民法改正(中間試案)―ここが気になる!― 【第4回】「債務不履行・損害賠償」
中間試案では、履行不能という概念から「限界事由」という新たな用語が提唱されている。
ここでは、履行が物理的に不可能な場合、履行に要する費用が履行により得る利益と比べて著しく過大なもの(経済合理性)及び、契約の趣旨から履行請求が相当でないと認められる場合、の3種類が限界事由として列挙されている。
顧問先の経理財務部門の“偏差値”が分かるスコアリングモデル 【第4回】「KPIで評価するというアプローチ」 ~KPIを絞り込め~
経済産業省主導でスコアリングモデルを構築していた時点では、KPIとして数百個の評価指標が候補に挙げられていた。この数百個のKPI候補は、主として会計領域の専門的なコンサルティングを行うコンサルタントや会計監査に従事する公認会計士を中心に洗い出したものである。
しかし、数百個ではあまりにも数が多く、実務には到底使えないため、会社に無理なく受け入れられる数まで絞り込む必要が出てきた。
そこで、KPIの絞込みにあたり、各界から意見を募るため、監査法人、銀行、投資会社、IT関連会社、社団・財団法人など約40団体で構成されるワーキンググループを組成した(図表7)。なお、呼称は平成17年当時のままである。
〔知っておきたいプロの視点〕病院・医院の経営改善─ポイントはここだ!─ 【第11回】「高額医療機器の稼働率と画像診断管理加算」
我が国には、地域医療計画において基準病床数による病床規制は存在するものの、医療機器の配置規制がないため、CT・MRI等の高額医療機器が諸外国よりもはるかに普及している。
病院だけでなく、診療所でもCTやMRIが保有されている場合も少なくない。OECD諸国における人口100万人当たりのCT保有台数の平均が12.0台なのに対し、日本は43.1台、人口100万人当たりMRI保有台数についてはOECD平均が22.1台であるのに対し日本は97.3台と、過剰に配置されている。
かといって、病院としては診断機器がなければスムーズな医療提供に支障をきたすおそれもあり、優秀なスタッフを招聘してくることもできなくなってしまう。
ゆえに過剰な投資だとある程度理解していても、高額医療機器を買わないという選択肢を積極的に採用することは困難である。
年次有給休暇管理上の留意点 【第3回】「パートタイム労働者の年次有給休暇」
◆年次有給休暇の比例付与とは
年次有給休暇(以下、「年休」という。)の比例付与とは、パートタイム労働者等、通常の一般労働者以外の労働者(短日数労働者)への年次有給休暇の付与をいう。
年次有給休暇の比例付与は、労働基準法39条3項に定められている。
〔時系列でみる〕出産・子を養育する社員への対応と運営のヒント 【第8回】「国が支給する両立支援に関連する助成金」
前回までは、出産・子を養育する社員に対し会社が対応すべきことについて触れてきた。
紹介した両立支援策の導入に向けて、各社では、制度の整備、社員教育などの実施をしながら進めていくこととなるが、その中には費用負担の面で、躊躇せざるを得ない施策もあるものと思われる。
そこで今回より2回にわたって、会社に対する国の支援制度(助成金)について触れていくこととする。
助成金は融資制度と異なり、返済を必要としないため、費用面がネックとなり両立支援制度の導入を見送ってきた会社については積極的に活用し、労使双方にとって有益となる制度作りと運用に役立てていただきたい。
改正金融検査マニュアルのポイントと中小企業へ与える影響 【第2回】「金融機関に求められるものとは?」
金融機関は、中小企業等の借り手の状況をきめ細かく把握し、他業態も含め関係する他の金融機関等と十分連携を図りながら、円滑な資金供給や貸付けの条件の変更等に努めることが求められる。
特に、金融機関は、株式会社地域経済活性化支援機構法第64条の規定の趣旨を十分に踏まえ、地域経済の活性化及び地域における金融の円滑化などについて、適切かつ積極的な取組みが求められる。
会計事務所の事業承継~事務所を売るという選択肢~ 【第6回】「計算例でみる会計事務所の価値評価」
会計事務所のM&Aでは、その譲渡対象のほとんどは、顧客との顧問契約や職員の雇用契約といった無形資産である。
無形資産の譲渡といっても、財産評価基本通達によれば「営業権を認識しない。」とされているため、当事者間の交渉を通じて、「斡旋料」が時価で支払われることになる。
後継者(親族内)がいない場合の会計事務所の価値評価を考えてみよう。
〔税理士・会計士が知っておくべき〕情報システムと情報セキュリティ 【第4回】「経営者のIT導入の悩みに応える5つの視点」
多くの経営者は、自社のIT導入に関して多くの悩みを抱えている。
とりわけ多額の投資を必要とするERPや会計システムなど、基幹システムの導入についての悩みは大きい。
「コストがかかりすぎるような気がする」
「パッケージや導入ベンダーの選定は正しかったのか?」
「過去にIT導入で多額の損失を出したが、今回は大丈夫だろうか?」
など、その悩みはさまざまであるが、中小・中堅企業では社内に相談できる相手もいないのが実情である。
NPO法人 “AtoZ” 【第12回】「NPO法人の合併・解散」
NPO法人であっても、他のNPO法人と合併することができる(NPO法33)。
合併をする場合には、定款に特別の定めがない限り、社員総会で社員の4分の3以上の議決を経なければならない(NPO法34)。
また、合併には所轄庁の認証を受けなければならないため、決議後は所轄庁に次の書類を添付した申請書を提出する。
顧問先の経理財務部門の“偏差値”が分かるスコアリングモデル 【第3回】「スコアリングモデルの評価の視点」 ~経理財務部門は5つの視点で評価せよ~
スコアリングモデルでは、企業価値の最大化に向けて経理財務部門が果たすべきガバナンスのあり方の将来像を想像し、現状の経理財務部門のレベルを多面的に評価するべきという見地から、複数の評価の視点を設定した。
すなわち、経理財務部門を取り巻く今日的課題を踏まえると、業務処理を正確に行うだけでなく、同量の業務処理を効率的に行うこと、組織変更や人事異動等の影響を受けない安定性のある業務処理体制を整備していること、把握するべきリスク情報を経営者に提供できるリスク管理体制を整備していること、さらに戦略的な経営判断に積極的に貢献できていることが必要であると考え、「正確性」、「効率性」、「安定性」、「リスク管理」、「戦略性」という5つの評価の視点を設定している(図表5)。