日本の会計について思う 【第2回】「日本にも国家会計戦略を」
私は2010年11月、シンガポールが戦略的に開催した一連の会計関連の国際会議に出席する機会を得た。そのうちの一つとして開催されたシンガポール公認会計士協会の大会は、いま評判の巨大複合コンプレックス、マリナ・ベイ・サンズでの開催であった。
この会議にはシンガポールの会計士だけでなく外国からの招待客も多く参加していた。また、シンガポール国内からは政界、経済界、学界を含む各界から多くの参加者があった。
ここで驚いたのは、2020年までにシンガポールをアジア太平洋における会計ハブにすることが高らかに宣言されたことである。
過年度遡及会計基準の気になる実務Q&A 【第2回】「決算期の変更」
Q 会社は、グループ会社の決算期と統一するために、決算期の変更を行おうと考えています。
決算期の変更を行う場合には、どのようなことに注意すればよいでしょうか。
林總の管理会計[超]入門講座 【第20回】「原価計算の具体例(その1)」
〔Q〕今日は原価計算システムの具体例ですね。
〔林〕まずはケーキ屋を取り上げてみよう。
〔Q〕ケーキ屋さんですか?もっと本格的な話、例えば自動車メーカーがどのようにして原価計算をしているのかを聞きたいのですけど・・・
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第33回】税効果会計②「税効果会計の方法」─資産負債法と繰延法について
当社はX1年3月期において会計上、棚卸資産について30の評価損を計上しました。この棚卸資産評価損については税務上損金算入が認められないため、課税所得計算上加算しました。
また、取引関係の強化のため取引先A社の株式を取得しましたが、A社株式の時価は期末までに変動しました。
企業会計上の費用と税務上の損金の認識の相違だけでなく、保有する株式の時価が変動した場合にも税効果会計を適用することになるようですが、なぜでしょうか。
過年度遡及会計基準の気になる実務Q&A 【第1回】「正当な理由による会計方針の変更」
Q 会社は、会計方針の変更を行うことを考えています。
会計方針の変更を行う場合には、監査人から厳しくチェックされると聞きましたが、会社としてはどのような事項を検討すればよいでしょうか。
経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第32回】税効果会計①「税効果会計の目的」─企業会計と税務の相違について
当社はX1年3月期において会計上、棚卸資産について30の評価損を計上しました。この棚卸資産評価損については税務上損金算入が認められないため、課税所得計算上加算しました。当該棚卸資産をX2年3月期に処分し、X1年3月期に計上した会計上の評価損が税務上損金算入されました。
X1年3月期及びX2年3月期に必要となる会計処理を教えてください。
設備投資減税を正しく活用して強い企業をつくる~設備投資における管理会計のポイント~ 【第3回】「設備投資における実務上の問題点」―意思決定~回収―
筆者の経験上、営業部門や製造部門の立場では、売上維持・拡大や品質水準の維持が最優先され、例えば、取締役会や稟議書などで、「新規受注」「受注維持」「品質管理(維持)」が、経営者やマネジメントの耳に心地よく響く、いわば“殺し文句”となっている場合が多いと感じている。しかしながら、財務や経理部門の立場からは、その設備導入効果がトータルとして、企業の正味キャッシュを増やす効果があるか否かを様々な角度から慎重かつ客観的に検証すべきである。
フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第1回】「資産除去債務~計上から履行まで~」
資産除去債務とは、「有形固定資産(投資不動産を含む)の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるもの」をいう(「資産除去債務に関する会計基準」(以下「基準」という)3(1))。
資産除去債務の会計処理は、簡潔にいうと、将来、法令や契約等で義務付けられた除去費用が発生する(可能性がある)場合、その除去費用を将来ではなく、現時点で負債に計上するというものである。
具体的な資産除去債務の会計処理の検討は、以下の4つのステップに分けることができる。
林總の管理会計[超]入門講座 【第19回】「目指すべき原価計算システム」
〔林〕最初に考えてもらいたいことは、「なぜ原価計算システムを導入するのか?」ということだ。これは「原価計算の目的」を明確にすることでもある。
〔Q〕原価計算の目的は・・・財務諸表目的、正しい製品原価目的、原価管理目的でした。
〔林〕そうだね。これを「外部報告目的」と「内部管理目的」の視点で区分したらどうなるだろう。