組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨
【第27回】
公認会計士 佐藤 信祐
(《第2章》 平成13年度税制改正)
4 阿部泰久氏のコメント
(1) 概要
既に述べたように、組織再編税制は、財務省主税局が単独で作ったものではなく、個別の条文については、経済界からの要請を受けたものも少なくない。そのため、当時の経済団体連合会経済本部税制グループ長であった阿部泰久氏が述べられていた内容は、財務省主税局が公式に公表したものではないものの、実務家からすると、貴重な情報源のひとつであったことは疑いがない。
そのうち、最も重要な情報源であると思われるのが、山本守之税理士との対談である「企業組織再編税制の考え方と実務検討」税務弘報49巻6号22-44頁(平成13年)及び、阿部泰久氏が行った講演である「改正の経緯と残された課題」江頭憲治郎ほか編『企業組織と租税法(別冊商事法務252号)』79-92頁(平成14年)である。
このうち、後者の「改正の経緯と残された課題(講演)」は、すでに本連載で触れた内容も多いため、本稿では、企業組織再編税制の考え方と実務検討(山本守之税理士との対談)(以下、「本対談」という)について解説を行うこととする。
(2) 企業組織再編税制の考え方と実務検討(山本守之税理士との対談)
① 金銭等不交付要件
【第4回】で解説したように、本対談では、1円でも金銭等を交付した場合には、交付した部分だけでなく、全体が非適格になった理由につき、実務上のニーズがなかったことから、一種の割り切りとして簡素な税制にしたことが明らかにされている。
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