法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例27】「支払利息の損金性と同族会社の行為計算否認」
私は、都内の外資系製薬メーカーである合同会社Aで財務及び経理を担当するマネージャーです。日本の医薬品市場は、今後予想される人口減少により先行きは不透明なところがありますが、幸いなことにA社は治療効果が良好な新薬をいくつか抱えているため、業績は好調であるといえます。
ところでA社は、30年ほど前から日本に拠点を置いて事業展開を行っており、その間にいくつかの子会社を設立して企業グループを形成しております。A社の親会社B社はフランス法人ですが、全世界的なグループ事業最適化の一環で、数年前にA社が中心となって日本事業の再構築を行っております。当該事業再構築の主眼は、日本国内に研究開発の拠点を新設することで、その資金を賄うため、A社は親会社B社から借入れを行っております。これは親会社の高い信用力に基づきB社が欧州において低利で資金調達し、その資金をA社に付け替えるというもので、財務上の合理性は十分あると自負しております。
居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第19回】「家屋の所有者に譲渡損失がなく、土地の所有者に譲渡損失がある場合」-居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合-
X(夫)は、Y(妻)と共に9年程前から住んでいたY所有の家屋とX所有の土地を売却しました。
Y所有の家屋には譲渡損失は発生しませんでしたが、X所有の土地には譲渡損失が発生しました。
家屋と土地の所有が異なる場合でも、その他の適用要件が具備されている場合は、「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることができるでしょうか。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第4回】「残余利益分割法による基本利益及び分割利益の算定方法」
前回に引き続き、上村工業事件東京地裁判決を用いて、残余利益分割法を適用した場合の独立企業間価格と国外移転所得額の算定過程を検証する。事件の概要は前回記事を参照されたい。なお、筆者が入手できたデータの制約から、以下では本件B取引に係る独立企業間価格と国外移転所得の算定過程に限定して解説することとする。
〔Q&Aで解消〕診療所における税務の疑問 【第5回】「認定医療法人制度を活用した相続税・贈与税の納税猶予の留意点」
【Q】
医療法人の出資持分に対する相続税についても納税猶予が適用できると聞きましたが、どのような制度なのでしょうか。
2021年3月期決算における会計処理の留意事項 【第1回】
3月の決算の時期が近づいてきました。当期も決算にあたり、確認しなければいけない事項が多くあります。そこで、4回にわたり2021年3月期決算における会計処理の留意事項を解説します。
なお、本解説では、3月31日を決算日とする会社を前提に解説しています。
〔中小企業のM&Aの成否を決める〕対象企業の見方・見られ方 【第12回】「他人事ではいけない調査の心得」~資料準備編~
中小企業のM&Aの過程で売り手に対して行われる調査は、M&A当事者にとって大事なステップであり、売り手の実態を知る上で欠かせません。
M&Aの多くのケースで、この調査はデューデリジェンス(デュー・ディリジェンス)という手法が取られます。デューデリや、デューデリジェンスのアルファベットの頭文字を取ってDDと呼ばれる場合もあります。
計算書類作成に関する“うっかりミス”の事例と防止策 【第34回】「決算書の勘定科目を素読せよ」
計算書類にはうっかりミスがつきものです。
実際、こんなミスが起きています。
令和2年度税制改正における国外財産調書制度の見直し 【第5回】
国外財産に係る所得税又は国外財産に対する相続税に関し修正申告等があり、過少申告加算税又は無申告加算税の適用がある居住者が、その修正申告等があった日前に、国税庁、国税局又は税務署の当該職員から国外財産調書に記載すべき国外財産の取得、運用又は処分に係る一定の書類(その電磁的記録を含む)又はその写しの提示又は提出を求められた場合において、その提示又は提出を求められた日から60日を超えない範囲内でその提示又は提出の準備に通常要する日数を勘案して当該職員が指定する日までにその提示又は提出をしなかったとき(その居住者の責めに帰すべき事由がない場合を除く)における軽減措置又は加重措置の適用については、次のとおりとされた(調書法6⑦)。
居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第18回】「買換資産を取得した年の12月31日以前に住宅借入金を全額返済した場合」-居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合-
X(夫)とY(妻)は、共に12年程前から住んでいたX所有のA家屋を1,000万円で、Y所有のA土地を2,000万円で、本年3月に売却しました。
買換資産Bに係る購入価額は総額6,000万円で、譲渡資産のそれぞれの収入金額割合に応じ、家屋Bと土地Bの各持分をXが3分の1、Yが3分の2の割合で、本年5月に取得しました。
なお、その購入資金は売却代金の他に、XはM銀行から、YはN銀行から別々の住宅ローンを組んで購入しましたが、同年12月に、XはM銀行にその全額を返済しました。
その他の適用要件が具備されている場合、Yは「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることはできるでしょうか。
