中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第4回】「老齢基礎年金の額」
老齢基礎年金の額は、20歳から60歳までの間がすべて保険料を支払った期間(納付済期間という)があれば、満額の780,100円(平成27年度)が支給される。
つまり、加入期間のうち保険料の未納期間等があれば、年金額が減額されることになる。
確定拠出年金制度の改正をめぐる今後の展望 【第2回】「今回改正が意味すること①」
今まで企業年金は、適年、厚生年金基金、DB、DCとそれぞれ独立した法律の建付けで運営されてきた。【第1回】でも述べたが、やりたい企業が好きに制度を選択して導入すればよい、いわば、労使合意のもと「やりたいようにやってください」というものだったわけである。
このような労使合意に基づく“自由な設計”という考え方は、退職一時金制度を源泉とする日本の企業年金制度の世界において発足以来綿々と生き続けてきた。結果として、企業年金を持つ余裕があり、社員の老後まで面倒を見たい大企業が推進の中心となっていったのだが、大企業の社員は、全労働者からみればほんの一部に過ぎない。このままでは非常に拙いことになるのは目に見えている。
確定拠出年金制度の改正をめぐる今後の展望 【第1回】「今回改正の背景と全体像」
厚生労働省は、公的年金制度の見直し等にあわせて企業年金制度の改正を目指しており、2013年10月には社会保障審議会企業年金部会を立ち上げ、計15回に及ぶ部会審議の後に、今年4月に「確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」を提出した。
「法律案」に盛られた内容は、部会で審議されたもののすべてを含んではおらず、特に税制関連項目に関しては今後財務省との交渉を踏まえてより深化していくものと期待される。税制上の課題はいずれ述べるが、少なくとも「企業年金部会等を通して厚生労働省が企業年金を今後どのような方向に改正させていきたいのか」という姿が見えてきた。
中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第3回】「老齢基礎年金を受給するための要件」
厚生年金保険に加入している人は、保険料の滞納がない。加入期間がそのまま受給資格期間になる。したがって、厚生年金保険に25年加入すれば受給資格期間を満たすことができる。
昭和31年4月1日以前に生まれた人は、共済年金及び厚生年金保険の年金の加入期間が20年から24年以上(単独、合算いずれも可)あれば、公的年金の加入期間が25年以上なくても、受給資格期間を満たすことができる。
中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第2回】「年金の支給開始年齢」
国民年金から支給される老齢の年金を「老齢基礎年金」といい、厚生年金保険から支給される老齢の年金を「老齢厚生年金」という。
それぞれの年金は、原則として65歳から支給される。
なお、現在、厚生年金保険は、生年月日により60歳(男性の場合は61歳)から「特別支給の老齢厚生年金」として支給されている。
中小企業事業主のための年金構築のポイント 【第1回】「公的年金制度の概要と加入資格」
本連載では、顧問先の中小企業経営者の方が、引退後も安心して暮らせるためのライフプランを立てるときに欠かせない年金制度の基本的な仕組み、手続について解説します。
特に、年金制度において一般的に誤解の多い事柄や複雑な仕組み等を、具体的な事例やQ&Aを入れて理解を深めていただけるようにしました。また、ワンポイントアドバイスのコーナーでは、もう一歩進んで留意点や考慮が必要な事柄について説明しています。内容については、老齢の年金及び万が一の場合の遺族年金についても取り上げていきます。
公的年金制度の“今”を知る 【第4回】「公的年金制度の今後を考える」
現在の公的年金制度は、少子高齢化と連動させて受給できる年金額を削減することにより財政のバランスを保つ仕組みになっている。今回の財政検証結果を読み解くにあたっても、私たちは「将来、受給できる年金がどこまで減るのか」を見ることになる。特に、将来のモデル世帯の年金水準が、法律で決められた下限(現役世代の平均手取り収入の50%)を超えているかどうかが、判断のポイントとなる。
公的年金制度の“今”を知る 【第3回】「今後の年金改革のゆくえ」
公的年金制度には、多くの方に安心を提供し、老後の生活を支えるという役割があることから、年金制度は、長期間にわたって財源を維持し、財政のバランスがとれるように運営していくことが不可欠である。
現在の日本の公的年金は、年金支給のために必要な財源をその時々の保険料収入から用意する「賦課方式」で運営されており、現役世代が納めた保険料は、そのときの年金受給者への支払いに充てられている。
公的年金制度の“今”を知る 【第2回】「平成24年の年金改革に対する評価と課題」
平成24年の通常国会において、社会保障と税一体改革関連法案8法が可決され、「年金機能強化法」と「被用者年金一元化法」が成立した。
年金財政の持続可能性の確保のため、税制抜本改革により確保される安定財源によって、平成26年度から基礎年金国庫負担1/2が恒久化される見通しになった。また、「被用者年金一元化法」の成立により、長年の懸案であった被用者年金の一元化が平成27年10月1日に実施されることにより、年金の官民格差が是正される見通しとなった。
このことから、抜本的な年金改革に向けて、これまで進まなかった改革項目に一定の決着がつき、一歩前進する見通しとなったことは評価できる。
公的年金制度の“今”を知る 【第1回】「公的年金制度の概要と現状」
国民年金法が成立し「国民皆年金」が実現してから50余年、私たちを取り巻く社会状況は大きな変化に直面している。予想をはるかに上回る速度で少子高齢化が進み、労働力人口が減少するとともに、経済の低成長時代が続いている。
1970(昭和45)年頃は1人の高齢者(65歳以上)を8.5人の現役世代(20~64歳)で支える、“胴上げ型”の社会であったが、現在は高齢者1人を3人で支える“騎馬戦型”、そして2050年頃には高齢者1人を1人で支えなければならない“肩車型”になるといわれている。
本連載では全4回にわたって、公的年金制度の過去・現在・未来を考えていく。