公開日: 2013/12/12 (掲載号:No.48)
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会計リレーエッセイ 【第12回】「M&A会計からみた日本の姿」

筆者: 渡辺 章博

会計リレーエッセイ

【第12回】

「M&A会計からみた日本の姿」

 

GCAサヴィアン株式会社
代表取締役 渡辺 章博

 

私は1982年に日本の監査の世界を飛び出し、会計士のメジャーリーグである米国に単身、渡りました。

そこで“Substance Over Form”という、会計の本質に出会ったのです。

その後帰国して、経営者として上場とM&Aの経験を通じて感じたことを、少し長くなりますが、お話したいと思います。

 

〈米国流会計の衝撃〉

始まりは、日本企業の米国子会社の監査をしていた時の話です。
その子会社は経営不振で親会社から補助(いわゆるミルク補給)を受けて利益を計上していました。

財務諸表が出来上がり(注:米国では監査意見を添付する決算書を会計士が作成します)、レビューを担当していた米国人パートナーに提出しました。

その時のレビューパートナーの言葉が忘れられません。

「お前、この決算書は実態を表していると思うか?」と言われたのです。

私は何のことかわからず「親会社と子会社の間には契約書があり、子会社は利益を計上できるはずです」と反論しました。

するとそのパートナーは、こう言いました。

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【第12回】

「M&A会計からみた日本の姿」

 

GCAサヴィアン株式会社
代表取締役 渡辺 章博

 

私は1982年に日本の監査の世界を飛び出し、会計士のメジャーリーグである米国に単身、渡りました。

そこで“Substance Over Form”という、会計の本質に出会ったのです。

その後帰国して、経営者として上場とM&Aの経験を通じて感じたことを、少し長くなりますが、お話したいと思います。

 

〈米国流会計の衝撃〉

始まりは、日本企業の米国子会社の監査をしていた時の話です。
その子会社は経営不振で親会社から補助(いわゆるミルク補給)を受けて利益を計上していました。

財務諸表が出来上がり(注:米国では監査意見を添付する決算書を会計士が作成します)、レビューを担当していた米国人パートナーに提出しました。

その時のレビューパートナーの言葉が忘れられません。

「お前、この決算書は実態を表していると思うか?」と言われたのです。

私は何のことかわからず「親会社と子会社の間には契約書があり、子会社は利益を計上できるはずです」と反論しました。

するとそのパートナーは、こう言いました。

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連載目次

「会計リレーエッセイ」(全12回)

筆者紹介

渡辺 章博

(わたなべ・あきひろ)

GCAサヴィアン株式会社 代表取締役
マネージングディレクター
http://www.gcasavvian.com/jp

米国・日本公認会計士。中央大学商学部会計学科卒。31年以上M&Aアドバイザリー業務に従事し、KPMG時代から現在にいたるまで、扱った案件は1,000を超える。

1982年、単身米国に渡りKPMGニューヨーク事務所にてM&A部門に勤務。1994年帰国、KPMGコーポレイトファイナンスの代表としてM&A案件のアドバイザリーや企業価値評価、買収監査等のサービスを提供。2002年4月グローバルコーポレイトアドバイザリー株式会社代表取締役就任。2003年5月ベリングポイント社のエグゼクティブアドバイザーを兼務。2004年4月GCA株式会社代表取締役就任、2008年3月GCAサヴィアングループ株式会社(現/GCAサヴィアン株式会社)代表取締役就任。2011年11月に国際評価基準審議会(IVSC)の評議委員に就任。

主なアドバイザリー実績としては、日興コーディアルグループとシティグループの資本提携、リコーによるIBMのプリンター事業の買収、三共と第一製薬の経営統合、松下興産の再編、松下電器のMCA社買収・売却、松下電器による上場子会社の完全子会社化、メルシャンと麒麟麦酒の資本提携、カーライルによる塩野義製薬からのカプセル事業の買収、TDKの米国半導体製造会社シリコン・システム社のテキサス・インスツルメント社への売却やヘッドウエイ社の買収、ミドリ十字と吉富製薬との合併、JTによる鳥居薬品の公開買付による買収など多くの海外・国内案件がある。

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