[個別対応方式及び一括比例配分方式の有利選択を中心とした]
95%ルール改正後の
消費税・仕入税額控除の実務
【第2回】
「個別対応方式と用途区分①」
国際医療福祉大学大学院准教授
税理士 安部 和彦
1 用途区分の意義
(1) 個別対応方式と用途区分
本連載では消費税の仕入税額控除の実務についてみているところであるが、第2回となる今回、及び次回の第3回で、実額控除制度のうちの一つである個別対応方式について解説する。
付加価値税である消費税の仕組みにおいて最も重要な要素としては、仕入税額控除制度がある。仕入税額控除制度は、課税の累積を排除するため、前段階の税額である課税仕入れに含まれる消費税額を控除する仕組みである。
仕入税額控除制度については、課税仕入税額につき実額での控除を計算する方法として、個別対応方式と一括比例配分方式の2つがある。このうち一括比例配分方式においては、課税仕入れ等に係る消費税額について、特にその中身を区分することなく課税売上割合で按分計算した金額を仕入控除税額とする方法を採っている。一方、個別対応方式においては、課税仕入れ等に係る消費税額について、対応する売上(資産の譲渡等)により必ず以下の3種類のうちのいずれか一つに分類し、その分類に基づき仕入控除税額を計算する方法を採っている(消法30②一)。
① 課税資産の譲渡等にのみ要するもの(課税売上対応分)
② その他の資産(非課税資産)の譲渡等にのみ要するもの(非課税売上対応分)
③ 上記①②に共通して要するもの(共通売上対応分)
個別対応方式におけるこのような3つの分類のことを一般に「用途区分」という。
ここで重要なのは、個別対応方式の適用の際には、上記用途区分が必須とされているということである。すなわち、用途区分を行わないと個別対応方式による仕入控除税額の計算はできず、税務調査においても否認されることとなるのである。
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