M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-財務・税務編- 【第14回】「労働債務の分析(その2)」-従業員に対する退職給付債務-
従業員に対する退職給付は、一定の期間にわたって労働を提供したこと等の事由に基づき、退職以後に支給されるものであり、積立方法として内部/外部積立、支給方法として一時金/年金支給の別に大別されるほか、事業主が外部積立する掛金の追加的な拠出義務を有するか否かによって、確定給付制度と確定拠出制度に区分される。
「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第6回】
【STEP5】では収益認識の時点及び方法を決定する。
企業が履行義務を一定の期間にわたり充足するものであると判断したには、当該履行義務は一定の期間にわたりで充足される(一定の期間で収益を認識する)ものとされ、一定の期間にわたり充足するものではないと判断した場合には、当該履行義務は一時点で充足される(一時時点で収益を認識する)ものとされる(基準38、39)。
企業結合会計を学ぶ 【第6回】「取得原価の配分方法①」-識別可能資産及び負債の範囲-
取得企業は、被取得企業から受け入れた資産及び引き受けた負債の時価を基礎として、それらに対して取得原価を配分する(企業結合会計基準98項)。
これは、取得とされた企業結合に特有な処理ではなく、企業結合以外の交換取引により複数の資産及び負債を一括して受け入れた又は引き受けた場合に一般的に適用されているものであり、次のような考え方である(企業結合会計基準98項)。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第79回】スルガ銀行株式会社「第三者委員会調査報告書(平成30年9月7日付)」(後編)
本稿では、【前編】に引き続き、スルガ銀行第三者委員会調査報告書について、スルガ銀行取締役・監査役の法的責任、経営責任についての第三者委員会の評価を検証するとともに、調査報告書公表後の事態の推移を見ておきたい。
合わせて、インターネット上で報じられている被害の実態について、第三者委員会の調査により事実関係が確認できている部分と、それ以外の部分とに分けて、解説したい。
「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第5回】
単一の履行義務の場合、基本的に【STEP4】の検討は不要であるが、基準第32項(2)(6(連載第3回)(1)参照)に従って一連の別個の財又はサービスを移転する約束が単一の履行義務として識別され、かつ、対価に変動性のある金額が含まれている場合には、上記のうち(3)の検討が必要である(基準67)。
企業経営とメンタルアカウンティング~管理会計で紐解く“ココロの会計”~ 【第8回】「ココロのアンカーにご用心①」
PN社は、文具や雑貨の製造・販売を手がけるメーカーです。
第1事業部長と第2事業部長がそろって経理部にやってきました。
「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」の徹底解説 【第4回】
【STEP3】では取引価格を算定する。「取引価格」とは、財又はサービスの顧客への移転と交換に企業が権利を得ると見込む対価の額(ただし、第三者のために回収する額を除く)をいう(基準8、47)。
取引価格の算定においては、以下の5つについて検討する(基準48)。特に(1)、(2)、(5)は影響が大きい論点である。
M&Aに必要なデューデリジェンスの基本と実務-財務・税務編- 【第13回】「労働債務の分析(その1)」-未払給与、賞与等-
「労働債務」は会計上の用語ではないが、本稿では従業員(役員を含む)による労働等の対価として法人が支払うべきものの未払額を総称して「労働債務」と呼ぶことにする。
代表的な労働債務としては未払給与や未払賞与、退職給付引当金や役員退職慰労引当金のほか、我が国では馴染みの薄い有給休暇に関する引当金などが挙げられる。
今回はこれらのうち、いわゆる「短期従業員給付に当たる項目」について概説する。
企業結合会計を学ぶ 【第5回】「取得原価の算定方法」-段階取得・一体取引-
例えば、企業結合が行われる前に、被取得企業の株式を一部、取得し、その後、追加で株式を取得して、他の企業に対する支配を獲得することがある。このように、「取得」が複数の取引により達成された場合を「段階取得」という(企業結合会計基準25項)。