会計上の『重要性』
判断基準を身につける
~目指そう!決算効率化~
【第5回】
「ガラス片は小さくても危ない」
~質的重要性の話
公認会計士 石王丸 周夫
重要性の基準値の算定方法を解説する前に、「質的重要性」という考え方に触れておきたいと思います。
まず手始めに、以下の問題にチャレンジしてみてください(解答は問題のすぐ下にあります)。
〔問題5〕
次のア~ウの記述のうち、誤っているものが2つある。
その記号の組合せの番号を1つ選びなさい。
ア 重要性の判断は、金額的に大きいかどうかという量的な判断だけでなく、質的に重要かどうかという観点もふまえて行われる。
イ 会計処理の誤りで、それを修正すると黒字が赤字となってしまうものは質的重要性が高いが、赤字が黒字となるものは質的重要性が乏しい。
ウ 翌年度の財務諸表に与える影響が大きい場合でも、当年度の財務諸表に与える影響が小さい限り、会計処理が問題とされることはない。
1・・・ア、イ
2・・・ア、ウ
3・・・イ、ウ
〔解答〕 3
いかがでしたか? 正解できたでしょうか。
前回まで、金額の大小による重要性判断を前提に話を進めてきましたが、本問では、取引の内容や性質等による重要性という概念を扱っています。以下、この解答について触れながら、解説していきます。
《小さなガラス片が砂に混じっていたら》
【第4回】で取り上げた「砂場の話のたとえ」を再び使います。
これは、砂場の砂をふるいにかけてきれいにする話でした。子供が安全に遊べるように、大きな石が混じっていたら取り除いてあげるというのが、砂をふるいにかける目的です。
砂をふるいにかけると、ふるいの目を通り抜けていかないような石が網の上に残ります。その程度の大きさの石が取り除かれれば、目的は達成されるとします。
しかし、本当にそれで砂場の砂は安全になるでしょうか?
例えば、ガラス片が砂に混じっていたらどうでしょう。
しかも、ふるいの目を通り抜けてしまうような小さなガラス片だとしたら・・・
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。