〈徹底分析〉租税回避事案の最新傾向 【第5回】「玉突き型の組織再編成」
子会社の繰越欠損金を親会社に引き継ぐために、親会社と子会社の統合を考えるのが一般的であるが、稀に繰越欠損金だけを移転することができないかという相談を受けることがある。
すなわち、分社型分割又は事業譲渡により子会社の事業を新会社に移転し、抜け殻になった子会社を被合併法人とし、親会社を合併法人とする吸収合併を行った場合には、繰越欠損金のみを親会社に移転することができる。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第50回】「株式交換における配当還元価額への影響」
私はX社(不動産賃貸業)及びY社(製造業)の社長です。X社の株式は、私が2株(100%)所有しており、Y社の株式は、私が102株(51%)、従業員や取引先49名で98株(49%)を所有しています。X社とY社は、ともに非上場会社です。
X社が所有する不動産をY社の工場として賃貸していますので、将来的な経営統合を見据え、株式交換によりY社をX社の子会社とすることを考えています。この株式交換により、従業員や取引先が所有する株式の評価額に影響が出ないか心配です。株式交換における株価への影響や留意点をご教示ください。
〔令和5年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第1回】「「人材確保等促進税制の見直し(大企業)」「所得拡大促進税制の見直し(中小企業者等)」」
令和4年度税制改正における改正事項を中心として、令和5年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。本連載では、その中でも主なものを解説する。
【第1回】は、「人材確保等促進税制の見直し(大企業)」及び「所得拡大促進税制の見直し(中小企業者等)」について解説する。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例49】「販売用土地の評価換えに伴う評価損の損金性」
私は、南関東を主な営業エリアとし不動産販売業を営む株式会社X(資本金9,000万円)において財務部長を務めております。わが社は高度成長期に現社長のお父さんが創業したのですが、わが社のこれまでの業績の浮沈は、まさにわが国経済と共にあったと言っても過言ではないところです。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第45回】「弔慰金の支給に係る論点」
当社は代表取締役が死亡退任しました。税務上の適正額を死亡による役員退職給与として支給する予定ですが、これに加え、弔慰金を支給することも検討しています。
この場合について、何か知っておくべき点はありますか。
基礎から身につく組織再編税制 【第48回】「適格現物分配を行った場合の現物分配法人、被現物分配法人の取扱い」
今回は、適格現物分配を行った場合の現物分配法人、被現物分配法人の取扱いについて解説します。
現物分配法人が適格現物分配により被現物分配法人にその有する資産の移転をしたときは、現物分配時の帳簿価額による譲渡をしたものとします(法法62の5③)。
〈徹底分析〉租税回避事案の最新傾向 【第4回】「グループ法人税制外し」
実務上、資産の含み損を実現させるためだけにグループ会社に資産を譲渡する行為について、法人税法上、損金性が否認される可能性があるか否かという点が問題になりやすい。
この点については、平成22年度税制改正により、グループ法人税制が導入され、完全支配関係のある内国法人間における資産の譲渡については譲渡損益が繰り延べられることになり(法法61の11①)、非適格組織再編成に伴う資産の譲渡についても同様に譲渡損益が繰り延べられることになった。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例48】「使途不明の商品券購入費用の損金性」
私は、近畿地方において医療機関向けの人材派遣や情報サービスの提供を行っている株式会社Y(資本金1億円)で総務経理部長を務めております。わが社は代表取締役であるZが10年前に創業した比較的歴史の浅い会社ですが、もともとソフトウェア会社のSEであったZが医療機関向けの情報サービス業に目をつけたところ大当たりし、最近では株式公開の準備を進めるところまで事業を拡大してきました。
基礎から身につく組織再編税制 【第47回】「適格現物分配があった場合の特定資産譲渡等損失の損金算入制限」
今回は、適格現物分配があった場合の特定資産譲渡等損失の損金算入制限について解説します。
適格現物分配があった場合には、現物分配法人の有する資産は、現物分配法人の帳簿価額で譲渡されます。したがって、現物分配法人から移転を受けた資産の含み損を実現させ、被現物分配法人の所得と相殺する、あるいは、現物分配法人から移転を受けた資産の含み益を実現させ、被現物分配法人の含み損と相殺するといった租税回避行為が可能となります。