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交際費課税Q&A~ポイントを再確認~ 【第3回】「1人当たり5,000円以下の飲食費」

交際費課税Q&A ~ポイントを再確認~ 【第3回】 「1人当たり5,000円以下の飲食費」   公認会計士・税理士 新名 貴則   租税特別措置法において、次の費用は税務上の交際費等から除くと定められている(措法61の4③二)。 ここでいう「政令で定めるところにより計算した金額」とは、飲食等のために支出した費用を参加者の人数で除した金額のことである。また、「政令で定める金額」とは、5,000円のことである(措令37の5①)。 したがって、飲食等のために支出した費用が1人当たり5,000円以下であれば、税務上の交際費から除かれるという意味である。 ただし、これはその飲食等が、得意先や仕入先、その他事業に関係のある社外の者等と一緒の場合のみである。 親会社や子会社の役員や従業員は社外の者とされる。 社内の者だけでの飲食代が1人当たり5,000円以下であったとしても、これには該当しない(もちろん、そもそも交際費等ではなく会議費等に該当する場合もある)。 逆に、これらの社外の者と一緒であれば、明らかに居酒屋等での飲酒も伴う食事であったとしても、1人当たり5,000円以下であれば交際費等にはならないことになる。 このとき、以下の事項を記載した書類を保存しておくことが必要である。 この書類の様式は定められていないので、必要項目さえ網羅されていれば、任意の様式で構わない。   ◆ 判定に当たって注意すべき事項 ◆ 【税抜経理のケース】 【税込経理のケース】 (了)

#No. 24(掲載号)
#新名 貴則
2013/06/20

法人税の解釈をめぐる論点整理 《減価償却》編 【第3回】

法人税の解釈をめぐる論点整理 《減価償却》編 【第3回】   弁護士 木村 浩之   (前回はこちら) 4 少額の減価償却資産等の判定 (1) 問題の所在 取得価額が10万円未満又は使用可能期間が1年未満であれば、少額の減価償却資産として、その取得価額の損金算入が認められる(法令133)。また、取得価額が20万円未満であれば、一括償却資産として、事業年度ごとに対象資産を一括して3年間で均等償却することが認められる(法令133の2)。さらに、中小法人の場合は、取得価額が30万円未満であれば、少額減価償却資産として、合計300万円までの範囲で取得価額の損金算入が認められる(措法67の5)。 この取得価額の計算方法は前回みたとおりであるが、実際に固定資産を取得するに当たっては、一定の数量をまとめて取得する場合、複数の異なる種類の資産をセットで取得する場合などがあり、これらの取得価額をどの範囲で合計すべきであるかという固定資産の判定単位の問題がある。 また、上記のとおり、使用期間が1年未満の減価償却資産については、その取得価額にかかわらず、少額の減価償却資産として取得価額の損金算入が認められていることから、この使用可能期間をどのように考えるかという問題もある。 以下、これらの問題を順に検討することとしたい。 (2) 固定資産の判定単位 固定資産の取得価額を計算するに当たっての固定資産の判定単位については、一般に、通常の取引において1単位として取引される単位によるものと解されている。 この1単位の考え方については、もともと固定資産が事業収益の獲得に寄与するための機能を有するものであることから、単なる物理的な一体性等の観点のみならず、機能的な観点から1つの単位であるかどうかを判断すべきものと解されている。 そこで、固定資産については、事業に有意な機能を発揮しうる最少取引単位をもって1つの資産であると考えるべきであり、実際の使用状況とは別に、本来単独でそのような機能を発揮することができるかどうかという基準によって1単位と判定することになる。 この点、通達では、「通常1単位として取引される単位、例えば、機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに判定し、構築物のうち例えば枕木、電柱等単体では機能を発揮できないものについては、一の工事等ごとに判定する」とされている(法基通7-1-11)が、実際の裁判例においては、「機能」に着目した判断がなされている。 例えば、最判平成20年9月16日・民集62巻8号2089頁は、「減価償却資産は法人の事業に供され、その用途に応じた本来の機能を発揮することによって収益の獲得に寄与するものと解される」と述べた上で、「複数の電気通信施設利用権をまとめて事業の用に供していた場合であっても、その利用権は一つでもって機能を発揮することができ、収益の獲得に寄与するものということができる」ことを理由に、「権利一つをもって、一つの減価償却資産とみるのが相当である」と判示している。 また、さいたま地裁平成16年2月4日・税資254号順号9549は、カメラ、ビデオ、テレビ等で構成される防犯ビデオカメラ等について、「ビデオカメラ、テレビ、ビデオはそれぞれ独立した機能を有し、特にテレビやビデオは普通それら単独で取引単位となるもの」であると述べた上で、「防犯用ビデオカメラ等は全体として監視目的のため一体的に用いられているといっても、本件防犯用ビデオカメラ等を常に一体として一つの償却資産と扱うことは必ずしも合理的とはいえず、カメラ、ビデオ、テレビは一つ一つを器具備品として取り扱っても差し支えないというべきである」と判示し、それぞれ単独で機能を発揮しうるものであることを理由にして、一つの目的のために一体的に使用されるものであったとしても、各資産が単独で1単位の減価償却資産に該当するとの判断をしている。 (3) 使用可能期間 取得価額が10万円以上の減価償却資産であっても、その使用可能期間が1年未満であれば、少額の減価償却資産として取得価額の損金算入が認められる。この使用可能期間については、耐用年数とは異なる概念であると解されている。 すなわち、耐用年数が所得計算の便宜のために定められたものであり、実際に使用可能と見込まれる期間とは異なる概念(いわば擬制されたもの)であるのに対して、ここでいう使用可能期間は、実際に資産が使用可能と見込まれる期間をいう。 もっとも、使用可能期間の判定については、事前の予測に基づくものにならざるを得ないことから、恣意的な判断を排除するために、使用可能期間が1年未満であるかどうかを判断するに当たっては、次のような基準によることが合理的であると考えられる。 この点、通達では、「使用可能期間が1年未満である減価償却資産とは、法人の属する業種(例えば、紡績業、鉄鋼業、建設業等の業種)において種類等を同じくする減価償却資産の使用状況、補充状況等を勘案して一般的に消耗性のものとして認識されている減価償却資産で、その法人の平均的な使用状況、補充状況等からみてその使用可能期間が1年未満であるものをいう」とされている(法基通7-1-12)が、上記の要件を満たす限り、使用可能期間が1年未満であると判断して差し支えないものと解される。 なお、使用可能期間が1年未満の減価償却資産とは区別されるものとして、貯蔵品となるべき棚卸資産がある。すなわち、使用可能期間が1年未満であっても、販売用資産の製造等のために消費される資産や時の経過によって減価しない資産については、貯蔵品として棚卸資産に該当することになる(【第1回】の2(2)ア参照)のであり、貯蔵品については、事業の用に供された際に費用化することになる。 (了)

#No. 24(掲載号)
#木村 浩之
2013/06/20

小説 『法人課税第三部門にて。』 【第10話】「優良法人の税務調査(その4)」

小説 『法人課税第三部門にて。』 【第10話】  「優良法人の税務調査(その4)」  公認会計士・税理士 八ッ尾 順一   (前回のつづき) 「やはり・・・無理かなあ・・・」 渕崎統括官が田村上席に声をかけた。 法人課税第三部門の職員は、皆、税務調査で出張していて、渕崎統括官と田村上席しかいない。 「・・・?」 田村上席は、振り向いて、渕崎統括官を怪訝そうに見る。 「いや、あの例の・・・更生計画案で切り捨てられた債権なんだが・・・」 渕崎統括官は、苦笑いしながら言う。 「ああ、あれですか・・・」 田村上席は、大きく頷く。 「あれは、仕方ないでしょう」 渕崎統括官は、未練がましく首を傾けている。 「それに、優良法人ですから・・・」 田村上席は、渕崎統括官を諭すような口調で言った。 統括官と上席の立場が逆転しているようである。 「・・・まあ、優良法人であるかどうかはともかく、理論上は、翌期に切捨てが確定している金額なのだから、法人税法施行令96条2号が適用されて・・・結局・・・あの損失処理が引当金として認められるということだな」 渕崎統括官は、自分を納得させるようにつぶやく。 「まあ、上の決裁を受けるときには、ややこしいから、この件は省略しておこう・・・他については、特に問題もなかったのだから、優良法人として継続する手続はすることにしよう」 渕崎統括官は、調査記録等をファイルした書類を机の横にポンと置いた。 「ところで、今回の税務調査の結果を会社に伝えなければならないから、すまんが田村上席、会社に連絡してくれないか?」 実地調査が終了してから、3週間が過ぎている。 「私も会社に行くのですか?」 田村上席が尋ねる。 「いや、税務調査の結果の報告だから・・・私一人で行くよ」 渕崎統括官は笑って応える。 「・・・そう言えば、吉田税理士がしきりに、あの債権の損失処理の結末を気にしていましたね」 田村上席は、吉田税理士が渕崎統括官に、債権の損失処理の意見を聞きたがっていた様子を思い出した。 「そうだな」 渕崎統括官も頷く。 「・・・まあ、今回は、不問にするとでも言っておくか・・・」 渕崎統括官は、吉田税理士の生真面目そうな顔を思い出しながら言った。 どんよりとした空から、大粒の雨が降っている。 渕崎統括官は、濡れた傘の滴を落としながら、会社の玄関に置かれている受話器を取る。 しばらくすると、若い女性の事務員が2階から下りてきて、渕崎統括官を会議室に案内した。 濡れた肩をハンカチで拭いていると、齋藤課長と吉田税理士が会議室に現れた。 「どうも、雨の中、ご苦労様です」 齋藤課長が声をかける。 「いや、だいぶ濡れてしまって・・・」 渕崎統括官は、ハンカチで拭きながら応える。 「よかったら、タオルでも持ってきましょうか?」 齋藤課長が尋ねると、渕崎統括官は首を横に振りながら、ハンカチを後ろのポケットに仕舞った。 「もうすぐ、会長も来ますので」 吉田税理士が渕崎統括官に言う。 「はい、今日は税務調査の結果報告で、すぐに終わりますから」 渕崎統括官は、2人に告げた。 田村上席が会社にアポイントメントを取るときに、今回の税務調査では、特に問題はなかったと事前に伝えてある。 会長が会議室に入ってきた。 「どうも、今日はご苦労様です」 会長は挨拶をすると、齋藤課長の席の横に座る。 3人を前にして、渕崎統括官は、税務調査の結果報告を述べる。 「今回は、御社において3日間、実施調査をした結果について、ご報告に来たのですが、結論から言えば、特に問題はないということであります。会社の経理状況も良好でありますし、特に、指摘すべき問題点もありませんので、御社においては、優良法人として今後も継続できるように、こちらで上申したいと思います」 会長と齋藤課長は、満足そうに頷く。 「ところで・・・更生計画案で切り捨てられた債権・・・の処理については・・・?」 吉田税理士が尋ねる。 「あの件については、とりあえず、今回は不問にします。しかし、後で・・・会計検査院で指摘された場合、修正してもらうことになるかもしれません」 渕崎統括官は、少し強い口調で言う。 「・・・しかし・・・」 吉田税理士が声を出そうとしたとき、会長が遮った。 「まあ、まあ、吉田先生、それで良いじゃないですか。今回は何も指摘がなかったということだし・・・優良法人として上申もしていただけるということですから・・・」 会長は、少し不満そうな吉田税理士を諭す。 「ところで、優良法人の税務調査がこれで終わったので、一度、うちの署長と副署長に会っていただきますが、それについては、また後日、ご連絡させていただきますので」 渕崎統括官はそう言うと、会長に優良法人の申請に必要な書類(会社・個人の履歴等の記載)を手渡した後、早々に退席した。 (つづく)

#No. 24(掲載号)
#八ッ尾 順一
2013/06/20

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載24〕 判決により取扱いが変更となった通達改正に係る事案の更正の請求

〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載24〕 判決により取扱いが変更となった 通達改正に係る事案の更正の請求   税理士 小林 磨寿美   平成25年2月28日、東京高裁(平成24年3月2日東京地裁)において、平成16年の相続事案について、平成2年の通達改正において定めた大会社における株式保有特定会社の判定基準を株式保有割合25%以上とした取扱いを適用することは、平成9年の独禁法改正以後の平成15年の大法人の株式保有割合の実情16.31%(平成元年度7.38%)であることを考慮すると、合理的でないとした判決が確定した。 国税庁はこの判決を受け財産評価基本通達189(2)を改正し、大会社の株式保有特定会社の判定基準を株式保有割合「25%以上」から「50%以上」とした改正通達を、平成25年5月28日に発遣し、ホームページ上にて5月31日に公表した。   1 通達の有利改正と更正の請求 『「財産評価基本通達の一部改正について」通達等のあらましについて(情報)(平成25年5月28日)(平成25年5月31日)』の別添の「あらまし」では、この改正通達の適用時期として、「本改正に係る改正後の評価通達(大会社の判定基準)は、平成25年5月27日以後に相続、遺贈又は贈与(以下「相続等」という。)により取得した財産を評価する場合に適用するほか、本改正が判決に伴うものであり、過去の相続税等についても、通則法第23条第2項第3号の規定に基づき更正の請求をすることができる(注)ことを踏まえ、平成25年5月27日以後に相続税等の申告をする者が、平成25年5月27日前に相続等により取得した財産を評価する場合にも適用することができる。」としている。 つまりは、平成25年5月27日以後の相続税等の申告について、この改正を適用することができることに加え、通則法第23条第2項第3号の規定に基づき、過去の相続税等についても更正の請求をすることができることを明らかにしている。 従来、租税が納付された後に租税確定行為の基礎とされていた通達が納税者の有利に変更されても、租税確定行為が過去に遡って無効になることはないとされていた。 それが、平成17年のゴルフ会員権の取得費についてのいわゆる右山判決を契機として、平成18年度の国税通則法の改正があり、後発事由による更正の請求(通法23②)に、「その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となった事実に係る国税庁長官が発した通達に示されている法令の解釈その他の国税庁長官の法令の解釈が、更正又は決定に係る審査請求若しくは訴えについての裁決若しくは判決に伴って変更され、変更後の解釈が国税庁長官により公表されたことにより、当該課税標準等又は税額等が異なることとなる取扱いを受けることとなったことを知ったこと。」(通令6①五)が追加された。 上記高裁判決においては、株式保有割合に加えて、その企業としての規模や事業の実態等を総合考慮して判断するとしていたが、改正通達では「大会社の判定基準」を50%としたのみであるため、個別の事案の適用関係について、実態判定する必要がない。通達の遡及適用の可否は、形式基準の判定のみで判断することができる。 また、今回の事例は、通達制定当時において適当であった要件が、社会情勢等の変化により当てはまらなくなったものであるため、その当てはまらなくなったことが明らかになった時以後の事案において、つまり本件相続開始時(平成16年)以後においては、改正通達の判定基準が適当であるということになる。   2 更正の請求期間と減額更正の期間制限 「更正の請求」という制度は、それ自体では税額が確定されず、納税者の請求を受け、税務署長が減額更正をすることにより、はじめて税額が確定される。そして、更正の請求期間があるだけでなく、税務署長の減額更正についても、期間制限が設けられている。 具体的には、相続税については5年間、贈与税については6年間、更正の請求をすることができ(通法23①)、これに加えて後発事由に該当する場合は、その事由が発生した翌日から2月間、更正の請求が可能である。後発事由の発生自体には、法定申告期限から何年以内のものに限るなどの期間の制限はない。 一方、減額更正については、相続税については法定申告期限から5年、贈与税については6年経過後においては原則としてすることができない(通法70①、相法36①)。もっとも、後発事由があった場合に対応して、除斥期間も延長する規定が設けられている(通法71①)。しかし、後発事由のうち、通達の有利変更の場合、この特別の除斥期間の適用がないため、法定申告期限等から既に5年を経過している相続税、6年を経過している贈与税については、法令上、減額できないことになる。 ただ、平成23年12月改正で更正の請求期間が延長されたことに伴い、更正をすることができないこととなる日前6月以内にされた更正の請求に係る更正は、その更正の請求があった日から6月を経過する日まで、することができることとなっている(通法70③)。この改正の趣旨から、期限ぎりぎりの更正の請求であっても、減額更正は行われるものと思われる。 つまりは、贈与税については法定申告期限から6年内であるから平成19年分~24年分について、相続税については法定申告期限から5年内であるから平成20年5月31日申告期限のものから、適用可能であったことになる。   3 後発事由による更正の請求と通常の更正の請求の関係 今回の更正の請求は国税通則法23条2項に当てはまることから、通達改正を知った日の翌日から2月以内、つまり、平成25年8月1日(ただし、相続税について法定申告期限から5年目の応当日が先に到来する場合はその日)までに更正の請求をしなければならないと考える向きが多い。 しかし、23条2項括弧書には、「納税申告書を提出した者については、当該各号に定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。」とあるため、2項の要件に該当するならば、同時に同条1項の通常の更正の請求の適用があることとなる。 したがって、平成23年分、24年分の贈与税については、申告期限から6年以内の更正の請求、相続税については、23年12月2日以降申告期限到来分から、申告期限から5年以内の更正の請求が可能となる。   4 更正の申出のできる期間 さらに、平成23年12月1日以前の申告期限到来分については、更正の申出をすることができる。 つまりは、平成19年分~22年分の贈与税で平成25年8月1日までに更正の請求をしなかった場合については、6年以内の更正の申出。同様に、相続税で平成22年8月以降23年12月1日までの申告期限分については、3年間の更正の申出が可能となる。 ただし、更正の申出は法令上の根拠のある制度ではなく、減額更正期間の延長はないため、期限ぎりぎりの申出だと減額更正はされない危険もある。 以上をまとめると、通達の遡及適用の範囲は次のようになる。 【贈与税】 【相続税】 (注)更正の申出の場合は、各期間終了の日より6月前までの申出が無難。 (了)

#No. 24(掲載号)
#小林 磨寿美
2013/06/20

林總の管理会計[超]入門講座 【第5回】「変動費と固定費の関係」

林總の 管理会計[超]入門講座 【第5回】 「変動費と固定費の関係」   公認会計士 林 總   (了)

#No. 24(掲載号)
#林 總
2013/06/20

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第10回】リース会計③「リース資産の減価償却の方法」

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第10回】 リース会計③ 「リース資産の減価償却の方法」   仰星監査法人 公認会計士 大川 泰広   〈事例による解説〉 〈会計処理〉 (1) 所有権移転ファイナンス・リース取引に該当する場合 ① ×1年4月1日(リース契約締結時) ② ×1年4月30日(第1回支払日) ③ ×1年4月30日(減価償却費の計上)   (2) 所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する場合 ① ×1年4月1日(リース契約締結時) ② ×1年4月30日(第1回支払日) ③ ×1年4月30日(減価償却費の計上)   〈会計処理の解説〉 「所有権移転ファイナンス・リース取引」とは、リース契約上の諸条件に照らして、リース物件の所有権が企業に移転するファイナンス・リース取引をいいます。 一方、「所有権移転外ファイナンス・リース取引」は、所有権移転ファイナンス・リース取引以外のファイナンス・リース取引をいいます。 前回までの解説を踏まえ、リース取引を分類すると以下のようになります。   リース契約には、「所有権移転条項」という条件が付されたものがあります。 この条項は、リース期間終了後又はリース期間の中途で、リース物件の所有権が企業に移転するというものです。所有権移転条項のあるファイナンス・リース取引は所有権移転ファイナンス・リース取引と判定されます。 前回までに解説したとおり、ファイナンス・リース取引は、リース会社から資金調達をして、固定資産を購入したという会計処理を行います。そのため、リース資産の減価償却費についても、リース物件を購入したものとして、自社がそのリース物件を購入した場合に適用する減価償却の方法で算定するのが原則です。 しかし、所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合、リース期間終了後にリース物件をリース会社に返還しなければなりません。ファイナンス・リース取引は固定資産を購入したと考えますが、契約上、所有権移転条項がない以上、リース物件を使用できる期間はリース期間に限定されてしまいます。 そのため、所有権移転外ファイナンス・リースに該当する場合は、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして減価償却費を算定します。 以上を踏まえ、本事例の会計処理を検討してみましょう。 本事例におけるリース契約締結時及び第1回支払日の仕訳は、前回解説したものと同様です。 所有権移転ファイナンス・リース取引に該当する場合、減価償却費は自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定します。よって、工作機械Aの経済的耐用年数、借手企業の減価償却方法を用いて、以下のように計算します。 一方、所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当する場合、減価償却費はリース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定します。よって、リース期間5年、残存価額ゼロとして、以下のように計算します。 (了) ※7月は棚卸資産会計を取り上げます。

#No. 24(掲載号)
#大川 泰広
2013/06/20

税効果会計を学ぶ 【第12回】「役員賞与に係る引当金とストック・オプション、将来加算一時差異」

-お知らせ- 適用指針等を織り込んだ最新版の『税効果会計を学ぶ』が好評連載中です。   税効果会計を学ぶ 【第12回】 「役員賞与に係る引当金と ストック・オプション、将来加算一時差異」 公認会計士 阿部 光成   前回までに触れていない一時差異等のうち、役員賞与に係る引当金とストック・オプション、将来加算一時差異を取り上げる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅰ 役員賞与に係る引当金とストック・オプション 「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第10号。以下「個別税効果会計実務指針」という)14項では、税引前当期純利益の計算において費用又は収益として計上されるが、課税所得の計算上は永久に損金又は益金に算入されない項目については、将来、課税所得の計算上で加算又は減算させる効果をもたないため一時差異等には該当せず、税効果会計の対象とはならないとされている。 「税効果会計に関するQ&A」のQ2では、役員賞与に係る引当金及びストック・オプションに係る費用について次のように述べている。 これらは、一時差異等の定義を満たしており税効果会計の対象となるのか、それともそもそも一時差異等に該当しないのかという論点について、整理したものと解される。 1 役員賞与に係る引当金 役員賞与は、発生した会計期間の費用として処理されることとされ、当事業年度の職務に係る役員賞与を期末後に開催される株主総会の決議事項とする場合には、当該支給は株主総会の決議が前提となるので、当該決議事項とする額又はその見込額(当事業年度の職務に係る額に限る)は、原則として、引当金に計上する(「役員賞与に関する会計基準」(企業会計基準第4号)3項、13項)。 税務上、役員給与のうち損金に算入される額は、一定の要件を満たしたものに限られているので(法人税法34条から36条)、会計上、費用処理された役員賞与のうち将来にわたって損金算入されないものは、将来減算一時差異に該当しないので、税効果会計の対象とはならない。 2 ストック・オプションに係る費用 いわゆる税制適格ストック・オプション(租税特別措置法29条の2)については、従業員等の個人において給与所得等が非課税となり、法人において当該役務提供に係る費用の額が損金に算入されないので(法人税法54条2項)、将来減算一時差異に該当せず、税効果会計の対象とはならない。 また、いわゆる税制非適格ストック・オプションについては、従業員等の個人が給与所得等として課税されるときは、給与等課税事由が生じた日(権利行使日)に、法人において、当該役務提供に係る費用の額が損金に算入されるので(法人税法54条1項)、ストック・オプションの付与時において将来減算一時差異に該当し、税効果会計の対象となる。   Ⅱ 将来加算一時差異 1 将来加算一時差異の例示 将来加算一時差異は、将来の課税所得の計算上で加算効果のある一時差異であり、差異が生じたときに課税所得の計算上減算され、将来、当該差異が解消するときに課税所得の計算上加算される(個別税効果会計実務指針9項、10項)。 例えば、減価償却資産について剰余金の処分(積立金方式)により圧縮記帳を実施した場合は、会計上の簿価は固定資産の取得価額で計上され、その後の減価償却計算等の基礎となるが、税務上の簿価は固定資産の取得価額から圧縮積立金を控除した後の額となり、当該資産の会計上の簿価と税務上の簿価との間に差額が生ずる。 当該差額は、将来の減価償却の実施により、会計上の減価償却費が税務上の減価償却費の損金算入限度額を超過することになり、当該償却超過額に相当する額について圧縮積立金を取り崩し、将来の課税所得の計算上当該圧縮積立金取崩高が加算されることになるため、将来加算一時差異となる。 そのほか、将来加算一時差異の例としては次のものがあげられる。 2 積立金方式による諸準備金等 個別税効果会計実務指針20項では、圧縮積立金、特別償却準備金、その他租税特別措置法上の諸準備金の積立額及び取崩額は、税効果相当額を控除した純額によると規定している。つまり、純資産の部に計上する諸準備金等については、繰延税金負債控除後の純額を積み立てることとなる。 諸準備金等に係る一時差異については、個別税効果会計実務指針15項に従って適用すると税効果額が繰延税金負債として計上され、同額が損益計算書上の法人税等調整額に計上される。これにより、繰越利益剰余金の金額は、法人税等調整額に借記した額だけ税効果会計を適用する前に比べて減少することとなる(個別税効果会計実務指針38項、39項)。 このため、諸準備金等は、純資産の部に繰延税金負債控除後の純額をもって計上することになり、純資産の部に計上する諸準備金等については、繰延税金負債控除後の純額を積み立てることとなる。 いったん純資産の部で積み立てられた諸準備金等は、税務上の加算に対応して取り崩すことになる。 (了)

#No. 24(掲載号)
#阿部 光成
2013/06/20

年次有給休暇管理上の留意点 【第3回】「パートタイム労働者の年次有給休暇」

年次有給休暇 管理上の留意点 【第3回】 「パートタイム労働者の 年次有給休暇」   社会保険労務士 菅原 由紀   ◆年次有給休暇の比例付与とは 年次有給休暇(以下、「年休」という。)の比例付与とは、パートタイム労働者等、通常の一般労働者以外の労働者(短日数労働者)への年次有給休暇の付与をいう。 年次有給休暇の比例付与は、労働基準法39条3項に定められている。 年次有給休暇の比例付与日数は、下表のとおりとなっている。   ◆月ごとの所定労働日数を勤務表等で決めているパートタイム労働者の年休付与 例えば週3回(月・水・金)の勤務等、週単位での所定労働日数が定められているパートタイム労働者の年休付与は、6月経過後、上表の通り5日となる。 一方、週単位での所定労働日数が定められていないパートタイム労働者の年休については、1年間の所定労働日数を基準として付与日数が決定される。 勤務表等により、月単位で所定労働日数を決定している場合、原則として基準日(年休付与日)時点の月の勤務表等の所定労働日数を12倍して1年間の所定労働日数を算定する。例えば、基準日の月の所定労働日数が15日であれば、14日×12=168日となり、6ヶ月経過後の年休付与は5日となる。 しかし、基準日時点の月の労働日数が他の月と比べて極端に少ない場合には、労働者に不利になるため、月ごとの平均的な労働日数を算出して付与される。   ◆勤務形態が変更となった場合の対応 例えば、平成25年4月1日の基準日時点で勤続3年6ヶ月、1日8時間、週3日勤務のパートタイム労働者については、当年分として8日の年休が付与される。 このパートタイム労働者が7月1日付けで週の所定労働日数が4日となった場合、この者についての年休はどのように考えればよいだろうか。 年休はその基準日において発生するため、その年の年休の付与日数は付与日時点の労働契約の定める所定労働日数により決定され付与される。したがって、労働契約が変更された7月1日時点において年休を追加付与する義務はない。 ただし、平成26年4月1日には、その時点で定める所定労働日数に応じた年休を付与する必要がある。また、継続勤続年数は契約更新前の期間と通算される。 したがって、週所定労働日数4日、勤続年数4年6ヶ月の「12日」を与えることになる。 (了)

#No. 24(掲載号)
#菅原 由紀
2013/06/20

〔時系列でみる〕出産・子を養育する社員への対応と運営のヒント 【第8回】「国が支給する両立支援に関連する助成金」

〔時系列でみる〕 出産・子を養育する社員への 対応と運営のヒント 【第8回】 「国が支給する 両立支援に関連する助成金」   社会保険労務士 佐藤 信   1 はじめに 前回までは、出産・子を養育する社員に対し会社が対応すべきことについて触れてきた。 紹介した両立支援策の導入に向けて、各社では、制度の整備、社員教育などの実施をしながら進めていくこととなるが、その中には費用負担の面で、躊躇せざるを得ない施策もあるものと思われる。 そこで今回より2回にわたって、会社に対する国の支援制度(助成金)について触れていくこととする。 助成金は融資制度と異なり、返済を必要としないため、費用面がネックとなり両立支援制度の導入を見送ってきた会社については積極的に活用し、労使双方にとって有益となる制度作りと運用に役立てていただきたい。   2 両立支援制度に関連する助成金 両立支援制度と関連のある助成金として「両立支援助成金」と「キャリアアップ助成金」を取り上げていくこととする。 それぞれ細かな支援策によって、以下のように分かれている。 なお、キャリアアップ助成金は数種類のメニューがあるが、今回は両立支援と関連性の強いものとして「短時間正社員コース」を案内し、その他のもの(処遇や職場環境の改善に対して支給されるもの)については次回取り上げる予定である。   3 両立支援助成金の概要 厚生労働省が実施する各種の助成金・奨励金は多岐にわたるため、まずは「どのようなとき」に支給可能性があるのかを把握し、受給可能性があるものについて詳細(後述する厚生労働省のホームページやパンフレットを参照)を見ていくとよいであろう。 また、これから触れる各助成金の参考資料リンク内に「各雇用関係助成金に共通の要件等」の表示がある。これについては次の【参考1】【参考2】を参照していただきたい。   (1) 事業所内保育施設設置・運営等支援助成金 労働者のための事業所内保育施設を設置する会社等に対し、その設置、運営、増築に係る費用の一部を助成する制度である。   (2) 子育て期短時間勤務支援助成金 就業規則等により子育て期の労働者が利用できる短時間勤務制度を設け、労働者に利用させた会社に対して助成する制度である。   (3) 代替要員確保コース 育児休業取得者の代替要員を確保するとともに、育児休業取得者を原職復帰させた会社に対して助成金を支給する制度である。   (4) 休業中能力アップコース 育児休業又は介護休業中の労働者に対する休業後の再就業を円滑化するための能力の開発及び向上に関する措置を講じた会社に対して、助成金を支給する制度である。 休業期間が長期化するほど職場復帰の際に不安を抱く従業員もいると思われるが、在宅講習を対象とする助成もあるため、円滑な職場復帰の支援策を採るときに活かしていただきたい。 なお、このコースも(3)と同様に、中小企業を対象とするものである。   (5) 期間雇用者継続就業支援コース 有期契約労働者(期間雇用者)について、通常の労働者と同等の要件で育児休業を取得させて育児休業終了後原職復帰させ、あわせて職業生活と家庭生活との両立を支援するための研修等を実施する会社に対して助成金を支給する制度である。 なお、このコースも(3)(4)と同様に、中小企業を対象とするものである。   4 キャリアアップ助成金(短時間正社員コース)の概要 短時間正社員への転換や新たな雇入れを行う会社に対して助成するものであり、主にワーク・ライフ・バランスの観点から正規雇用労働者を短時間正社員に転換するケースや、短時間労働者を短時間正社員に転換するケースなどを想定した助成金である。   5 助成金情報を取得できるリンク集 本文中に両立支援に関する助成金の参考資料(リンク)を案内したが、雇用に関する助成金はその他にも設けられている。 新たな労働者の雇入れ、職場環境の改善、平成25年4月から引き上げられた障害者雇用率(参考:厚生労働省リーフレット)に対応した障害者雇用を行う際など様々な場面で利用し、会社の発展や有能な労働者の確保、能力開発に役立てていただきたい。 ■「雇用関係助成金」検索表 ■事業主の方のための雇用関係助成金 ■平成25年 雇用関係助成金パンフレット(簡略版) ※PDFファイル ■平成25年 雇用関係助成金パンフレット(詳細版)   6 おわりに 助成金は支給条件や支給額など内容変更が行われることが多く、期限付きで実施されるものもあるため、活用の際は定期的に厚生労働省サイトを確認し、最新情報をキャッチしていくことをお薦めしたい。 また、本文中に触れたが、実施予定のない計画策定や実態と異なる内容を記載した支給申請が不正受給と判断され、企業名公表や不正受給額返還の対象となることがある。 自社の制度を充実させることより、「助成金を得る」ことが主目的となるような制度の変更は避けておきたい。 次回(最終回)は、引き続き助成金(労働者の処遇や職場環境の改善を図るときのもの)を取り上げていく予定である。 両立支援制度と並行して社内での働き方や評価制度の見直し、待遇改善等を行う場合には支給対象となることがあるため、活用を検討していくとよいであろう。 (了)

#No. 24(掲載号)
#佐藤 信
2013/06/20

改正金融検査マニュアルのポイントと中小企業へ与える影響 【第2回】「金融機関に求められるものとは?」

改正金融検査マニュアルのポイントと 中小企業へ与える影響 【第2回】 「金融機関に求められるものとは?」   OAG税理士法人 税理士 山下 好一   今回の金融検査マニュアル等の改正により、金融庁が金融機関に対して求めている内容は、以下のとおりである。   1 金融機関による円滑な資金供給の促進 金融機関は、中小企業等の借り手の状況をきめ細かく把握し、他業態も含め関係する他の金融機関等と十分連携を図りながら、円滑な資金供給や貸付けの条件の変更等に努めることが求められる。 特に金融機関は、株式会社地域経済活性化支援機構法第64条の規定の趣旨を十分に踏まえ、地域経済の活性化及び地域における金融の円滑化などについて、適切かつ積極的な取組みが求められる。   2 中小企業等に対する経営支援の強化 中小企業等の事業拡大や経営改善等に当たっては、まずもって、当該企業の経営者が自らの経営の目標や課題を明確に見定め、これを実現・解決するために意欲を持って主体的に取り組んでいくことが重要である。 金融機関は、資金供給者としての役割にとどまらず、必要に応じて、外部専門家・外部機関等とのネットワークを活用し、経営再建計画の策定支援、貸付けの条件の変更等を行った後の継続的なモニタリング、経営相談、指導といったコンサルティング機能を発揮することにより、顧客企業の主体的な取組みに向けた自助努力を、最大限支援していくことが求められている。 特に、貸付残高が多いなど、顧客企業から主たる相談相手としての役割を期待されているメインバンクについては、コンサルティング機能をより一層積極的に発揮し、顧客企業が経営課題を認識した上で経営改善、事業再生等に向けて自助努力できるよう、最大限支援していくことが期待される。 このような顧客企業と金融機関双方の取組みが相乗効果を発揮することにより、顧客企業の事業拡大や経営改善等が着実に図られるとともに、顧客企業の返済能力が改善・向上し、将来の健全な資金需要が拡大していくことを通じて、金融機関の収益力や財務の健全性の向上も図られるという流れを定着させていくことが重要である。 金融機関のコンサルティング機能は、顧客企業の経営課題を把握・分析した上で、適切な助言などにより顧客企業自身の課題認識を深めつつ、主体的な取組みを促し、同時に、最適なソリューションを提案・実行する、という形で発揮されることが一般的であるとみられる。 金融機関に期待される顧客企業に対するコンサルティング機能は、顧客企業の状況や金融機関の規模・特性等に応じて種々多様で、各金融機関において自らの規模・特性、利用者の期待やニーズ等を踏まえ、自主的な経営判断により決定されるべきものであり、金融機関に対して、これら全てを一律・網羅的に求めるものではないとされている。 と、このような内容になっている(「主要行等監督上の評価項目」Ⅲ-5)。 健全な事業を営む顧客に対し、必要な資金を円滑に供給することは、金融機関の最も重要な役割の一つである。したがって、金融機関には、金融仲介機能を積極的に発揮していくことが期待されている。 一方で、金融機関は、金融仲介機能を積極的に発揮していくため、健全な財務基盤と強固で包括的なリスク管理が必要となる。 したがって、金融機関は、このようなコンサルティング機能を発揮することで、リスク管理を行うことができるとともに、財務の健全化も図られるのであるから、積極的に取り組むものと考えられる。 このような金融機関の積極的な支援について、金融検査マニュアル等にもあるように、中小企業等の主体的な取組みがなければ、返済等猶予などの貸付条件の変更等も単に延命措置となってしまい、どのような支援を受けようが経営再建には至らないことを、中小企業等の経営者は認識する必要がある。 なお、金融機関は、新規融資や貸付条件の変更等の相談・申込みに対する顧客説明の適切性・十分性の確保が求められており、これらを謝絶する場合、顧客の理解と納得を得ることを目的とした説明を行わなければならない。 謝絶理由に納得ができない場合、納得できるまで説明を求め、それでも納得できる理由が得られない場合には、金融庁の金融サービス利用者相談室など、「各相談窓口」に相談することもできる。 金融庁に寄せられた相談については、定期的な立入検査の際に、情報として有効に活用している。この場合、社名を伏せるなど、相談者を特定できないようにすることも可能である。 中小企業の積極的な取組みに対しては、金融機関による金融円滑化以外にも、たとえば、経営計画の策定などに係る費用に対する補助金の支援など、「中小企業金融円滑化法の期限到来に当たって講ずる総合的な対策」にあるような支援策が用意されている。 中小企業は、これらの支援策を有効に活用すべきである。 (了)

#No. 24(掲載号)
#山下 好一
2013/06/20
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