公開日: 2018/12/06 (掲載号:No.297)
文字サイズ

空き家をめぐる法律問題 【事例9】「空き家の相続登記に関する問題」

筆者: 羽柴 研吾

空き家をめぐる法律問題

【事例9】

「空き家の相続登記に関する問題」

 

弁護士 羽柴 研吾

 

- 事 例 -

高齢の父親が生前に居住していた実家は、現在、空き家となっています。父親の共同相続人である私を含む5人の兄妹間では、実家の遺産分割協議は行われておらず、父親の登記名義のままにして実家を物置として利用しています。

このような状態には、現在又は将来においてどのような法的問題がありますか(なお、本事例においては、相続税の問題は生じないものとする)。

 

1 はじめに

一般に、不動産の所有者の相続が開始した場合、遺産分割協議等を経て相続登記(所有権の移転登記)が行われることとなる。しかしながら、近時、相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加しており、これが所有者不明土地問題や空き家問題の一因となっている旨指摘されている。このような問題に対応するために、法務省では、平成29年5月29日から、「法定相続情報証明制度」を開始するなど相続登記の促進に向けた取組みを実施している。

このように、相続登記は、空き家問題等と密接に関係することから、今回は、共同相続と相続登記の問題について若干の説明をすることとしたい。

 

2 相続登記が行われない理由とその弊害

相続登記が行われない大きな理由は、相続登記が共同相続人の義務ではないからである。雑駁な言い方をすれば、相続登記を含む権利登記は、第三者に対する対抗要件であって、登記をするか否かは権利者の判断に委ねられているということである。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

空き家をめぐる法律問題

【事例9】

「空き家の相続登記に関する問題」

 

弁護士 羽柴 研吾

 

- 事 例 -

高齢の父親が生前に居住していた実家は、現在、空き家となっています。父親の共同相続人である私を含む5人の兄妹間では、実家の遺産分割協議は行われておらず、父親の登記名義のままにして実家を物置として利用しています。

このような状態には、現在又は将来においてどのような法的問題がありますか(なお、本事例においては、相続税の問題は生じないものとする)。

 

1 はじめに

一般に、不動産の所有者の相続が開始した場合、遺産分割協議等を経て相続登記(所有権の移転登記)が行われることとなる。しかしながら、近時、相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加しており、これが所有者不明土地問題や空き家問題の一因となっている旨指摘されている。このような問題に対応するために、法務省では、平成29年5月29日から、「法定相続情報証明制度」を開始するなど相続登記の促進に向けた取組みを実施している。

このように、相続登記は、空き家問題等と密接に関係することから、今回は、共同相続と相続登記の問題について若干の説明をすることとしたい。

 

2 相続登記が行われない理由とその弊害

相続登記が行われない大きな理由は、相続登記が共同相続人の義務ではないからである。雑駁な言い方をすれば、相続登記を含む権利登記は、第三者に対する対抗要件であって、登記をするか否かは権利者の判断に委ねられているということである。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

空き家をめぐる法律問題

連載が大幅加筆で単行本になりました!!
くわしくは[こちら

事例1~事例40

事例41~

筆者紹介

羽柴 研吾

(はしば・けんご)

弁護士
弁護士法人東町法律事務所(神戸事務所所属)

企業法務、金融法務、自治体法務(固定資産税含む)を中心に一般個人案件にも従事。
現在は、企業の事業承継問題、研究開発税制、不動産投資を含む空家対策問題に関心を寄せる。

【略歴】
京都府出身
平成17年 立命館大学法学部卒業
平成19年 立命館大学法科大学院修了、新司法試験合格
平成20年 弁護士登録
平成24年 仙台国税不服審判所(国税審判官)
平成27年 東京国税不服審判所(国税審判官)
平成28年 日弁連法務研究財団「国税不服審査制度に関する研究」研究員

【著書】
民法改正に対応 空き家の法律問題と実務対応
 

関連書籍

信託法務大全 第2編

田中和明 編著 小出卓哉 編著 及川富美子 著 齋藤 崇 著 佐久間 亨 著 冨田雄介 著 畠山久志 著 松田和之 著 森田豪丈 著

【電子書籍版】相続税・贈与税取扱いの手引

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

【電子書籍版】資産税実務問答集

後藤幸泰 編 信永 弘 編

ここが違う! プロが教える土地評価の要諦

税理士・不動産鑑定士 東北 篤 著

〇×判定ですぐわかる資産税の実務

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

資産税の取扱いと申告の手引

後藤幸泰 編 信永 弘 編

資産税実務問答集

後藤幸泰 編 信永 弘 編

相続税・贈与税取扱いの手引

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

不動産の評価・権利調整と税務

鵜野和夫 著 税理士・不動産鑑定士 下﨑 寛 著 税理士・不動産鑑定士 関原教雄 著

土地・株式等の財産評価

税理士 香取 稔 著

不動産実務百科Q&A

一般財団法人 日本不動産研究所 著

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#