中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第1回】「公的年金制度の概要と加入資格」
本連載では、顧問先の中小企業経営者の方が、引退後も安心して暮らせるためのライフプランを立てるときに欠かせない年金制度の基本的な仕組み、手続について解説します。
特に、年金制度において一般的に誤解の多い事柄や複雑な仕組み等を、具体的な事例やQ&Aを入れて理解を深めていただけるようにしました。また、ワンポイントアドバイスのコーナーでは、もう一歩進んで留意点や考慮が必要な事柄について説明しています。内容については、老齢の年金及び万が一の場合の遺族年金についても取り上げていきます。
公的年金制度の“今”を知る 【第4回】「公的年金制度の今後を考える」
現在の公的年金制度は、少子高齢化と連動させて受給できる年金額を削減することにより財政のバランスを保つ仕組みになっている。今回の財政検証結果を読み解くにあたっても、私たちは「将来、受給できる年金がどこまで減るのか」を見ることになる。特に、将来のモデル世帯の年金水準が、法律で決められた下限(現役世代の平均手取り収入の50%)を超えているかどうかが、判断のポイントとなる。
公的年金制度の“今”を知る 【第3回】「今後の年金改革のゆくえ」
公的年金制度には、多くの方に安心を提供し、老後の生活を支えるという役割があることから、年金制度は、長期間にわたって財源を維持し、財政のバランスがとれるように運営していくことが不可欠である。
現在の日本の公的年金は、年金支給のために必要な財源をその時々の保険料収入から用意する「賦課方式」で運営されており、現役世代が納めた保険料は、そのときの年金受給者への支払いに充てられている。
公的年金制度の“今”を知る 【第2回】「平成24年の年金改革に対する評価と課題」
平成24年の通常国会において、社会保障と税一体改革関連法案8法が可決され、「年金機能強化法」と「被用者年金一元化法」が成立した。
年金財政の持続可能性の確保のため、税制抜本改革により確保される安定財源によって、平成26年度から基礎年金国庫負担1/2が恒久化される見通しになった。また、「被用者年金一元化法」の成立により、長年の懸案であった被用者年金の一元化が平成27年10月1日に実施されることにより、年金の官民格差が是正される見通しとなった。
このことから、抜本的な年金改革に向けて、これまで進まなかった改革項目に一定の決着がつき、一歩前進する見通しとなったことは評価できる。
公的年金制度の“今”を知る 【第1回】「公的年金制度の概要と現状」
国民年金法が成立し「国民皆年金」が実現してから50余年、私たちを取り巻く社会状況は大きな変化に直面している。予想をはるかに上回る速度で少子高齢化が進み、労働力人口が減少するとともに、経済の低成長時代が続いている。
1970(昭和45)年頃は1人の高齢者(65歳以上)を8.5人の現役世代(20~64歳)で支える、“胴上げ型”の社会であったが、現在は高齢者1人を3人で支える“騎馬戦型”、そして2050年頃には高齢者1人を1人で支えなければならない“肩車型”になるといわれている。
本連載では全4回にわたって、公的年金制度の過去・現在・未来を考えていく。
国際出向社員の人事労務上の留意点(海外から日本編) 【第2回】「エクスパットの社会保険適用」
健保・厚生年金の適用事業所に「使用される」人は、その人の意思・地位・性別・年齢・収入・国籍を問わず、一部の例外(臨時に使用される人など)を除き、すべて健康保険・厚生年金保険の被保険者となる。
「使用される」とは、事実上の使用関係を意味するものであり、労務の提供の有無及びその報酬の支払関係、人事労務管理の有無などによって実態的に判断されるものである。
国際出向社員の人事労務上の留意点(日本から海外編) 【第5回】「海外出向者の社会保険適用関係」
健康保険と厚生年金保険は、適用事業所である日本の出向元との使用関係がある限り、被保険者資格が継続する。
使用関係は、労務の提供、報酬の支払い、人事管理などの観点から判断されるが、実際の保険者の判断は、「報酬の支払いの有無」を重要視しているケースがほとんどである。
ここで問題となるのが、保険料の基礎となる標準報酬月額をどのように算定すべきか、ということであるが、法律には海外勤務者の標準報酬をどのように算定すべきか定義されておらず、日本年金機構においては過去の事例の積み上げで判断しているというのが実態である。
国際出向社員の人事労務上の留意点(日本から海外編) 【第2回】「国際出向社員の各種法律における身分関係②(社会保障協定)」
日本を含めた世界のほとんどの国では、その国で就労している人をその国の公的年金制度の対象としている。このため、自国を離れ国外に赴任する場合、派遣先国の年金保険料を支払い、かつ、受給権確保のため自国でも年金保険料を支払うという現実がある。
ここで生じる問題として、①保険料の二重払い、②支払期間が短いがゆえの「掛け捨て」が挙げられるが、これらの回避策として、日本政府は平成12年のドイツを皮切りに、各国との社会保障協定を推し進めている。
年金制度をめぐる最新の法改正と留意点 【第4回】「年金強化法等における改正事項(その2)」
一定の短時間労働者は、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することができなかったが、社会保険の適用除外者を明確にすることにより、短時間労働者の適用拡大が図られる。
年金制度をめぐる最新の法改正と留意点 【第3回】「年金強化法等における改正事項(その1)」
「社会保障と税の一体改革関連法」の成立に伴い「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(年金機能強化法)」が公布(平成24年8月22日)されている。
施行日は改正内容によって異なるが、一部は平成26年4月1日から施行される。