〔判決からみた〕会計不正事件における当事者の損害賠償責任 【第3回】「「取締役」の損害賠償責任」
今回は、首謀者ではない、または会計不正の事実を知らなかったと主張する取締役を被告として、株主らがその損害賠償責任を追及した2つの事件の判決を比較検討するかたちで、裁判所の判断の過程を考えてみたい。取り上げる判決は、前回に引き続き、ニイウスコー事件第1審判決(東京地方裁判所平成26年12月25日判決)とアーバンコーポレイション事件第1審判決(東京地方裁判所平成24年6月22日判決)である。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第60回】株式会社ながの東急百貨店「第三者委員会調査報告書(平成29年6月13日付)」
ながの東急のカスタマーセンター担当者(マネージャー職)が、「ワールドジュエリー&ウォッチフェア」という名称の催事において、適正に顧客に販売をしたように装い、商品を転売するなどの不正な取引行為を行っていたことが発覚したため、ながの東急は、日弁連の第三者委員会ガイドラインに基づき選任した外部の専門家による、第三者委員会を設置した。
〔判決からみた〕会計不正事件における当事者の損害賠償責任 【第2回】「「監査役」の損害賠償責任」
そこで、今回は、社外監査役である非常勤監査役を被告として、破産管財人らがその損害賠償責任を追及した2つの事件判決、セイクレスト事件控訴審判決(大阪高等裁判所平成27年5月21日)及びニイウスコー事件第1審判決(東京地方裁判所平成26年12月25日)におけるそれぞれの裁判所の判断と比較しながら、損害賠償責任について、裁判所がどのような判断を行ってきたのかを検討したい。
〔判決からみた〕会計不正事件における当事者の損害賠償責任 【第1回】「エフオーアイ損害賠償請求事件第1審判決の特徴」
去る平成28年12月20日、東京地方裁判所は、株式会社エフオーアイ(以下「FOI社」と略称する)の会計不正により損害を受けた個人株主らを原告とする損害賠償事件において、同社の元取締役・元監査役のみならず、主幹事証券会社についても、金融商品取引法違反による民事上の責任を認め、損害賠償を命じる判決を言い渡した。
粉飾決算を理由とする損害賠償事件において、証券会社に損害賠償を命じる判決が出たのは初めてということで、大いに注目を集めた判決であるが、同時に、本判決は、社外監査役について損害賠償を命じている点についても、話題となっている。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第59回】GMOアドパートナーズ株式会社「第三者委員会中間調査報告書(平成29年3月30日付)」
APは、平成28年12月決算において、同社の会計監査人である有限責任監査法人トーマツ(以下「トーマツ」と略称する)から、連結子会社であるNKと取引先Aとの間の売上計上根拠の信憑性に疑義があり、第三者委員会を設置して事実調査を行うことが望ましいとの要請を受けたため、APは、平成29年2月27日付で、APと利害関係を有しない外部の専門家から構成される第三者委員会を設置した。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第58回】昭光通商株式会社「特別調査委員会調査報告書(平成29年4月17日付)」
昭光通商は、平成28年第3四半期の決算概況説明会以降、会計監査人である有限責任あずさ監査法人(以下「監査法人」と略称する)より、連結子会社であるビー社の取引について、仕入先及び販売先になっているA社及びB社の代表取締役が同一人物であることから、商流の適正性・合理性等について、注意喚起及び調査依頼を受けた。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第57回】株式会社ブロードリーフ「調査委員会最終報告書(平成29年1月31日付)」
株式会社ブロードリーフ(以下「ブロードリーフ」と略称する)は、2005(平成17)年12月創業、2009(平成21)年9月法人設立。業務支援用ソフトウエア・ITソリューションをはじめとする各種サービスの提供を主たる事業とする。資本金7,147百万円。売上高16,760百万円、税引前利益2,921百万円(数字は、いずれも平成28年12月期)。従業員数772名。本店所在地は東京都品川区。東京証券取引所1部上場。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第56回】モジュレ株式会社「第三者委員会調査報告書(中間)(平成28年10月21日付)」
【モジュレ株式会社の概要】モジュレ株式会社(以下「モジュレ」と略称する)は、1999(平成11)年設立、翌年4月事業開始。企業の情報システム部門業務のアウトソースサービスを主たる事業とする。資本金約304百万円。連結売上高2,115百万円、連結経常利益159百万円(数字は、いずれも訂正前の平成27年3月期)。従業員数62名(平成29年2月末現在)。本店所在地は東京都港区。東京証券取引所JASDAQ上場。
〈業種別〉会計不正の傾向と防止策 【第7回】「地方公共団体」
予算単年度主義の考え方から、職員には、その年度に計上された予算はすべて使い切ることが求められる。仮に予算の未消化が発生した場合、それは議会で承認された事業が適切に実施されなかったことを意味し、翌年度以降の予算を減らされる恐れがある。
これを避けるために、職員は以下のような不正を起こしやすい。