相続税の実務問答 【第92回】「相続時精算課税における特別控除の選択適用」
私は、令和5年中に、父から500万円の現金の贈与を受けましたので贈与税の申告をしなければなりません。この贈与税の申告に当たっては、相続時精算課税を選択するつもりです。
ところで、数年後に父は自らが経営する会社の役員を退職する予定であり、その際に、その会社の株式を私に贈与してくれるようです。相続時精算課税を選択した場合には、2,500万円の特別控除を適用することができるとのことですが、株式の贈与を受けた際の税負担を軽減するために、今回の贈与税の申告では、特別控除を適用せず、株式の贈与を受けた年分の贈与税について特別控除2,500万円の全額を使用したいと思います。このような特別控除額の適用年分の選択をすることはできるのでしょうか。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第37回】「日本ガイシ事件-立地特殊優位性がもたらす利益の取扱いについて-(高判令4.3.10)(その1)」~租税特別措置法66条の4第1項、第2項1号ハ、同施行令39条の12第8項1号ハ~
わが国で、産業の空洞化の問題が取り質され、中小企業から大企業に至るまで様々な企業が海外に製造移管を行い久しい。企業の海外進出の目的は様々だが、主たる目的に、トータルコストの低減が挙げられる。日本に比しより廉価な労働賃金やインフラコストなどを提供する国・地域を求め、企業は進出している。移転価格において、ロケーション・セービング(Location Saving。以下、「LS」という)(※1)と表されるメリットを求めての企業行動である。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第151回】株式会社タムロン「特別調査委員会調査報告書(開示版)(2023年11月1日付)」
株式会社タムロン(以下「タムロン」と略称する)は、1950年11月創業、1952年10月設立。設立時の社名は泰成光学工業株式会社。1970年4月、現商号に変更。9社の連結海外子会社を有している。連結売上63,445百万円、経常利益11,496百万円、資本金6,923百万円。従業員数4,448名(2022年12月期連結実績)。本店所在地は埼玉県さいたま市。東京証券取引所プライム市場上場。会計監査人は、監査法人和宏事務所。
《速報解説》 会計士協会、「グループ監査における特別な考慮事項」の改正に伴い「経営者確認書」など関連する監査基準報告書、実務指針等を修正
2024年2月8日付けで(ホームページ掲載日は2024年2月9日)、日本公認会計士協会は、「監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」に伴う監査基準報告書等の改正」を公表した。
《速報解説》 JICPA及び日税連から「会計参与の行動指針」の改正が公表される~中小企業会計指針の改正に対応して倫理規則等見直し~
2024年2月7日付で(ホームページ掲載日は2024年2月8日)、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会は、「「会計参与の行動指針」の改正について」を公表した。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第128回】「消費税法上の実質行為者課税の原則(その1)」
所得税法や法人税法には実質所得者課税の原則が設けられているが、消費税法にも類似の規定が存在する。すなわち、消費税法13条《資産の譲渡等又は特定仕入れを行った者の実質判定》1項は、「法律上資産の譲渡等を行ったとみられる者が単なる名義人であって、その資産の譲渡等に係る対価を享受せず、その者以外の者がその資産の譲渡等に係る対価を享受する場合には、当該資産の譲渡等は、当該対価を享受する者が行ったものとして、この法律の規定を適用する。」とし、2項は、「法律上特定仕入れを行ったとみられる者が単なる名義人であって、その特定仕入れに係る対価の支払をせず、その者以外の者がその特定仕入れに係る対価を支払うべき者である場合には、当該特定仕入れは、当該対価を支払うべき者が行ったものとして、この法律の規定を適用する。」と規定する。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第23回】「国税通則法65条(~67条)」-附帯税(2) 過少申告加算税とその加重及び減免-
加算税は、附帯税(税通2条4号)のうち制裁目的で課される金銭的負担であり、行政罰の一種である(前回1参照)。加算税の対象は、申告納税方式(税通16条1項1号)による国税については納税申告義務に対する違反、源泉徴収等による国税(同2条2号)については源泉徴収及び特別徴収に係る義務(徴収納付義務)に対する違反である。加算税は、それらの行政上の義務について適正な履行を間接的にあるいは心理的に強制し、もって適正な履行を担保しようとする措置(行政上の義務履行担保措置)である。
〔令和6年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第1回】「研究開発税制の見直し」
令和5年度税制改正における改正事項を中心として、令和6年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。本連載では、その中でも主なものを解説する。
【第1回】は「研究開発税制の見直し」について解説する。
〔疑問点を紐解く〕インボイス制度Q&A 【第35回】「令和5年分は2割特例、令和6年分は本則課税として申告することの可否と注意点」
個人事業者です。インボイス制度開始前は免税事業者でしたが、適格請求書発行事業者の登録を受けたことにより、令和5年10月より課税事業者となりました。消費税課税事業者選択届出書や消費税簡易課税制度選択届出書は現時点(令和6年2月)では提出していません。
令和6年中に店舗兼住宅(店舗部分のみの価額が税抜1,000万円以上)の取得を予定しているため、課税売上高以上の課税仕入れが生ずると見込んでおり、令和6年分については本則課税が有利になると考えています。そこで、令和5年分は2割特例、令和6年分は本則課税を適用することは可能ですか。