租税争訟レポート 【第55回】「弁護士法人の債務整理事業担当者による横領と重加算税(東京地方裁判所令和2年7月14日判決)」
本件は、弁護士法人である原告が、渋谷税務署長から、平成23年12月期から平成25年12月期までの各事業年度について、所得金額が過少であるとして、法人税の更正処分(審査裁決により一部取り消された後のもの)及び重加算税の賦課決定処分(審査裁決により一部取り消された後のもの)を受けたことから、その取消しを求める事案である。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第88回】「業務委託に関する契約書③(不動産販売委託契約書)」
当社は不動産販売会社です。デベロッパーから分譲マンションの販売委託を受け、販売の斡旋、購入申込みの受付等を委託することを約するため、下記の「不動産販売委託契約書」を作成することとしました。印紙税の取扱いはどうなりますか。
新収益認識基準適用にあたっての総復習ポイント 【前編】
ASBJより2018年3月30日に企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準(以下、「収益基準」という)」及び企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針(以下、「収益指針」という)」が公表された。
その後、収益基準及び収益指針は2020年3月31日に改正され表示科目、注記事項が明確になった。さらに、収益指針は2021年3月26日に改正され、電気事業及びガス事業において検針日基準による収益認識を認めない旨が明らかになった。
〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第15回】「「中小M&A推進計画」を対象企業の見方・見られ方に活かす(前編)」
2021年4月28日に中小企業庁が取りまとめた「中小M&A推進計画」は、経営者の高齢化や新型コロナウイルス感染症の影響といった現状の中小企業が抱える諸課題に対応し、将来に向けて中小M&Aを推進するため今後5年間に実施すべき官民の取組を示すものです。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第2回】「租税立法の違憲審査基準」-大嶋訴訟・最[大]判昭和60年3月27日民集39巻2号247頁-
今回は、大嶋訴訟・最[大]判昭和60年3月27日民集39巻2号247頁(拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)欄外番号【14】~【20】。以下、見出しでは「大嶋訴訟大法廷判決」といい、本文では「本判決」という)を取り上げる。
本判決については、わが国の税法判例のうち最も重要な基本判例の1つであることに異論がないと思われるが(判例評釈集として定評のある租税判例百選[第6版・2016年]でも本判決に関する金子宏「判批」が冒頭に掲載されている)、筆者は本判決を、税法の解釈適用においても実質主義との相克(谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」【第6回】以下参照)を経て租税法律主義を重視する傾向が強まってきた時期に位置づけ、次のように述べたことがある(拙稿「租税回避と税法の解釈適用方法論-税法の目的論的解釈の『過形成』を中心に-」岡村忠生編著『租税回避研究の展開と課題〔清永敬次先生謝恩論文集〕』(ミネルヴァ書房・2015年)1頁、5頁注17)。
これからの国際税務 【第25回】「バイデン政権の国際課税改革とデジタル課税」
本年3月末に米国バイデン大統領は、今後8年間にわたる2兆2,500億ドル規模のインフラ投資計画を発表し、そのための財源措置として財務省は”Made in America Tax Plan(以下「プラン」と略す)“と呼ばれる法人税増税措置案を4月に公表した。
その中心をなす施策は、トランプ前政権が行った大幅な法人税率引下げ(35%から21%へ)規模を半分に縮小する(中間点である28%に逆戻り)ものであるが、その際に、米国企業や米国労働者の税負担面での国際競争力維持にも配慮しながら、利益の海外流出の阻止を徹底化する方向での重要な国際課税ルールの改正も付加している。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例98(所得税)】 「「相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例」の適用ができたにもかかわらず、届出書の提出を失念したため、適用できなくなってしまった事例」
令和Y年分の所得税申告において、同年に実父から相続により取得した非上場株式を発行会社に譲渡した際、「相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例」(以下単に「みなし配当課税の特例」という)の適用ができたにもかかわらず、届出書の提出を失念したため、適用できなくなってしまった。これにより、所得税等につき過大納付が発生し、損害賠償請求を受けたものである。
居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第31回】「第三者を介在させて特殊関係者へ譲渡した場合」-特殊関係者に対する譲渡-
Xは、20年間居住の用に供して来た家屋とその土地を不動産業者Fに2,000万円で売却しました。
その約2ヶ月後に、Fは、その家屋と土地をXの長男であるZに30万円上積みして2,030万円で売却しました。
なお、登記は、XからZに直接しました。
他の適用要件が具備されている場合、「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることができるでしょうか。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第5回】「造成中の墓地の固定資産税は非課税か否かで争われた判例」
第4回において、学校法人等がその設置する学校において直接保育又は教育の用に供する固定資産の非課税(地方税法第348条第2項第9号)が争われた事案を検討したが、今回は、墓地(地方税法第348条第2項第4号)の非課税が争われた事案について検討する。
