税理士ができる
『中小企業の資金調達』支援実務
【第3回】
「資金調達支援における税理士の役割(その2)」
~仲介者としての支援内容とは~
公認会計士・中小企業診断士・税理士
西田 恭隆
前回、「資金調達支援において、税理士は社長と金融機関の間に立つ仲介者である」と述べたが、今回はその仲介者としての支援内容について説明する。
1 融資交渉に必要な資料とは
両者の融資交渉を仲介するには、
- 社長が金融機関に何を伝えたいのか
- 金融機関はどのような情報を欲しているのか
ということについて理解する必要がある。この2点を理解することで、両社の情報共有を促すことができ、交渉も円滑に進めることができる。
まず「社長が金融機関に伝えたいこと」は、資金の必要性と使い道、そして返済は可能であるということである。一方「金融機関が知りたいこと」は、返済が確実に行われるかどうかということ、そして返済が滞った場合の回収方法についてである。
そこで、社長が伝えたい情報と、金融機関が知りたい情報を共に含む資料があれば、情報共有及び交渉は円滑に進む。その資料として作成されるのが、
- 「事業計画書」
- 「資金繰り表」
- 「決算書」
である。税理士はこれらの資料の作成を支援することで、仲介者としての役割を果たすことができる。
では、事業計画書や資金繰り表とはどういう資料なのか。また融資資料としての決算書はどういった意味を持つのだろうか。以下、それぞれの資料について概要を解説する(各資料作成のポイントについては、改めて回を設ける予定である)。
2 事業計画書の作成・提出をする目的
まず事業計画書とは、「会社がどのような事業を行って売上と利益をあげる予定なのか」を説明する書類であり、資金の必要性、資金の使い道、返済原資となる利益がどの程度発生するのかを金融機関に伝えるものである。
事業計画書は大きく2つの部分から構成される。それは、事業内容を「文章で説明する部分」と、それを「計数で説明する部分」である。
まず「文章で説明する部分」では、事業の目的、商品サービスの内容、自社の強み、事業スケジュールなどが記述される。売上や利益の根拠説明となる。
一方、売上や利益をいつ、いくら獲得できるのかを説明するのが「計数で説明する部分」である。この部分は損益計算書と同様の形をとることが多く、損益計算書は実績、事業計画書は予測、という違いがあるだけである。発生主義ベースで作成する点も同様である。
金融機関が最も関心を寄せるのは「会社が毎月の利息及び返済額を上回る利益を確保できるか」という点であるから、それに答える資料として、月次事業計画書が必要となる。以下は月次事業計画書の例である。
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