計し総所得金額及び税額を計算する(所法35①②)。 次のものについては、金融類似商品の収益として20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、地方税5%)の税率による源泉分離課税が適用され、源泉徴収だけで課税関係は終了する(所法174、175、209の3、措法41の10、措通41の10・41の12共-1)。 ② 申告分離課税(先物取引に係る雑所得等) 商品先物取引、金融商品先物取引等をし、かつ、差金等決済をした場合には、他の各種所得の金額と区分して20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、地方税5%)の税率による申告分離課税が適用される(措法41の14①)。 先物取引に係る雑所得等の金額の計算上生じた損失の金額は、他の先物取引に係る雑所得等から差し引くことはできるが、それ以外の各種所得の金額と損益通算することはできない(措法41の14①、措令26の23①)。 先物取引の差金等決済に係る損失の金額は、翌年以後3年内の各年分の先物取引に係る雑所得等の金額から控除することができる(先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除)(措法41の15①)。 (3) 外国為替証拠金取引(FX取引) FX取引には、「店頭取引」と「取引所取引」がある。 平成23年以前は、「店頭取引」による場合には総合課税の雑所得として課税されていたが、平成24年からは「取引所取引」の場合と同じ取扱い(上記(2)②の課税方法)となった。 (連載了)

#No. 54(掲載号)
#篠藤 敦子
2014/01/30

提出前に確認したい「国外財産調書制度」のポイントQ&A 【第4回】「国外財産の見積価額の例示」

提出前に確認したい 「国外財産調書制度」のポイントQ&A 【第4回】 「国外財産の見積価額の例示」   公認会計士・税理士 前原 啓二   Q 国外財産の見積価額を、例示で詳しく教えてください。 A 国外財産のそれぞれの区分ごとの見積価額の例示は、次のとおりである(調書通5-8)。 なお、国外財産に関する所得税及び復興特別所得税の課税標準並びに相続税及び贈与税の課税価格は、上記の価額でもって国外財産調書に記載される金額にかかわらず、各税に関する法令の規定に基づいて計算されることになる(調書通5-10)。 (了)

#No. 54(掲載号)
#前原 啓二
2014/01/30

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例10(贈与税)】 「利用状況の異なる2棟の建物の敷地の一部について分筆せずに贈与税の配偶者控除を適用しようとした事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例10(贈与税)】   税理士 齋藤 和助   《事例の概要》 平成X4年分の贈与税につき、贈与税の配偶者控除を適用して生前贈与を行おうとしたが、贈与対象土地が居住用宅地と賃家建付地とが一筆になっている土地であった。 利用状況の異なる2棟の建物の敷地となっている土地について贈与税の配偶者控除を適用しようとする場合には、居住用部分を特定して申告しなければならない。 税理士はこれを指導しないまま贈与を実行し、申告直前になってこれに気づき、贈与をなかったこととして贈与税の申告を取りやめ、贈与登記を錯誤として無効とすることとなってしまった。 これにより、登記費用等50万円につき損害が発生し、賠償請求を受けた。   《賠償請求の経緯》 平成X4年7月に貸家建付地と居住用宅地が一筆となっている土地のうち、居住用宅地部分について、贈与税の配偶者控除を使って生前贈与を受けたい旨の相談を受ける。 平成X4年9月に上記業務を受任し、司法書士に依頼して持分による登記が完了する。 平成X4年12月に不動産取得税を支払う。 平成X5年2月に贈与税申告の準備中に居住用宅地を分筆して特定しないと贈与税の配偶者控除の適用が受けられないことが判明 平成X5年3月に贈与税の申告を取りやめ、錯誤で登記を無効とした。その後、課税団体より不動産取得税還付の連絡を受ける。   《基礎知識》 ◆贈与税の配偶者控除(相法21の6) その年において贈与によりその者との婚姻期間が20年以上である配偶者から居住用不動産等を取得した者が、当該取得の日の翌年3月15日までに当該居住用不動産をその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合には、その年分の贈与税については、課税価格から2,000万円を控除する。 ◆居住用と居住用以外の建物の敷地となっている土地の持分である本件受贈財産のそのすべてが居住用家屋の敷地であるとはいえないとした事例(国税不服審判所 裁決事例集 No.62-329頁。平成13年9月13日裁決) 請求人は、居住用と居住用以外の建物の敷地となっている不動産につき持分で贈与を受けた場合には、贈与当事者の真意を汲んで配偶者の特別控除の特例の適否を判定すべきであると主張するが、当該特例は、生存配偶者の老後の生活安定に配慮する趣旨から、一生に一度限り、その取得した居住用財産の課税価格から2,000万円を限度として控除することを、登記簿の謄本等の提出を要件として認める措置であり、その解釈は厳格にされるべきである。したがって、本件においては、本件受贈財産のそのすべてが居住用家屋の敷地であるとはいえず、請求人の更正の請求には理由がない。   《税理士の落とし穴》   《税理士の責任》 税理士は、依頼者から、貸家建付地と居住用宅地が一筆となっている土地について贈与税の配偶者控除を適用した生前贈与の相談を受けた際、適用が可能であると説明し、分筆しないまま持分贈与を実行し、登記を行った。 そして贈与税の申告にあたり、裁決事例を確認していて、分筆して居住用部分を特定しないと適用が受けられないことに気づき、贈与をなかったこととして贈与税の申告を取りやめ、贈与登記を錯誤により無効とすることとなってしまった。 贈与の相談を受けた段階で、分筆の指導をしていれば、贈与税の配偶者控除の適用は受けられたことから、税理士に責任がある。 ただし、本事例においては、錯誤登記により不動産取得税が還付されたことから、過大納付税額は発生していない。 しかし、税理士の誤指導による贈与登記費用45万円と錯誤による抹消登記費用5万円(合計50万円)は、損害に該当するものと思われる。   《予防策》 [ポイント] 情報収集を心がける 本事例のように、法律や通達にはないが、裁決事例にほとんど同様の事例の結論ともいえる情報が掲載されていることも少なくない。判断に迷うような依頼を受けた場合には、法律や通達だけでなく、国税庁から発せられる情報や、国税不服審判所の裁決事例、さらには判決事例などにも関心を持ち、常にアンテナを張り、情報収集に心がけたい。 また、本事例のような単独の依頼については、所轄税務署に事前に確認をすることも有効である。 (了)

#No. 54(掲載号)
#齋藤 和助
2014/01/30

居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除[一問一答] 【第16問】「家屋の貸し合いをしている場合」-居住用財産の範囲-

居住用財産の譲渡所得 3,000万円特別控除 [一問一答] 【第16問】 「家屋の貸し合いをしている場合」 -居住用財産の範囲-   税理士 大久保 昭佳   Q 大阪本社に勤務しているXは大阪市内の自宅に居住し、東京支社に勤務しているYは東京都内の自宅に居住していました。 6年ほど前に、Xは東京支社にYは大阪本社に、同時に転勤となり、会社からの斡旋もあったことから、XとYは、それぞれの家屋を無償で貸し合い、それぞれ居住していました。 このほど、Xは会社を退社して他社へ転職することとなったことから、大阪の家屋からYを立ち退かせた上で、この家屋を売却することとしました。 この場合、「3,000万円特別控除(措法35)」の特例を受けることができるでしょうか? A この家屋は、その居住の用に供されなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されていないため、「3,000万円特別控除」の特例の適用を受けることはできない。 〈解説〉 この場合、相互に貸し合っていることから、自己が自己所有の家屋に居住しているものと同一視することはできない。 したがって、措法35①で規定されている法定期限内(その居住の用に供されなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日まで)の譲渡に該当しないこととなる。 (了)

#No. 54(掲載号)
#大久保 昭佳
2014/01/30

〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第14回】 「類似業種比準方式の考え方」

〔しっかり身に付けたい!〕 はじめての相続税申告業務 【第14回】 「類似業種比準方式の考え方」   税理士法人ネクスト 公認会計士・税理士 根岸 二良   〔3つの評価方法をおさらい〕 前回は非上場株式の相続税評価について、概略を説明した。非上場株式の評価方法には、類似業種比準方式、純資産価額方式、配当還元方式があり、保有する議決権割合、会社規模により、適用される評価方法が異なることを説明した。 復習すると、少数の議決権しか保有しない場合には、配当還元方式が適用され、支配権を有するような議決権を保有する場合には、会社規模が大会社であれば類似業種比準方式が適用され、会社規模が小会社であれば純資産価額方式が適用される。支配権を有するような議決権を保有する場合で、会社規模が中会社の場合には折衷方式(類似業種比準方式と純資産価額方式を一定割合でそれぞれ考慮する評価方法)にて評価される。 図1(再掲) 〔上場株式との比較で推定〕 類似業種比準方式は、評価対象である非上場株式が、仮に上場した場合にいくらの株価になるか、という推定計算である。評価対象である非上場株式の発行会社の業種と類似業種の上場株式とを比較して株価を推定する考え方であり、株価は配当、利益、純資産に比例して決定されるという考え方に基づいて推定を行う。 図2   上記図の例でいうと、評価対象である非上場株式の発行会社については、配当10、利益10、純資産10であったと仮定する。また、評価対象である非上場株式の発行会社の業種と類似する業種の上場会社について、配当10、利益10、純資産10、株価100円であったとする。このケースでは、評価対象会社と、類似業種の上場会社の配当、利益、純資産が一致しているため、評価対象の非上場株式は、類似業種の上場株式価格100円と同じ金額になると推定される(厳密な類似業種比準方式では、斟酌割合などあるため、完全に一致するわけではないが、ここでは理解しやすくするため、考え方を簡便的に説明している)。 このように類似業種比準方式では、評価対象である非上場株式について、その類似業種である上場株式の「配当」、「利益」、「純資産」を比較することで、その類似業種である上場株式株価から、非上場株式株価を推定するものである。したがって、類似業種比準方式を適用する前提として、評価対象である非上場株式の株価と、類似業種の上場株式の株価とに、一定の関連性(相関関係)がある必要がある。   〔推定計算できない特殊なケース〕 このように考えていくと、一定の場合には、評価対象である非上場株式の株価と、類似業種の上場株式の株価とに、一定の関連性(相関関係)が認められないと考えられるケースもある。その場合には、上場株式の株価から推定計算が成り立たないことになり、結果として、類似業種比準方式による株価計算は理論的に適用できないことになる(*)。 そのような一定の場合として、財産評価通達では、以下のものを挙げており、これらを特定の評価会社の株式と呼ぶ(財産評価基本通達189)。 要するに、特殊な状況にあるため、上場株式から株価を推定することが合理的でないケースであり、類似業種比準方式が適用できないケースである。 詳細な定義の説明は割愛するが、1及び2は、総資産に占める株式・土地等の割合が大きい会社であり、3、4、5、6は収益力が著しく悪化している会社または通常の事業活動を行っている状態ではない会社を意味している。このような会社と、上場会社とは、所有財産の構成内容や事業活動状況が著しく異なると考えられ、したがって上場株式の株価との関連性が乏しいと考えられ、上場株式の株価から推定して株価を導くことは合理的ではないと考えられる。これらの会社の株価については、類似業種比準方式は適用できないため、基本的には純資産価額方式による株価計算を行うことになる(財産評価基本通達189-2~189-6)。 (了)

#No. 54(掲載号)
#根岸 二良
2014/01/30

経理担当者のためのベーシック税務Q&A 【第11回】「グループ内合併と税金(その1)」―被合併法人からの未処理欠損金の引継制限―

経理担当者のための ベーシック税務Q&A 【第11回】 「グループ内合併と税金(その1)」 ―被合併法人の支配関係前未処理欠損金の引継制限―   仰星税理士法人 公認会計士・税理士 草薙 信久   1 適格合併における欠損金の制限措置 適格合併における欠損金については、次のような3つの制限措置を受ける可能性があります。   2 被合併法人の支配関係前未処理欠損金の引継制限 適格合併の場合には、被合併法人の支配関係前未処理欠損金は、原則として合併法人に引き継ぐことができます(法法57②)。 しかしながら、同一グループ内の適格合併において、被合併法人の未処理欠損金の引継ぎを無制限に認めた場合には、未処理欠損金を利用した不当な租税回避行為がなされる可能性があります。例えば、多額の未処理欠損金を有するグループ外の法人の発行済株式のすべてを取得した上で同一グループ内の収益性の高い他の法人に適格吸収合併させた場合には、このような引継制限を課さないと、当該他の法人において容易に節税することが可能となります。 そのため、同一グループ内の適格合併においては、次のような3つのケースを除き、被合併法人の支配関係前未処理欠損金の合併法人への引継ぎを制限しています。 以上の被合併法人の支配関係前未処理欠損金の引継制限の用件をフローチャートにすると次のようになります。 ご質問のケースでは、合併の日の属する事業年度開始の日が、支配関係が発生した後5年を経過しておらず、みなし共同事業要件も満たしていないため、被合併法人の支配関係前未処理欠損金の引継ぎに制限が課されます。   4 合併法人における未処理欠損金の帰属事業年度 合併法人に引き継ぐことができる被合併法人の未処理欠損金は、未処理欠損金が発生した被合併法人の事業年度開始の日が属する合併法人の事業年度において生じたものとみなされます(法法57②)。 そのため、合併法人と被合併法人の事業年度が異なる場合には、引き継いだ未処理欠損金の繰越期間は、1年決算の場合、本来の繰越期間より決算月の差の月数だけ短くなります。また、期中で合併した場合であっても、被合併法人の最終事業年度(適格合併の日の属する事業年度の開始の日から適格合併の日の前日までの期間)において発生した未処理欠損金も同様です。 ご質問のケースでは、合併法人と被合併法人の事業年度が異なるため、次のように未処理欠損金の発生事業年度が3ヶ月早くなり、繰越期間が3ヶ月短くなります。 すわなち、S社において平成25年3月期に発生した未処理欠損金は、平成24年4月1日が事業年度の開始の日なので、平成24年4月1日が属するP社の事業年度である平成24年12月期が帰属事業年度になります。また、期中で合併しているため、平成25年4月1日に開始した被合併法人の最終事業年度において発生した未処理欠損金は、合併法人の合併事業年度の前事業年度である平成24年12月期において発生した未処理欠損金とみなされます。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。   5 引継制限を受ける被合併法人の未処理欠損金 被合併法人の未処理欠損金のうち、次の①及び②の金額は合併法人に引き継ぐことができず、切り捨てられます。 ご質問のケースでは、平成23年7月1日にS社の株式を取得していることから、平成23年12月期が支配関係の発生した事業年度となります。そのため、支配関係が発生する前の平成22年12月期において生じた被合併法人の未処理欠損金は、全額が引継制限を受け、切り捨てられます。また、支配関係が発生した以後の平成23年12月期及び平成24年12月期において生じた被合併法人の未処理欠損金のうち、特定資産の譲渡等損失相当額に対応する部分については引継制限を受け、切り捨てられます。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。   6 合併法人の支配関係前自社繰越欠損金の控除制限 多額の資産の含み益を有するグループ外の法人の発行済株式のすべてを取得した上で同一グループ内の他の法人に適格吸収合併をさせた場合には、被合併法人から帳簿価額で引継ぎを受けた資産の含み益を実現させることにより、合併がなければ控除期間の制限から切り捨てられていたであろう合併法人の未処理欠損金を当該実現利益で相殺控除することが可能となります。 そのため、同一グループ内の適格合併においては、次のような3つのケースを除き、合併法人の支配関係前自社欠損金についての繰越控除が制限されています(法法57④)。 なお、控除制限の適否については、被合併法人からの未処理欠損金の引継制限と同様の検討を行うことになります。 また、自社繰越欠損金の控除制限は、適格合併以外の適格組織再編成又は100%グループ内の非適格合併の場合にも適用がありますので注意する必要があります。 ★  ★  ★ 今回は、「被合併法人の支配関係前未処理欠損金の引継制限」と「合併法人の支配関係前自社繰越欠損金の控除制限」に着目して説明しましたが、次回(2月27日公開)は、「特定資産譲渡等損失額の損金算入制限」と「欠損金の引継等制限における特例計算」について説明したいと思います。 (了)

#No. 54(掲載号)
#草薙 信久
2014/01/30
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