公開日: 2023/03/02 (掲載号:No.509)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例50】「公益社団法人に移行した法人の職員に対する賞与の損金性」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例50】

「公益社団法人に移行した法人の職員に対する賞与の損金性」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、近畿地方においていくつかの医療機関や福祉施設を運営する公益社団法人Xにおいて、事務方のトップである事務長を務めております。わが国においては、医療機関は様々な経営主体が経営しており、具体的には、地方自治体や独立行政法人、国立大学法人や公立大学法人、日本赤十字社といった公的機関もあれば、厚生労働省が管轄する法律に基づいて設立される医療法人(医療法)や社会福祉法人(社会福祉法)、私立大学医学部付属病院を経営する学校法人などがあり、それぞれ適用される会計ルールが異なるなど、かなり混沌とした状況となっております。私の勤務する公益社団法人は、いわゆる公益法人改革で社団法人から移行した組織で、もともと医療機関や福祉施設を運営していましたが、今から数年前に、より公益性を貫徹した組織に改組され、現在に至っております。

わが法人が運営する事業の中核は病院で、中でも回復期・リハビリテーションに力を入れているY病院は、当該病院が立地する2次医療圏でも定評があり、集患にはそれほど苦労しておりません。そのため、ここ数年続くコロナ禍の下においても、法人全体の経営状況は比較的順調であるといえます。

ところが、そのような黒字体質の当法人を狙い撃ちしたのか、先日から所轄税務署の税務調査を受けております。今回問題となっているのは、公益社団法人移行後に職員に支給した賞与の取扱いです。当法人は給与規定を職員に開示しており、それには給与のほか賞与を予定日に支給する旨が明記されております。そのため、当該規定に基づき既に支給予定日が到来している賞与は、当然のことながら全額損金に算入されるものと考えておりましたが、今回調査官は、未払計上した賞与の額につき、当該賞与支給額が決算日以後に職員に通知されていることから、当該事業年度における損金算入は認められないと主張しております。

このような調査官の主張は民間の事業に対する不当な介入であり、到底認められるものではないと考えておりますが、税法上どのように考えるのが妥当なのでしょうか、教えてください。

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例50】

「公益社団法人に移行した法人の職員に対する賞与の損金性」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、近畿地方においていくつかの医療機関や福祉施設を運営する公益社団法人Xにおいて、事務方のトップである事務長を務めております。わが国においては、医療機関は様々な経営主体が経営しており、具体的には、地方自治体や独立行政法人、国立大学法人や公立大学法人、日本赤十字社といった公的機関もあれば、厚生労働省が管轄する法律に基づいて設立される医療法人(医療法)や社会福祉法人(社会福祉法)、私立大学医学部付属病院を経営する学校法人などがあり、それぞれ適用される会計ルールが異なるなど、かなり混沌とした状況となっております。私の勤務する公益社団法人は、いわゆる公益法人改革で社団法人から移行した組織で、もともと医療機関や福祉施設を運営していましたが、今から数年前に、より公益性を貫徹した組織に改組され、現在に至っております。

わが法人が運営する事業の中核は病院で、中でも回復期・リハビリテーションに力を入れているY病院は、当該病院が立地する2次医療圏でも定評があり、集患にはそれほど苦労しておりません。そのため、ここ数年続くコロナ禍の下においても、法人全体の経営状況は比較的順調であるといえます。

ところが、そのような黒字体質の当法人を狙い撃ちしたのか、先日から所轄税務署の税務調査を受けております。今回問題となっているのは、公益社団法人移行後に職員に支給した賞与の取扱いです。当法人は給与規定を職員に開示しており、それには給与のほか賞与を予定日に支給する旨が明記されております。そのため、当該規定に基づき既に支給予定日が到来している賞与は、当然のことながら全額損金に算入されるものと考えておりましたが、今回調査官は、未払計上した賞与の額につき、当該賞与支給額が決算日以後に職員に通知されていることから、当該事業年度における損金算入は認められないと主張しております。

このような調査官の主張は民間の事業に対する不当な介入であり、到底認められるものではないと考えておりますが、税法上どのように考えるのが妥当なのでしょうか、教えてください。

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
拓殖大学商学部教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。
平成26年9月、一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻博士後期課程単位修得退学
平成27年3月、博士(経営法) 一橋大学
令和3年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野教授に就任。
令和5年4月、拓殖大学商学部教授に就任。

【主要著書】
・『事例で解説 法人税の損金経理』(2024年・清文社)
・『三訂版 医療・福祉施設における消費税の実務』(2023年・清文社)
・『改訂 消費税 インボイス制度導入の実務』(2023年・清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ消費税の判定誤りと実務対応』(2020年・清文社)
・『消費税 軽減税率対応とインボイス制度 導入の実務』(2019年・清文社)
・『[第三版]税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(2017年・清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(2017年・清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与の実務Q&A』(2016年・清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税』(2016年・清文社)
・『Q&Aでわかる消費税軽減税率のポイント』(2016年・清文社)
・『Q&A医療法人の事業承継ガイドブック』(2015年・清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(2014年・清文社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(2013年・清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(2013年・清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(2011年・清文社)
・『相続税調査であわてない「名義」財産の税務(第3版)』(2021年・中央経済社)
・『相続税調査であわてない不動産評価の税務』(2015年・中央経済社)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(2013年・中央経済社)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(2012年・税務経理協会)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(2012年・税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(2011年・税務経理協会)
・『ケーススタディ 中小企業のための海外取引の税務』(2020年・ぎょうせい)
・『消費税の税率構造と仕入税額控除』(2015年・白桃書房)

【ホームページ】
https://wasai-consultants.com

             

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