コーポレートガバナンス・コードのポイントと企業実務における対応のヒント 【第4回】「取締役会等の責務①」~独立社外取締役の独立性判断基準について(4-9)~
独立社外取締役という言葉には、「独立」、「社外」、「取締役」という3つの要素が含まれる。このうち、「社外」かどうか、という点は、会社法によって規定されている。
社外性の要件は、平成26年改正会社法によって厳格化が図られ、例えば、株式会社の親会社等の関係者および兄弟会社の業務執行者や、株式会社の一定の業務執行者等の近親者については、当該株式会社の社外取締役となることができないこととなった(※1)。
現代金融用語の基礎知識 【第17回】「税務に関するコーポレートガバナンス」
「税務に関するコーポレートガバナンス」は、国税庁がその取組みにおいて用い始めた言葉なのだが、国税庁自体はこの言葉に対して明確な定義付けを行っていない。しかし、国税庁による取組みの内容から国税庁の意図を推測し、あえて定義付けを行うとするならば、「税務に関するコーポレートガバナンス」とは、適切な納税が行われるために企業の内部に整備される体制といえるのではないかと思われる。
〈IT会計士が教える〉『情報システム』導入のヒント(!) 【第7回】「システムの「導入」と「維持」にはどんなコストが発生するのか?」
情報システムを導入する際に考慮すべき重要な要素の1つに、費用(コスト)がある。
情報システムの導入は、単にソフトウエアとハードウエアを購入すればよいというだけでなく、ユーザーには見えにくいさまざまなコストが発生する。
今回は会計システムのパッケージソフトを導入する場合を例に、「システムの導入と維持にどのようなコストが発生するのか」という点について紹介したい。
コーポレートガバナンス・コードのポイントと企業実務における対応のヒント 【第3回】「原則主義とコンプライ・オア・エクスプレイン」
上場会社コーポレート・ガバナンス原則は上場企業に対する要請事項を明示し、努力義務を課す「望まれる事項」であるのに対し、本コードは、最低限守るべき事項を明示した「遵守すべき事項」に位置付けられる。上場規則として位置づけられた以上は、規則に違反した場合に何らかの措置の対象となることが考えられるが、本コードに記載されている要求事項そのものは、法令とは異なり、法的拘束力を有するものではない。
コーポレートガバナンス・コードのポイントと企業実務における対応のヒント 【第2回】「コード策定の経緯及び背景、コードの目的、構成」
過去20年間を振り返ったときに、米国の平均ROE(株主資本利益率)が12%程度であるのに対し、日本企業の平均は5%程度であり、海外投資家から日本企業の投資魅力度の低さが指摘されていた。
そこで、2014年6月に閣議決定された「日本再興戦略2014」においては、企業の稼ぐ力(中長期的な収益性・生産性)の向上にむけたコーポレートガバナンスを強化するため、「CGコード」の策定が掲げられた。
現代金融用語の基礎知識 【第16回】「REIT(リート)」
1 REITとは
ここ最近、新聞などで「REIT相場が高騰」や「REITの増資が活発」といった記事をよく目にする。そのREITとは、“Real Estate Investment Trust”の略称で、「不動産投資信託」のことである。投資信託は、投資家から集めた資金を株式や債券などに投下するものだが、REITは、文字どおり投資家から集めた資金を不動産に投下するものである。
〈IT会計士が教える〉『情報システム』導入のヒント(!) 【第6回】「システム担当者不在が引き起こすリスクと回避策」
言うまでもなく情報システム部門は間接部門であり、コストセンターである。そのため、多くの会社ではコスト削減のため縮小を図ってきた。現在では国内に多くのシステムベンダーが存在しており、情報システムを開発・導入する際には社内の人的資源ではなく、社外のシステムベンダーを活用するという状況が成立している。
コーポレートガバナンス・コードのポイントと企業実務における対応のヒント 【第1回】「はじめに」~コーポレートガバナンス・コード(原案)の確定と企業への影響~
昨年12月から本年1月にかけて実施されたパブリック・コメントでは、国内・海外から合計121の団体・個人からのコメントが寄せられたが、その大部分は肯定的ものであったとのことである。公開草案からは修辞的な修正がいくつかはいったものの、概ね草案どおりの内容のまま確定することになる。
本シリーズでは、コーポレートガバナンス・コード原案のポイントをわかりやすく解説するとともに、企業実務における対応のヒントを全10回シリーズにてご説明したい。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをお断りしておく。
現代金融用語の基礎知識 【第15回】「監査等委員会設置会社」
株式会社が採り得る機関設計の類型は様々だが、上場会社が採り得る機関設計の類型は、現在のところ「監査役会設置会社」と「委員会設置会社」の2つである。そのうち、監査役会設置会社とは、株主総会のほかに、取締役会、代表取締役、監査役会という機関が置かれる会社である。
経営に関わることはもっぱら取締役会が決定し(会社法362条2項1号)、取締役会が決定したことを代表取締役が会社を代表して行う(会社法363条1項1号)。そして、監査役会が取締役会の決定や代表取締役の行為を監査する(会社法390条)。
企業における『マイナンバー導入プロジェクト』の始め方&進め方 【第3回】「プロジェクト発足後、具体的にどうやって進めるか」
このように、各企業によって対応すべき事柄に細かな違いがあることから、当然対応に必要な業務量も異なることになる。
そこで、対応を進めていくうえでのスケジュールやロードマップ(工程)を策定するうえでは、「自社で対応すべき事項や課題・論点の列挙」が重要となる。