公開日: 2014/03/20 (掲載号:No.61)
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[個別対応方式及び一括比例配分方式の有利選択を中心とした]95%ルール改正後の消費税・仕入税額控除の実務 【第2回】「個別対応方式と用途区分①」

筆者: 安部 和彦

[個別対応方式及び一括比例配分方式の有利選択を中心とした]

95%ルール改正後の

消費税・仕入税額控除の実務

【第2回】

「個別対応方式と用途区分①」

 

国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦

 

1 用途区分の意義

(1) 個別対応方式と用途区分

本連載では消費税の仕入税額控除の実務についてみているところであるが、第2回となる今回、及び次回の第3回で、実額控除制度のうちの一つである個別対応方式について解説する。

付加価値税である消費税の仕組みにおいて最も重要な要素としては、仕入税額控除制度がある。仕入税額控除制度は、課税の累積を排除するため、前段階の税額である課税仕入れに含まれる消費税額を控除する仕組みである。

仕入税額控除制度については、課税仕入税額につき実額での控除を計算する方法として、個別対応方式と一括比例配分方式の2つがある。このうち一括比例配分方式においては、課税仕入れ等に係る消費税額について、特にその中身を区分することなく課税売上割合で按分計算した金額を仕入控除税額とする方法を採っている。一方、個別対応方式においては、課税仕入れ等に係る消費税額について、対応する売上(資産の譲渡等)により必ず以下の3種類のうちのいずれか一つに分類し、その分類に基づき仕入控除税額を計算する方法を採っている(消法30②一)。

 課税資産の譲渡等にのみ要するもの(課税売上対応分)

 その他の資産(非課税資産)の譲渡等にのみ要するもの(非課税売上対応分)

 上記①②に共通して要するもの(共通売上対応分)

個別対応方式におけるこのような3つの分類のことを一般に「用途区分」という。

ここで重要なのは、個別対応方式の適用の際には、上記用途区分が必須とされているということである。すなわち、用途区分を行わないと個別対応方式による仕入控除税額の計算はできず、税務調査においても否認されることとなるのである。

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95%ルール改正後の

消費税・仕入税額控除の実務

【第2回】

「個別対応方式と用途区分①」

 

国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦

 

1 用途区分の意義

(1) 個別対応方式と用途区分

本連載では消費税の仕入税額控除の実務についてみているところであるが、第2回となる今回、及び次回の第3回で、実額控除制度のうちの一つである個別対応方式について解説する。

付加価値税である消費税の仕組みにおいて最も重要な要素としては、仕入税額控除制度がある。仕入税額控除制度は、課税の累積を排除するため、前段階の税額である課税仕入れに含まれる消費税額を控除する仕組みである。

仕入税額控除制度については、課税仕入税額につき実額での控除を計算する方法として、個別対応方式と一括比例配分方式の2つがある。このうち一括比例配分方式においては、課税仕入れ等に係る消費税額について、特にその中身を区分することなく課税売上割合で按分計算した金額を仕入控除税額とする方法を採っている。一方、個別対応方式においては、課税仕入れ等に係る消費税額について、対応する売上(資産の譲渡等)により必ず以下の3種類のうちのいずれか一つに分類し、その分類に基づき仕入控除税額を計算する方法を採っている(消法30②一)。

 課税資産の譲渡等にのみ要するもの(課税売上対応分)

 その他の資産(非課税資産)の譲渡等にのみ要するもの(非課税売上対応分)

 上記①②に共通して要するもの(共通売上対応分)

個別対応方式におけるこのような3つの分類のことを一般に「用途区分」という。

ここで重要なのは、個別対応方式の適用の際には、上記用途区分が必須とされているということである。すなわち、用途区分を行わないと個別対応方式による仕入控除税額の計算はできず、税務調査においても否認されることとなるのである。

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連載目次

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
拓殖大学商学部教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。
平成26年9月、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士後期課程単位修得退学
平成27年3月、博士(経営法) 一橋大学
令和3年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野教授に就任。
令和5年4月、拓殖大学商学部教授に就任。

【主要著書】
・『事例で解説 法人税の損金経理』(2024年・清文社)
・『三訂版 医療・福祉施設における消費税の実務』(2023年・清文社)
・『改訂 消費税 インボイス制度導入の実務』(2023年・清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ消費税の判定誤りと実務対応』(2020年・清文社)
・『消費税 軽減税率対応とインボイス制度 導入の実務』(2019年・清文社)
・『[第三版]税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(2017年・清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(2017年・清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与の実務Q&A』(2016年・清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税』(2016年・清文社)
・『Q&Aでわかる消費税軽減税率のポイント』(2016年・清文社)
・『Q&A医療法人の事業承継ガイドブック』(2015年・清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(2014年・清文社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(2013年・清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(2013年・清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(2011年・清文社)
・『相続税調査であわてない「名義」財産の税務(第3版)』(2021年・中央経済社)
・『相続税調査であわてない不動産評価の税務』(2015年・中央経済社)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(2013年・中央経済社)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(2012年・税務経理協会)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(2012年・税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(2011年・税務経理協会)
・『ケーススタディ 中小企業のための海外取引の税務』(2020年・ぎょうせい)
・『消費税の税率構造と仕入税額控除』(2015年・白桃書房)

【ホームページ】
https://wasai-consultants.com

             

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