年次有給休暇管理上の留意点 【第2回】「年次有給休暇の基準日を利用した管理方法」
第1回で述べたとおり、年次有給休暇(以下、「年休」という)は、入社後6ヶ月経過後に10日が付与され、その後1年経過ごとに一定日数が付与される。したがって、定期採用ではなく、従業員が中途採用で入社日がまちまちの場合には、使用者の年休管理が煩雑になる。
そこで、使用者には、以下の要件を満たす場合には、管理上の煩雑さを回避するために斉一的な取扱いをすることが認められている(平6.1.4 基発1号)。
〔時系列でみる〕出産・子を養育する社員への対応と運営のヒント 【第7回】「苦情対応・法令違反企業に対する措置」
育児休業や短時間勤務制度などを就業規則に定めたが、実際には制度が利用されていないこともあると思われる。
制度を利用していない理由としては、以下のようにさまざまなものが考えられる。
民法改正(中間試案)―ここが気になる!― 【第3回】「売買」
売買契約に関する改正の特徴は、法律構成の明確化と整理である。すなわち、特に新しく規定するというよりは、判例等を明確にし、また、解釈を整理するものが中心である。
もっとも、こうした明確化や整理について、ビジネス法務上は、契約書に反映することで既に行われていることが少なくない。言い換えると、本改正に意義があるのは、契約書において明確に定めない場合、すなわち、個人的な売買や契約書を重視しない事業者による売買であろう。
顧問先の経理財務部門の“偏差値”が分かるスコアリングモデル 【第2回】「スコアリングモデルの概要と基本構想」 ~専門知識はいらない~
スコアリングモデルでは、まず、経理財務を構成する業務を18種類に分類する。18種類の業務はいずれも馴染みのある経理財務業務である。
次に、18種類の業務について、「正確性」、「効率性」、「安定性」、「リスク管理」、「戦略性」の5つの視点で経営管理レベルを向上させる鍵となる重要要素を抽出し、その達成度を測定するために適切な評価指標(Key Performance Indicator、以下「KPI」)を設定している。
KPIは、開発の当初は数百個挙げられていたが、監査関係団体、銀行、投資顧問、情報システム業界等、様々な意見を集約した結果、137個まで絞り込んだ。
読者は、顧問先からKPIに対応する素データを調査項目として収集し、その素データをデータベースの中で統計的手法を使ってスコアに変換した評価結果を顧問先に提供することができる。
企業の香港進出をめぐる実務ポイント 【第6回】「香港の労務制度・市場環境」
1) 雇用関係
香港における労働者の権利義務については、雇用条例(Employment Ordinance)においてその基本的な事項が規定されている。
雇用条例における重要な事項については、以下のとおりである。
① 雇用契約
雇用契約とは、使用者と労働者との間で締結される契約である。
契約の形態は、口頭でも書面でも有効とされているが、トラブル防止のためにも雇用契約書を作成するのが一般的である。
雇用契約書には、通常以下のような項目が含まれる。
〔知っておきたいプロの視点〕病院・医院の経営改善─ポイントはここだ!─ 【第10回】「週末の病床利用率と救急医療」
病院経営を語る際に、病床利用率は切り離すことができない。固定費が多くを占める医療機関の財務特性から考えて、一定の患者数の存在は不可欠である。
しかし、この病床利用率は、治療終了後に在院日数を引き延ばして維持すべきものではない。実際に、延べ入院患者数と医業利益率には正の相関がほとんどみられず、少しくらい入院期間を延ばしたからといって抜本的に業績が良くなることがないことを意味している。
新入院患者の獲得こそが業績向上につながるのであり、治療終了後はすみやかに退院させることが期待される。
会計事務所 “生き残り” 経営コンサル術 【第6回】「『誰だって簡単に経営計画書が作成できますよ』という甘い言葉に誘われて・・・」
前回も書かせていただきましたが、その昔、経営計画シミュレーションが話題になりました。
これが出現する以前は、経営コンサルティングのブームがありました。つまり、「記帳代行の時代はもう古い。これからはコンサルができなければ生きていけないよ」と叫ばれ始めたのでした。
しかし、全国の会計事務所は、この業務ができなくて、コンサルは急速に萎んでいきました。
これに代わって出現したのが、経営計画のシミュレーションだったのです。
NPO法人 “AtoZ” 【第11回】「NPO法人の資金調達」
NPO法人は非営利活動を目的とするため、その活動が社会貢献である以上、収益を上げてはいけないという考え方がある。
ただ、NPO法人であっても、会員のため、従業員のため、サービスの提供を受けている方々のため等、事業を継続していかなければならない。
事業を安定させるためには、ある程度の資金を法人内に積み立てておくことも必要である。
NPO法人の収益は分配されることがないため、社会貢献活動を通じて社会に還元されていくことから、収益を上げることは必ずしも悪いことではなく、事業を継続し、より一層の公益に資していくためにも必要な活動となる。
年次有給休暇管理上の留意点 【第1回】「年次有給休暇の基本」
「休暇」とは、労働契約において労働義務がない日をいう「休日」とは違い、労働契約上の労働日について、その労働提供義務を免れるものをいう。
休暇には法律で定められている「法定休暇」と使用者が独自に就業規則等で定めた「法定外休暇」がある。
年次有給休暇(以下、「年休」という)は、付与が義務付けられている「法定休暇」の一つである。
〔時系列でみる〕出産・子を養育する社員への対応と運営のヒント 【第6回】「産後8週間経過後の対応(3)」―子の看護休暇・次世代育成支援―
前回に引き続き、子を養育する従業員に対する育児・介護休業法による制度のポイントと企業の対応策について解説し、その後、次世代育成支援対策推進法(本文中は「次世代法」とする)について触れていくこととする。