中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第9回】「65歳から支給される老齢厚生年金」
65歳になると、老齢基礎年金に上乗せされる形で「老齢厚生年金」が支給される(下図参照)。ただし、在職中は、特別支給の老齢厚生年金と同様に在職老齢年金により、年金額の全部又は一部が停止される場合がある(前回参照)。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第4回】「特別養子縁組の手続」
特別養子縁組は、家庭裁判所の審判によって成立する。審判対象は、養子となる者の要保護性、養親となる者の適格性、養子となる者と養親となる者との適合性である。
申立人は、申立に際し、申立の趣旨及び実情、養子となる者の父母(実父母)の同意の有無、同意がないときはその具体的事情、養親となる者が監護を開始した日時等を明確にしなければならない(家事手続規則93①)。
現代金融用語の基礎知識 【第20回】「ラップ口座」
ラップ口座とは、金融機関が個人に対して提供するサービスの一つであり、個人が金融機関に資産運用を包括的に委ねるというものである。乱暴な言い方をすれば、個人が金融機関にお金を渡して、「後は任せるから、これを運用して増やしてくれ」と頼むのが、ラップ口座である。ちなみに、ラップとは、英語のwrapで、「包む」という意味である。
社外取締役の教科書 【第3回】「社外取締役の職務・活動内容(その1)」
これから社外取締役の職務活動を説明していくに際し、活動の前提としての義務、すなわち社外取締役が会社に対して負う義務につき確認したい。
その名称が示すとおり、社外取締役も会社法上の「取締役」であることに変わりはない。そのため、法が取締役に対して課している各種義務については、社外取締役も等しく負うことになる。
コーポレートガバナンス・コードのポイントと企業実務における対応のヒント 【第10回】「新様式で提出されたコーポレート・ガバナンス報告書の概観」
コーポレート・ガバナンス報告書は定時株主総会後遅滞なく提出するものとされているが、適用初年度に限り6ヶ月の猶予期間が認められており、3月決算会社であれば6月の定時株主総会後6ヶ月を経た12月頃に提出する企業が多いと想定していた。
しかしながら、コード適用から1ヶ月余りであるにもかかわらず、新様式でのコーポレート・ガバナンス報告書を提出する企業があり、中にはコード適用初日の6月1日に提出する企業もあった。
新様式でのコーポレート・ガバナンス報告書の提出の出足が意外にも早いという印象であり、実効的なコーポレートガバナンスの実現に対する企業の真摯な取組状況が見てとれる。
〈IT会計士が教える〉『情報システム』導入のヒント(!) 【第10回】「ビジネスプロセスの標準化とシステム導入」
情報システムを導入するにあたって、自社の業務に適合するソフトウェアをゼロから開発することは、昨今、ほとんど行われていない。ある程度自社の業務に適合すると思われる業務ソフトウェア(パッケージソフトウェア)を選定し、当該ソフトウェアに基づいて、自社で使用できるような変更・修正を施したうえで、実際の業務で使用することが多いのである。
確定拠出年金制度の改正をめぐる今後の展望 【第6回】「今後検討されること」
最後に、厚生労働省企業年金部会の議論で整理が行われ、今般は法制化されずに引き続き検討されることになった項目について記述する。
これらの項目は、税務当局(財務省)との折衝があり、厚生労働省の頑張りが期待されるところだが、今改正では見送られた拠出限度額の引上げなど非常に重要な項目が残されている。
一部は以前に説明しているが、非常に重要な部分なので形を変えて説明する。
中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第8回】「特別支給の老齢厚生年金と在職老齢年金」
老齢厚生年金を受給している人が在職し厚生年金保険に加入した場合、老齢厚生年金の額と報酬(総報酬月額相当額(*))により受け取る年金額の全部または一部が停止される。この年金を在職老齢年金という。なお、60歳台前半の在職老齢年金と65歳台後半の在職老齢年金とでは支給停止の計算方法が異なる。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第3回】「普通養子縁組の手続と虚偽縁組の回避策」
現行法における普通養子縁組は、戸籍法の定めるところにより届け出るだけで、その効力(前回参照)が生じる(民799・739・801)。市町村長は、届出の審査に当たって形式的審査権しか有しないため、その審査は戸籍法が定める証明資料、戸籍簿の記載、及びこれに準ずる資料によるほかは、届出自体によって行いうる範囲に限定される。
そのため、実際には当事者間に縁組意思がないにもかかわらず、届出が受理されてしまう事態も生じ得る。現行法下の手続規定やその解釈もそれに拍車をかける要因となっている。昨今、高齢者の資産を狙った虚偽の養子縁組届事件が多発しているのもこのような事情が背景にある。
常識としてのビジネス法律 【第25回】「会社法《平成26年改正対応》(その6)」
取締役と会社との間の関係は委任に関する規定に従う(330条)ので、取締役は会社に対して善良な管理者としての注意義務を負担する(民644条)。善管注意義務とは、会社の業務および経理等に対して相当程度の知識、経験および能力を有する標準型の人が職務を行うにあたり通常払うであろう注意の程度を指す。これを具体的に示せば、取締役は法令および定款ならびに総会の決議を遵守し、会社のため忠実にその職務を行う義務を負うことになる(355条)。したがって、忠実義務は善管注意義務を明確にしたもので、これとは別の高度の義務を規定したものではない(最高裁昭和45年6月24日判決)。