山本守之の法人税“一刀両断” 【第65回】「東京地裁令和元年6月27日判決を考える」
2019年6月末に大手レコード会社ユニバーサルミュージック合同会社に対して、東京国税局は法人税法132条を適用して約181億円の申告漏れを指摘し、約58億円を追徴課税しました。これに対して、東京地裁は以上の更正処分を取り消しました(TAINSコード:Z888-2250)。
〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第44回】「別表16(10) 資産に係る控除対象外消費税額等の損金算入に関する明細書」
本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。
今回は、「別表16(10) 資産に係る控除対象外消費税額等の損金算入に関する明細書」の記載の仕方を採り上げる。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第17回】
『平成30年度 税制改正の解説』の記述から、法人税法22条の2第1項の規律内容を理解するために参考となる立案担当者の見解を抽出してみたい。
なお、立案担当者の解説は、文字どおり、あくまで立案担当者の解説にすぎないため、これに盲従することは妥当ではないが、実際には、他に有力な立法関係資料がないことと相まって、改正規定の趣旨を理解するための1つの重要な手掛かりとなる。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第8回】「役員報酬をクローバックした場合の源泉徴収税額の取扱い」
当社は上場企業です。近年、他社で不祥事や事業失敗による大幅な下方修正や巨額損失の計上が頻発していることを受け、役員との報酬契約にいわゆるクローバック条項を追加することを検討しています。
クローバックを実施した場合、役員報酬から源泉徴収した所得税があるはずですが、この取扱いを教えてください。
基礎から身につく組織再編税制 【第10回】「適格合併を行った場合の繰越欠損金の取扱い」
適格合併があった場合には、原則として、被合併法人の未処理欠損金額は合併法人に引き継がれます。
適格合併が行われた場合において、被合併法人の未処理欠損金額があるときは、その金額は、それぞれの未処理欠損金額が生じた各事業年度の開始の日の属する合併法人の各事業年度において生じた欠損金額とみなされます(法法57②)。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第11回】「事業承継対策で役員退職金を支給する場合の留意点」
私Yは、金属製造業を営む非上場会社(S社)の代表取締役社長(65歳)です。そろそろ役員を退任して、後継者である息子Zにバトンタッチしたいと考えています。ただし、いきなりZにすべてを引き継がせるのは少し不安なので、しばらくは会長(取締役でない)というポジションで会社に関与していこうと考えています。
ところで、役員退職金を支給した次年度には自社の株価が引き下げられると聞きました。そのタイミングで私が所有するS社株式を後継者であるZへ譲渡又は贈与することも検討しています。
事業承継対策において役員退職金を支給する際の留意点について教えてください。
〔令和元年度税制改正〕 仮想通貨に関する法人税制のポイント 【第2回】「事業年度終了時の時価評価損益の算定と仮想通貨信用取引に係るみなし決済」
本稿では前回に続き、令和元年度(平成31年度)税制改正で整備された仮想通貨の評価方法等の改正ポイントについて解説を行います。
今回は、事業年度終了時の時価評価損益の算定と仮想通貨信用取引に係るみなし決済について取り上げます。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第16回】
法人税法22条の2第1項は、収益の計上時期(時間的帰属)の規範を定めたものであり、法人税法における資産の販売等に係る収益の計上時期を決する原則的な基準として、引渡・役務提供基準を採用している。
これに対して、収益認識会計基準は、収益の認識時期のルールについて、履行義務充足基準ともいうべき基準を採用している。すなわち、収益認識会計基準においては、収益を認識するために5つのステップが設けられており、そのステップ5では、履行義務の充足による収益の認識配分の作業を行うことしている。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例11】「関係会社への売上値引及び単価変更による売上の減額の寄附金該当性」
私は北関東のとある地方都市で建築資材の製造を行っている株式会社Aにおいて、10年ほど経理を担当しております。私の勤務するA社は、建築資材を総合的に取り扱っているB社の100%子会社で、B社からの注文により多品種小ロットの資材の生産を行い、それらを全てB社に販売しています。
A社はその親会社B社との間で、両社間の取引内容や方法等について覚書を取り交わしており、これまでそれに基づき取引が行われてきました。当該覚書によれば、B社がA社から購入する建設資材の価格は、原則として合理的な原価計算に基づき、両社が協議の上決定すること、及び発注量の大幅な増減、経済的事情の著しい変動が生じたときは、両社が協議の上で購入価格を決定する旨が定められています。
〔令和元年度税制改正〕 仮想通貨に関する法人税制のポイント 【第1回】「譲渡損益及び取得価額の算定方法」
仮想通貨に関する会計・税務において、会計の面では2018年3月にASBJから「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」が公表されましたが、税務の面では法律による定めはなく、2018年11月に国税庁から公表された「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」等をもとに実務が行われてきました。
令和元年度(平成31年度)税制改正では、これら国税庁資料で示されていた仮想通貨の譲渡損益の計算方法等が、所得税、法人税ともに税法上規定されました。本連載では、今年度改正で整備された仮想通貨に関する規定のうち法人税の関係について、そのポイントを2回にわたって解説します。
