〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第2回】「『実質的な退職』の判断」
当社は、今期、代表取締役が退任する予定であり、退任に伴い役員退職給与を支給します。退職給与の額は一般に認められている功績倍率法に準拠して支給することとしています。
現代表取締役は当社の創業者かつ多大な貢献があった人物であるため、今後も当社に対し的確なアドバイスを頂きたく、非常勤役員、かつ、役員報酬額を半額以下にすることで勤務を継続してほしいと考えています。
このような場合、役員退職給与を支給することについて注意すべき点があれば教えてください。
基礎から身につく組織再編税制 【第4回】「無対価適格組織再編成」
無対価組織再編成とは、対価が交付されない組織再編成のことをいいます。従来から下図のように、親法人が子法人を合併する場合や100%兄弟会社が合併する場合などにおいて、対価の交付を省略するケースが実務的に存在していましたが、税務上の取扱いが明確ではなかったため、平成22年度税制改正により適格組織再編成に該当する資本関係が見直され、無対価適格・・組織再編成の課税上の取扱いが整備されました。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第3回】
国税庁は、平成30年度税制改正及び収益認識会計基準の公表に対応するために、2018年5月30日付けで法人税基本通達等の一部を改正している。法人税基本通達等の改正の背景等について、要旨次のとおり説明している。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例5】「医療法人の有する医業未収金の償却と損金経理」
私は都内で病院を経営する医療法人の理事長兼院長で、医師です。都内有数の観光地の近隣という私の病院の立地する場所柄、外国人の旅行者が患者として訪れるケースが年々増加しておりますが、最近、病院経営上、私の頭を悩ましている問題が、外国人患者の治療費に係る未収金についてです。
日本人の患者さんは、わが国が誇る公的医療保険制度によりその治療費の大半がカバーされますので、治療費の回収漏れはそれほど大きな問題とはなっておりませんが、外国の患者さんはその背景が様々であり、高額の医療費をカバーする海外旅行保険に加入している人もいれば、旅行代金を捻出するのが精一杯で保険にまで気が回らないという人も少なからずいるようです。
外国人旅行者が救急車で運ばれてきて、緊急手術となり、入院するとなると治療費は高額となり全額自費となりますが、無保険の旅行者の場合、その金額を払えないというケースがここ数年頻発しています。しかもこの場合、旅行者が本国に治療費を支払う前に帰国してしまうと、以後その費用を回収することは事実上不可能となります。
〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第37回】「別表6(25) 革新的情報産業活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」
本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。
今回は、前回解説した生産性の向上に関するいわゆる「コネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制)」のうち、特別償却に代えて税額控除制度を適用する場合の「別表6(25) 革新的情報産業活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」の記載の仕方を採り上げる。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例73(法人税)】 「資本金を1億円に減資し、中小法人になった場合のメリットを聞かれた際、「繰越欠損金を制限なく控除できる」旨の説明を行わなかったため、減資のタイミングが遅れ、繰越欠損金を当期所得の50%しか控除できなくなってしまった事例」
平成Y1年3月期の法人税につき、資本金を1億円に減資し、中小法人になった場合のメリットを聞かれた際、「繰越欠損金を制限なく控除できる」旨の説明を行わなかったため、減資のタイミングが遅れ、繰越欠損金を当期所得の50%しか控除できなくなってしまった。
これにより、資本金を1億円に減資して中小法人等になり、繰越欠損金を100%控除できた場合との差額につき損害が発生したとして、賠償請求を受けたものである。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第2回】
同条の1項では、資産の販売等に係る収益の計上時期について、内国法人の資産の販売若しくは譲渡又は役務の提供に係る収益の額は、別段の定めがあるものを除き、その資産の販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することを規定している。2項及び3項では、確定決算又は申告調整により、目的物引渡日・役務提供日の近接日に収益計上することを認めている。
日本の企業税制 【第66回】「政府税調専門家会合で検討進む「連結納税制度の見直し案」」~第2回会合資料(2019.2.14)から~
昨年11月7日に第1回会合が開かれた政府税制調査会の「連結納税制度に関する専門家会合」は、本年2月14日に第2回が開かれ、さらに今後も検討が深められていくこととされている。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第1回】「CFOのみなし役員該当性」
当社は財務部門の強化、そして将来的なIPOまで見込み、外部から実績のあるCFO(最高財務責任者)を招へいすることとなりました。
当該CFOは、取締役としての役員登記はしませんが、金融機関等との交渉で資金調達を一手に担い、成果を出すことを期待していますし、社長は自身の「右腕」として、経営判断について財務的な観点から加わってもらいたいと言っています。また、重要クライアントとの交渉にも参加してもらう予定です。報酬は年棒制ですが、貢献度に応じてインセンティブを与える計画です。
この場合、法人税法上、何か留意する点はありますか。
