貸倒損失における税務上の取扱い 【第22回】「判例分析⑧」
第21回目においては、大阪地裁昭和33年7月31日判決(行集9巻7号1403頁、税資26号773頁)を紹介し、債権放棄の対象となる債権については、回収不能なものである必要があるという点について解説を行った。
第22回目にあたる本稿においては、回収不能部分についてのみ債権放棄を行った場合についての検討を行う。
〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第26回】 「申告書の作成から添付書類の準備、管轄税務署への提出に当たっての各注意点」
前回まで解説してきた相続人の確定、相続財産の確定・評価、遺産分割のそれぞれの手続、相続税の特例(小規模宅地特例、配偶者税額軽減など)の検討が完了すると、実質的に相続税の計算は完了したことになる。
ただし、最終的に相続税の申告実務を完了させるには、
(1) 相続税申告書の作成
(2) 相続税申告書(添付書類含む)の管轄税務署への提出(申告)
(3) 相続税額の納付
を完了させる必要がある。
基礎から学ぶ統合報告 ―IIRC「国際統合報告フレームワーク」を中心に― 【第3回】「「価値」と「資本」の関係」
前回は、フレームワークの最も中心となるテーマである企業が持続的に成長させていくべき「価値」について説明しました。
今回は、フレームワークの「基礎概念」を理解するうえで、もう1つおさえておかなければならないポイントである「価値」と「資本」の関係から解説していきます。
〔事例で使える〕中小企業会計指針・会計要領《退職給付債務・退職給付引当金》編 【第5回】「自社積立の退職一時金制度(自社退職金規程に基づく確定給付型)を採用し、かつ、その一部について確定拠出型年金制度を併用している場合」
【設例5】
当社(3月決算、当期:X1年4月1日~X2年3月31日)は、退職給付制度として退職時に一時金を支給することとしています。その一時金の額の算定は、退職金規程に定めています。
退職金規程に基づいて算定した要支給額は、次のとおりです。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第50回】金融商品会計⑥「満期保有目的債券の評価」
Q 当社は、余剰資金の運用として、X1年4月1日にA社債を取得しました。A社債はX6年3月31日に満期償還を迎えます。当社は、運用方針として、A社債を満期まで保有する予定です。
満期まで保有する予定の債券について、会計上はどのように評価すればよいでしょうか。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第19回】「医療費控除の対象となる『医薬品』(その1)」
この連載では、これまで課税要件について述べてきたが、租税法律主義の下、租税法律関係においては文理解釈が優先されると解されている。それは他方で租税法が侵害規範であるからという説明によって整理されることもある。
もっとも、法律の規定にできるだけ忠実に文理解釈をするべきだとしても、条文に使用されている概念(用語)の意味が明らかでなければ文理解釈もままならない。その概念も租税法中に定義があるとか、文脈からその意味するところを明らかにできるのであれば、さしたる問題も起きないが、問題は定義規定のない概念の意味をいかに理解すべきかという点にある。
組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第5回】「みなし共同事業要件の濫用(東京地裁平成26年3月18日判決)⑤」
前回解説したように、裁判所の判断としては、「組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の趣旨・目的に反することが明らかであるもの」については、包括的租税回避防止規定を適用することができるとしたうえで、本事件における特定役員引継要件の形式的な充足を制度趣旨に反するということを理由として、包括的租税回避防止規定の適用を認めている。
しかしながら、その理論構成については、【争点1】はともかくとして、【争点2】についてはかなり問題があると感じている。
第5回目以降においては、判決文についての具体的な評釈を行っていく予定である。
こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第5回】「非居住者へ支払う利子から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理」
Q 当社は、平成25年8月1日に社長の知人のニューヨーク在住のアメリカ人から運転資金として1,000万円を借り入れました。このアメリカ人は、所得税法上の非居住者です。また、金銭消費貸借契約において、借入期間は1年、借入利率は2%、平成26年7月31日に元本と利子を一括で返済することになっています。
非居住者へ支払う利子から源泉徴収する所得税及び復興特別所得税の処理についてご教示ください。
〈条文解説〉地方法人税の実務 【第3回】「課税標準・税額の計算(第9条~第11条)」
「基準法人税額」とは、確定申告書を提出すべき内国法人の法人税の課税標準である各事業年度の所得の金額につき、法人税法その他の法令により計算した法人税の額(附帯税を除く)をいう。
つまり、法人税法により計算した法人税額が地方税法による課税標準となる。
税務判例を読むための税法の学び方【39】 〔第5章〕法令用語(その25)
表題の一つに「不適当」を挙げておいたが、実は「適当」「不適当」は、法令用語とはされていない。
とはいえ前々回に挙げた所得税法第18条のように、「不適当」とされた場合には所轄国税局長により別の納税地を指定されるため、何をもって不適当とされるかについて明確であるべきであるが、制定当時の立法趣旨が記された「所得税、法人税制度史草稿(昭和30年大蔵省主税局調査課)」によっても「適当でない」とする限りである。