公開日: 2026/09/10 (掲載号:No.685)
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PJ Bookmark-September 2026- 「その「食」の一皿、税務ではどう扱いますか?」

筆者: Profession Journal 編集部

カテゴリ:



B
PJ Bookmark
── September 2026 ──


その「食」の一皿、
税務ではどう扱いますか?

暑さがやわらぎ、食べものがいっそうおいしく感じられる季節になりました。

会食や接待の機会も、これから増えてくる頃かもしれません。「食」にまつわる税務は、一見どれも見慣れた論点ばかりです。

ところが、その一つひとつに踏み込んでみると、「継続的な取引関係とはどこまでを指すのか」「椅子が一脚あれば外食なのか」「福利厚生費と交際費を分けるものは何か」といった、決着したようでいて実は揺れ続けている問いが顔を出します。

今回は「食」を切り口に、当たり前の裏側にある論点を分野横断で5本ご紹介します。

 

〇 一皿の「食」をめぐって、実務ではどこを見ているか

 

まず取り上げるのは、交際費の判断です。会食費が交際費に当たるかどうか、その支出をどこまで裏付けられれば認められるのか・・・比較的新しい裁判例をもとに、判定の実際をたどるところから始めます →1本目

税務
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例68】「法人の支出する飲食費等のうち交際費等に該当するものの判断基準」
執筆:拓殖大学商学部教授・税理士 安部和彦
取引先との会食費を交際費として処理する。実務では当たり前のように行われていることですが、いざ税務調査でその一つひとつを問われると、案外もろいものかもしれません。この記事は、代表者名義のクレジットカードで支払った飲食代の交際費該当性が争われた比較的新しい裁判例(東京地裁令和5年5月12日判決)をもとに、支出を4類型に分けて「どこまでが認められ、どこからが認められないのか」を丁寧にたどっています。特に、日時・相手方・場所の裏付けをどこまで求められるのかという点は、日々の記帳指導にもそのまま活きてくるように思います。「継続的な取引関係があり、互いに業務を発注し合う間柄」であれば、多少プライベートな色合いがあっても交際費と認められうる・・・その判断の呼吸をつかむのに、格好の一本ではないでしょうか。

同じ飲食費でも、社内での飲食となると論点が変わります。ここでは古い裁判例を通じて、福利厚生費との区分がどう判断されたのかを読み解きます →2本目

税務
理由付記の不備をめぐる事例研究
【第14回】「交際費と福利厚生費」~福利厚生費ではなく交際費等に該当すると判断した理由は?~
執筆:東洋大学法学部教授 泉 絢也
社内の飲食費が「福利厚生費」なのか「交際費」なのか。一部の役員・従業員が社外のバーや小料理店で飲んだ費用の扱いをめぐって争われた、少し古い裁判例(東京地裁昭和56年4月15日判決)を取り上げた記事です。もっとも、この記事の主眼は費目の区分そのものよりも、更正処分の「理由付記」がどこまで書かれていれば足りるのか、という手続的な論点にあります。福利厚生費と交際費の線引きは総合判断によるほかない難しい問題ですが、だからこそ課税庁がどんな根拠を示せば処分が有効となるのか・・・その骨格を読み解くことは、こちら側が反論を組み立てるうえでも参考になりそうです。「専ら従業員の慰安のため」という除外要件の意味を改めて考えさせられる一本です。

消費税に目を移せば、「食」は軽減税率という難所と隣り合わせです。持ち帰りと店内飲食の判定をめぐる素朴な疑問を、少し立ち止まって考えてみます →3本目

税務
山本守之の法人税"一刀両断"
【第58回】「なぜ休憩スペースがあると外食扱いとなるのか」-軽減税率の判定をめぐる疑問-
執筆:税理士 山本守之
軽減税率が導入されて数年が経ち、8%と10%の使い分けもすっかり日常の風景になりました。それでも、「持ち帰りか、店内飲食か」の判定は今なお悩ましい場面が残っているのではないでしょうか。この記事は、スーパーの休憩スペースやイートインをめぐる国税庁Q&Aを引きながら、「椅子やテーブルがあれば外食」という線引きに素朴な疑問を投げかけています。フランスの取扱いとの対比も交えた問題提起は、制度の理屈を改めて考え直すきっかけになりそうです。実務の確認というより、「そもそもなぜこうなっているのか」を立ち止まって味わう読み物として、食欲の秋にふさわしい一本かもしれません。(掲載は2019年で、施行直前の視点である点はご留意ください。)

視点を提供する側に転じると、業種そのものにも固有の論点が見えてきます。ホテル・レストラン業に潜む会計不正のリスクを整理した記事を取り上げます →4本目

会計
〈業種別〉会計不正の傾向と防止策
【第4回】「ホテルレストラン業」
執筆:公認会計士・税理士 中谷敏久
「食」を提供する側に視点を移すとどうでしょうか。この記事は、宿泊・レストラン・宴会婚礼といった部門を抱えるホテルレストラン業を取り上げ、部門ごとに起こりやすい不正のパターンを整理しています。現金の取扱頻度が高く、高級食材やワインといった換金性のある物品が身近にある・・・こうした業種特有の環境が、どんな不正の温床になりうるのか。滞在未収金やダミービルの悪用、厨房からの食材持ち出し、購買部門でのキックバックなど、具体的な手口と防止策が並びます。飲食業の顧問先をお持ちの方には、内部統制を見直す際のチェックリストとして役立つ場面があるように思います。

最後は少し肩の力を抜いて、「食」が生み出す経済の大きさと、その裏側にある食品ロスの問題を、経済効果の視点から眺めてみます →5本目

読み物
プラス思考の経済効果
【第24回】「2024年の恵方巻き等の経済効果と食品ロス」
執筆:関西大学名誉教授・大阪府立大学名誉教授 宮本勝浩
締めくくりは、少し視野を広げた一本です。節分の恵方巻きが、たった1日で300億円を超える売上を生み出す・・・その経済波及効果を試算しつつ、裏側で生じる食品ロスの金額にも光を当てた記事です。数字の大きさそのものに圧倒されて読んでいて面白いのですが、それ以上に、食を扱う商売の華やかさと、廃棄という現実が背中合わせであることを考えさせられます。税務・会計の話からは少し離れますが、「食」というテーマの奥行きを感じていただける、秋の夜長にちょうどよい読み物ではないでしょうか。

Afterword

今回は「食」を切り口に5本の記事をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。交際費の判断、軽減税率、飲食業の会計、そして食の経済・・・ひとつのテーマでも、分野をまたぐとこれだけ違った顔を見せてくれるのだと、あらためて感じました。

最後にご紹介した宮本勝浩名誉教授の連載「プラス思考の経済効果」は書籍化もされています。様々な社会現象によって生まれる「経済効果」とは、どのようなものであるかという基礎をわかりやすく解説するとともに、経済効果の事例をたくさん紹介しています。秋の夜長の読書の1冊にいかがでしょうか。

Profession Journal

(了)

「PJ Bookmark」は、不定期の掲載となります。



B
PJ Bookmark
── September 2026 ──


その「食」の一皿、
税務ではどう扱いますか?

暑さがやわらぎ、食べものがいっそうおいしく感じられる季節になりました。

会食や接待の機会も、これから増えてくる頃かもしれません。「食」にまつわる税務は、一見どれも見慣れた論点ばかりです。

ところが、その一つひとつに踏み込んでみると、「継続的な取引関係とはどこまでを指すのか」「椅子が一脚あれば外食なのか」「福利厚生費と交際費を分けるものは何か」といった、決着したようでいて実は揺れ続けている問いが顔を出します。

今回は「食」を切り口に、当たり前の裏側にある論点を分野横断で5本ご紹介します。

 

〇 一皿の「食」をめぐって、実務ではどこを見ているか

 

まず取り上げるのは、交際費の判断です。会食費が交際費に当たるかどうか、その支出をどこまで裏付けられれば認められるのか・・・比較的新しい裁判例をもとに、判定の実際をたどるところから始めます →1本目

税務
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説
【事例68】「法人の支出する飲食費等のうち交際費等に該当するものの判断基準」
執筆:拓殖大学商学部教授・税理士 安部和彦
取引先との会食費を交際費として処理する。実務では当たり前のように行われていることですが、いざ税務調査でその一つひとつを問われると、案外もろいものかもしれません。この記事は、代表者名義のクレジットカードで支払った飲食代の交際費該当性が争われた比較的新しい裁判例(東京地裁令和5年5月12日判決)をもとに、支出を4類型に分けて「どこまでが認められ、どこからが認められないのか」を丁寧にたどっています。特に、日時・相手方・場所の裏付けをどこまで求められるのかという点は、日々の記帳指導にもそのまま活きてくるように思います。「継続的な取引関係があり、互いに業務を発注し合う間柄」であれば、多少プライベートな色合いがあっても交際費と認められうる・・・その判断の呼吸をつかむのに、格好の一本ではないでしょうか。

同じ飲食費でも、社内での飲食となると論点が変わります。ここでは古い裁判例を通じて、福利厚生費との区分がどう判断されたのかを読み解きます →2本目

税務
理由付記の不備をめぐる事例研究
【第14回】「交際費と福利厚生費」~福利厚生費ではなく交際費等に該当すると判断した理由は?~
執筆:東洋大学法学部教授 泉 絢也
社内の飲食費が「福利厚生費」なのか「交際費」なのか。一部の役員・従業員が社外のバーや小料理店で飲んだ費用の扱いをめぐって争われた、少し古い裁判例(東京地裁昭和56年4月15日判決)を取り上げた記事です。もっとも、この記事の主眼は費目の区分そのものよりも、更正処分の「理由付記」がどこまで書かれていれば足りるのか、という手続的な論点にあります。福利厚生費と交際費の線引きは総合判断によるほかない難しい問題ですが、だからこそ課税庁がどんな根拠を示せば処分が有効となるのか・・・その骨格を読み解くことは、こちら側が反論を組み立てるうえでも参考になりそうです。「専ら従業員の慰安のため」という除外要件の意味を改めて考えさせられる一本です。

消費税に目を移せば、「食」は軽減税率という難所と隣り合わせです。持ち帰りと店内飲食の判定をめぐる素朴な疑問を、少し立ち止まって考えてみます →3本目

税務
山本守之の法人税"一刀両断"
【第58回】「なぜ休憩スペースがあると外食扱いとなるのか」-軽減税率の判定をめぐる疑問-
執筆:税理士 山本守之
軽減税率が導入されて数年が経ち、8%と10%の使い分けもすっかり日常の風景になりました。それでも、「持ち帰りか、店内飲食か」の判定は今なお悩ましい場面が残っているのではないでしょうか。この記事は、スーパーの休憩スペースやイートインをめぐる国税庁Q&Aを引きながら、「椅子やテーブルがあれば外食」という線引きに素朴な疑問を投げかけています。フランスの取扱いとの対比も交えた問題提起は、制度の理屈を改めて考え直すきっかけになりそうです。実務の確認というより、「そもそもなぜこうなっているのか」を立ち止まって味わう読み物として、食欲の秋にふさわしい一本かもしれません。(掲載は2019年で、施行直前の視点である点はご留意ください。)

視点を提供する側に転じると、業種そのものにも固有の論点が見えてきます。ホテル・レストラン業に潜む会計不正のリスクを整理した記事を取り上げます →4本目

会計
〈業種別〉会計不正の傾向と防止策
【第4回】「ホテルレストラン業」
執筆:公認会計士・税理士 中谷敏久
「食」を提供する側に視点を移すとどうでしょうか。この記事は、宿泊・レストラン・宴会婚礼といった部門を抱えるホテルレストラン業を取り上げ、部門ごとに起こりやすい不正のパターンを整理しています。現金の取扱頻度が高く、高級食材やワインといった換金性のある物品が身近にある・・・こうした業種特有の環境が、どんな不正の温床になりうるのか。滞在未収金やダミービルの悪用、厨房からの食材持ち出し、購買部門でのキックバックなど、具体的な手口と防止策が並びます。飲食業の顧問先をお持ちの方には、内部統制を見直す際のチェックリストとして役立つ場面があるように思います。

最後は少し肩の力を抜いて、「食」が生み出す経済の大きさと、その裏側にある食品ロスの問題を、経済効果の視点から眺めてみます →5本目

読み物
プラス思考の経済効果
【第24回】「2024年の恵方巻き等の経済効果と食品ロス」
執筆:関西大学名誉教授・大阪府立大学名誉教授 宮本勝浩
締めくくりは、少し視野を広げた一本です。節分の恵方巻きが、たった1日で300億円を超える売上を生み出す・・・その経済波及効果を試算しつつ、裏側で生じる食品ロスの金額にも光を当てた記事です。数字の大きさそのものに圧倒されて読んでいて面白いのですが、それ以上に、食を扱う商売の華やかさと、廃棄という現実が背中合わせであることを考えさせられます。税務・会計の話からは少し離れますが、「食」というテーマの奥行きを感じていただける、秋の夜長にちょうどよい読み物ではないでしょうか。

Afterword

今回は「食」を切り口に5本の記事をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。交際費の判断、軽減税率、飲食業の会計、そして食の経済・・・ひとつのテーマでも、分野をまたぐとこれだけ違った顔を見せてくれるのだと、あらためて感じました。

最後にご紹介した宮本勝浩名誉教授の連載「プラス思考の経済効果」は書籍化もされています。様々な社会現象によって生まれる「経済効果」とは、どのようなものであるかという基礎をわかりやすく解説するとともに、経済効果の事例をたくさん紹介しています。秋の夜長の読書の1冊にいかがでしょうか。

Profession Journal

(了)

「PJ Bookmark」は、不定期の掲載となります。

連載目次

筆者紹介

Profession Journal 編集部

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