定期保険及び第三分野保険に係る改正法人税基本通達の取扱いとその影響 【第2回】「改正通達の内容及び施行日前後の取扱い」
定期保険及び第三分野保険の保険料(保険金又は給付金の受取人が法人の場合)は、これまで、期間の経過に応じて損金の額に算入することを原則としつつ、保険期間の前半に支払う保険料の中に多額の前払保険料が含まれているもの(長期平準定期保険や逓増定期保険など)については、保険の種類ごとに個別通達で損金算入に制限をかける取扱いがされてきたが、前回紹介したように、商品設計の多様化や長寿命化等によって保険の種類ごとに制限をかけることが困難になってきたことから、新通達が発遣されることとなった。
平成31年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第3回】「研究開発税制の見直し(その3:中小企業技術基盤強化税制の見直し)」
中小企業者の試験研究費に係る税額控除制度についても、総額型と同様に、増加インセンティブを強化する観点から控除率カーブを見直し、税額控除率及び控除上限の上乗せ措置の適用期限を2年延長する(高水準型は予定どおり廃止される)。
中小企業者の試験研究費に係る税額控除制度について、改正前後の取扱いは以下のとおりとなる。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第7回】
上述(前回参照)のとおり、法人税法22条2項は、収益の計上時期について具体的な基準を定めていないが、あえて、条文から収益の計上時期の決定に関するルールを抽出する作業を試みるとどうなるか。租税法の世界では租税法律主義の原則が存在し(憲法30、84)、租税法規の解釈に当たっては、厳格な文理解釈が要請される。このことを踏まえると、かかる作業を行うことにも理由がある。もちろん、文言のみに捉われた解釈は時に受け入れられない場合があることに注意を要する。
法人税法22条2項は、取引に係る収益の額と規定しているから、取引の発生前に収益が認識されることはないという読み方もありうると思われる。もっとも、取引発生後、具体的にどの時点で収益を認識すべきであるかという点については、やはり判然としない。
定期保険及び第三分野保険に係る改正法人税基本通達の取扱いとその影響 【第1回】「見直しの契機となった保険商品の特徴」
国税庁は2019年(令和元年)6月28日付けで「法人税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」を公表、同年4月11日から5月10日にかけてのパブリックコメント(意見募集)を経て、かねてから問題視されていた企業向けの保険商品を使った節税策を規制する見直しを行った。
平成31年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第2回】「研究開発税制の見直し(その2:総額型のベンチャー企業に係る見直し)」
控除限度割合が25%から40%に引上げられるベンチャー企業の要件は以下のとおりとなる(措法42の4②、68の9②)。
なお、総額型の控除限度割合は、一定の要件を満たした場合、最大10%が上乗せされるため、ベンチャー企業の要件を満たした場合、総額型の10%上乗せ後の控除限度割合は、最大50%となる。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例7】「医療用検査機器の機械装置該当性」
私は、東京都内にある臨床検査を行う株式会社に勤務しております。私の勤務する会社では、近隣の病院やクリニックから委託を受けて、様々な臨床検査を行うことを主たる業務としております。その際、各種臨床検査機器を利用することとなりますが、会社の方針として、高額の医療機器は原則リースではなく購入により導入することとしております。
その際、医療機器を扱う商社から、わが社の場合、規模も小さく、法人税法上も中小企業者等に該当するため、導入した検査機器は特別償却の対象となる旨アドバイスを受けました。そこで、わが社の経理担当者はそのような経理処理を行っていたものと聞いていました。
さて、実は先日受けた税務調査で、専門商社から購入し既に事業の用に供している検査機器の特別償却が問題となりました。検査を担当している私も調査官に呼ばれていろいろヒアリングを受けましたが、その最後に、特別償却を適用した検査機器はすべて「器具備品」であって「機械装置」ではないから、適用対象外である、と言い渡されました。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第60回】「高額役員給与を考える」
日産のゴーン前会長をめぐる事件以降、役員の高額報酬のあり方が問題となっています。日米欧のCEO報酬の中央値は、日本2億円、米国12億円、欧州6億円です。
欧米では業績の達成度や株価に応じた株式報酬が多いため、日本と比較して差異が生じます。これに比べると、生活を保障する基本報酬は日本と欧米の差はあまりありません。
本来は、役員報酬を役員の生活を保障する基本給と、業績の裏付けとなる成果給、株価を高めた成果給に分ける必要があります。その上で、高額か否かを判断すべきなのです。
平成31年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第1回】「研究開発税制の見直し(その1:総額型の控除率の見直し)」
平成31年度税制改正については、既存の税制の見直しが中心となっており、まず、デフレ脱却・経済再生を後押しするため、イノベーション促進のための研究開発税制の見直しや中小企業による積極的な設備投資等の支援に係る改正が行われている。
次に、都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築を目的として事業税の一部を分離して特別法人事業税及び特別事業贈与税を創設することになった。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例75(法人税)】 「渡切交際費の処理を誤回答したため、定期同額給与として認められず、税務調査で否認され、修正申告となった事例」
平成X6年3月期から平成Y0年3月期までの法人税につき、役員に対する渡切交際費の処理を誤回答したため、定期同額給与として認められず、税務調査で否認され、修正申告となった。
これにより、修正申告税額につき損害が発生したとして賠償請求を受けたものである。
〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第39回】「別表6(19) 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」
本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。
今回は、前回解説したいわゆる「地域未来投資促進税制」のうち、特別償却に代えて税額控除制度を適用する場合の「別表6(19) 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」(※1)の記載の仕方を採り上げる。
