理由付記の不備をめぐる事例研究 【第38回】「寄附金(貸倒損失・債権放棄)」~子会社に対する貸倒損失が寄附金に該当すると判断した理由は?~
今回は、青色申告法人X社に対して行われた「子会社に対する債権放棄が寄附金に該当すること」を理由とする法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた東京高裁平成7年5月30日判決(税資209号940頁。以下「本判決」という)を素材とする。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第17回】
上記のように、資産及び負債を帳簿価額で引き継いだものとして計算し、当該資産及び負債の帳簿価額から計算される純資産価額により、株主への交付を行ったものとみなして計算するものとされている。ただし、次回(【第17回】)で解説するように、被合併法人の利益積立金額を合併法人に引き継ぐこととされているため、法人税法2条17号ハに規定する純資産価額とは、「被合併法人の当該適格合併の日の前日の属する事業年度終了の時の当該移転資産の帳簿価額から当該移転負債の帳簿価額及び当該適格合併に係る次号ニに掲げる金額を減算した金額」を意味する(なお、次号ニに掲げる金額とは、適格合併により引き継ぐ利益積立金額のことをいう)。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第16回】
上記のように、資産及び負債を帳簿価額で引き継いだものとして計算し、当該資産及び負債の帳簿価額から計算される純資産価額により、株主への交付を行ったものとみなして計算するものとされている。ただし、次回(【第17回】)で解説するように、被合併法人の利益積立金額を合併法人に引き継ぐこととされているため、法人税法2条17号ハに規定する純資産価額とは、「被合併法人の当該適格合併の日の前日の属する事業年度終了の時の当該移転資産の帳簿価額から当該移転負債の帳簿価額及び当該適格合併に係る次号ニに掲げる金額を減算した金額」を意味する(なお、次号ニに掲げる金額とは、適格合併により引き継ぐ利益積立金額のことをいう)。
中小企業特別措置の適用停止に係る「平均所得金額」の算定方法 【第2回】「「平均所得金額」の算定方法」
かかる所得金額は、基本的には提出した確定申告書記載の所得金額によることになるが、仮に平均所得金額の判定時点で基準年度について提出した確定申告書が存在しない場合には、後日提出する確定申告書に記載するであろう所得の金額を用いることになる。また、確定申告による所得が事後に修正申告又は更正決定により変更された場合には、当然に変更後の金額をもって平均所得金額を算定することになる。
租税争訟レポート 【第35回】「専ら従業員の慰安のために行われた「感謝の集い」に要した費用の交際費等該当性(福岡地方裁判所判決)」
本件は、養鶏事業、食肉等食料品の販売事業等を営む原告が、原告の役員及び従業員並びに下請先である協力会社等の役員及び従業員合計1,000人程度が参加する「感謝の集い」を年に1回、大型リゾートホテルの宴会場で行っていたところ、熊本国税局調査課の税務調査において、「感謝の集い」に要した費用は交際費等に該当するとの指摘を受け、処分行政庁である高鍋税務署がその指摘に従った更正処分を行った。当該更正処分を不服とした原告は、異議申立、審査請求を経て、本件訴訟の提起に踏み切ったものである。
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第37回】「寄附金(貸倒損失)」~貸倒損失が寄附金に該当すると判断した理由は?~
本件更正処分は、X社が貸倒金△△△円を計上していることを前提としているものの、これが関与税理士A個人の債務弁済のためのものであり、X社とは何ら関係がないので貸倒金としては認められず、A税理士に対する贈与として法人税法37条の寄附金に当たるとするものである。
貸倒金に係る債務は、後で見るように、X社の帳簿書類上、関与税理士A以外に対する債務として記載されていたことを前提とするならば、本件更正処分はX社の帳簿書類の記載自体を否認して更正する場合に該当する。
組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第15回】
平成13年当時は、企業結合会計及び事業分離等会計が導入される前であったため、会計上、現物出資については時価取引、合併については時価以下主義となっていたことを考えると、このような制度が設けられたことは理解できる。しかしながら、平成18年に企業結合会計が導入された結果、現物出資であっても、投資が継続しているとみることができる場合には、現物出資法人において譲渡損益を認識しないことになった(事業分離等に関する会計基準19(1)、31)。
企業の「相談役・顧問」に関する税務上の留意点
相談役や顧問という役職は、我が国の法人においては特段珍しくはない。その存在理由は法人によって様々だが、主に次のようなものであると考えられる。
◆ある程度時間をかけて、新社長への引き継ぎを円滑に行う。
◆新社長は社業に専念し、財界活動は相談役が請け負う。
相談役や顧問といった存在にも一定の合理性があるのは事実であるが、中には単なる名誉職と化しているケースがあったり、逆に新経営陣に対して干渉しすぎるケースもあったりする。
中小企業特別措置の適用停止に係る「平均所得金額」の算定方法 【第1回】「平均所得金額の意義と対象となる租税特別措置」
しかしながら、これらの特別措置はあくまで資本金の額等を基準に形式的に判定する枠組みになっていたことから、例えば、大企業並みの所得がある株式会社であっても、資本政策上、資本金の額を1億円以下にすることにより適用を受けることが可能であり、上記本来の趣旨とは必ずしも整合しない運用実態が散見されるところであった。
そこで、平成29年度税制改正は、平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税に関し、「平均所得金額」、すなわち、課税所得の3年平均が15億円を超える中小企業者については、特定の特別措置の適用を停止する改正を行った(措法42の4⑧六の二)。
