相続税の実務問答 【第82回】「令和5年までに行われた贈与(暦年課税)の相続税の課税価格への加算」
私の父は93歳になりました。父が亡くなったときの相続税の負担を少しでも軽くしたいとの思いで、令和元年から毎年、私の誕生日である11月1日に、父から現金を贈与してもらい、贈与税の申告・納税をしています。申告に当たっては、相続時精算課税の選択はしていません。
令和5年にも、父から現金300万円の贈与を受け、贈与税の申告・納税をするつもりです。令和5年分の贈与についても相続時精算課税を選択するつもりはありません。
ところで、令和5年の税制改正により、暦年贈与の贈与者が亡くなった場合の相続税の課税価格に加算される贈与が、「相続開始前3年以内」のものから、「相続開始前7年以内」のものに改正されたことを新聞記事で知りました。そうしますと、仮に今年父が亡くなった場合には、令和元年から行われてきた父からの贈与の全てが相続税の課税価格に加算されることとなってしまうのでしょうか。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第48回】「株式報酬制度に関する役員と従業員の相違点」
当社は、役員を対象として株式報酬制度を導入しています。この株式報酬制度が役員のモチベーションを高めたことにより、業績の向上につながりました。そこで、株式報酬制度の対象を執行役員やその他幹部従業員にも拡大し、同様の成果を期待するとともに、優秀な人材の確保や離脱防止につなげたいと考えています。
ここで、役員を対象とした株式報酬制度には役員であること特有の留意点があると認識していますが、執行役員やその他幹部従業員に対して株式報酬制度を導入する場合に知っておくべきことはありますか。
基礎から身につく組織再編税制 【第51回】「株式分配の概要」
「株式分配」とは、現物分配のうち、現物分配直前において現物分配法人により発行済株式の全部を保有されていた法人(完全子法人)のその発行済株式の全部が移転するもの(※)をいいます(法法2十二の十五の二)。
「人的資本可視化指針」の内容と開示実務における対応のポイント 【第2回】「人的資本可視化の方法と参考となるフレームワークや考え方」
【第1回】では、人的資本の可視化のニーズの高まりとその背景、国内外の開示規制の動向について解説を行った。人的資本の可視化を推進することにより、企業は投資家の理解を得ながら、中長期的に企業価値の向上を実現することが期待されている。
【第2回】においては、人的資本の可視化の方法について、参考となるフレームワークや考え方を紹介するとともに、可視化を行う際の開示実務上の対応のポイントを解説する。
内部統制報告制度改訂案のポイントを読み解く 【第3回】「業務プロセス選定手続と評価範囲の変更の可能性」
財務報告に係る内部統制の評価及び報告において示された改訂点のうち、「経営者による内部統制の評価範囲の決定」に重点を置いて分析をしたい。具体的には、業務プロセスに関わる重要な事業拠点の選定や企業の事業目的に大きく関わる勘定科目に関する考え方が今後も更に、企業会計審議会において段階的に検討され、大きく変貌する可能性が想定されるからである。
〔まとめて確認〕会計情報の四半期速報解説 【2023年4月】期末決算(2023年3月31日)
3月決算会社を想定し、期末決算(2023年3月31日)に関連する速報解説のポイントについて、改めて紹介する。
基本的に2023年1月1日から3月31日までに公開した速報解説を対象としている。
期末決算でも、すでに公表した四半期決算に関連する速報解説に引き続き注意する必要がある。
具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第118回】「節税商品取引を巡る法律問題(その12)」
さて、国税庁の実施する文書回答手続は、具体的に節税商品取引における課税上の取扱いに係るグレーゾーンを排除することに資するのであろうか。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第13回】「国税通則法23条(2)」-通常の更正の請求と特別の更正の請求-
国税通則法23条1項は、納税者の提出した納税申告書(同法2条6号)に係る課税標準等(同号イ~ハ。同法19条1項柱書参照)又は税額等(同法2条6号ニ~ヘ。同法19条1項柱書参照)の記載の中に、納税者に不利な一定の過誤(同法23条1項1号~3号)があることを要件(過誤要件)として、これが充足された場合に、当該課税標準等又は当該税額等につき更正をすべき旨の請求をすることができると定めているが、この請求が「更正の請求」といわれるものである(同条2項柱書参照。以下「1項更正の請求」という)。
〈徹底分析〉租税回避事案の最新傾向 【第7回】「株式譲渡損と受取配当の両建て」
被買収会社の株主等が内国法人である場合には、株式譲渡前に剰余金の配当を行うことにより、株式譲渡益を受取配当に付け替えることができる。受取配当等の益金不算入が二重課税の排除を目的にしていることを考えれば、その範囲内で行われる限り、租税回避として認定することはできない。
