組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨
【第15回】
公認会計士 佐藤 信祐
(《第2章》 平成13年度税制改正)
(5) 組織再編税制における移転資産等の譲渡損益の取扱い
① 移転資産等の譲渡損益の計上に係る取扱いの原則
『平成13年版改正税法のすべて』145頁(大蔵財務協会、平成13年)では、譲渡損益の計算について、以下のことが記載されている。
- 現物出資については、従来から、資産等の移転を行った法人が移転資産等の譲渡損益の計上を行うのが原則であるとされており、これに疑義がないことから、平成13年度税制改正では、移転資産等の譲渡損益の計上に係る原則の規定は設けられていない。
- 合併については、従来、移転資産等のキャピタルゲインにつき、合併法人が任意に計上を行うことができるものとされていたため、平成13年度税制改正では、資産等の移転を行った場合の税務上の取扱いの原則に則り、被合併法人が移転資産等を時価により譲渡したものとして譲渡損益の計上を行うことを原則とする規定を設けた(法法62①)。
- 分割については、商法上、合併にならった制度となっていることから、合併と併せて、分割法人が移転資産等を時価により譲渡したものとして譲渡損益の計上を行うことを原則とする旨の規定を設けた。
平成13年当時は、企業結合会計及び事業分離等会計が導入される前であったため、会計上、現物出資については時価取引、合併については時価以下主義となっていたことを考えると、このような制度が設けられたことは理解できる。しかしながら、平成18年に企業結合会計が導入された結果、現物出資であっても、投資が継続しているとみることができる場合には、現物出資法人において譲渡損益を認識しないことになった(事業分離等に関する会計基準19(1)、31)。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。