相続税の実務問答 【第41回】「更正の請求の特則規定による評価誤りの是正」
平成25年1月15日に父が亡くなりました。相続人は姉と私の2人です。相続税の申告書の提出期限までに遺産分割が調わなかったことから、相続税の期限内申告においては、相続財産を法定相続分(各2分の1)で取得したものとして相続税額を計算しました。その後、姉との間で遺産分割協議を続けましたがまとまらず、家事審判の手続きを経て、令和元年10月4日に取得財産が確定しました。
審判により取得することが決まった財産を基に相続税額の計算をすると、私の相続税額は、当初申告書に記載した金額よりも少なくなることから、相続税の更正の請求をすることとしました。ところが、更正の請求の準備をしている過程で、当初申告書における土地が過大に評価されていることに気がつきました。今回の更正の請求において、この土地の過大評価についても併せて是正することができますか。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第8回】「役員報酬をクローバックした場合の源泉徴収税額の取扱い」
当社は上場企業です。近年、他社で不祥事や事業失敗による大幅な下方修正や巨額損失の計上が頻発していることを受け、役員との報酬契約にいわゆるクローバック条項を追加することを検討しています。
クローバックを実施した場合、役員報酬から源泉徴収した所得税があるはずですが、この取扱いを教えてください。
基礎から身につく組織再編税制 【第10回】「適格合併を行った場合の繰越欠損金の取扱い」
適格合併があった場合には、原則として、被合併法人の未処理欠損金額は合併法人に引き継がれます。
適格合併が行われた場合において、被合併法人の未処理欠損金額があるときは、その金額は、それぞれの未処理欠損金額が生じた各事業年度の開始の日の属する合併法人の各事業年度において生じた欠損金額とみなされます(法法57②)。
相続空き家の特例 [一問一答] 【第39回】「「相続空き家の特例」の譲渡価額要件(1億円以下)の判定⑦(買主が家屋取壊費用を負担して譲渡価額が決定している場合)」-譲渡価額要件の判定-
Xは、昨年6月に死亡した父親の家屋(昭和56年5月31日以前に建築)とその敷地を相続により取得した後に、その家屋を取り壊して更地にし、本年11月にA社に対し9,900万円で売却しました。
取り壊した家屋の、相続の開始の直前の状況は、父親が一人暮らしをし、その家屋は相続の時から取壊しの時まで空き家で、その敷地も相続の時から譲渡の時まで未利用の土地でした。
なお、その家屋の取壊費用300万円についてはA社が負担することを条件として、当該譲渡価額が決定されています。
この場合、Xは、「相続空き家の特例(措法35③)」の適用を受けることができるでしょうか。
《速報解説》 個人事業者の廃業時、事業用資産のみなし譲渡につき消費税課税漏れ~会計検査院が国税庁へ改善要請~
会計検査院は11月8日に「平成30年度決算検査報告の概要」を公表、10月8日付の日本経済新聞で報じられた個人事業者の廃業時における課税漏れの問題に関し、その詳細を明らかにした。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第82回】「立法資料から税法を読み解く(その1)」
条文解釈を行う際、その一つの拠り所として、立法資料を参照することは非常に有意義である。
かかる条文がどのような背景において成立したものであるかを調べるに当たって、立法資料の確認は欠かせない。
本連載では、国会審議(第52回)や税制調査会答申(第55回)を参照した租税法解釈の実例を取り上げてきたところであるが、本稿でも、実務上の問題点を取り上げつつ、立法資料から租税法解釈を読み解くこととしよう。
谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第23回】「租税法律主義と租税回避との相克と調和」-租税回避は結果概念か行為概念か-
前々回のⅢでみた、課税要件アプローチによる租税回避の包括的定義、すなわち、「課税要件の充足を避け納税義務の成立を阻止することによる、租税負担の適法だが不当な軽減または排除」(【66】=拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)の欄外番号[以下同じ])からすると、租税回避は、課税要件の充足回避による租税負担の軽減・排除という結果に着目した概念(結果概念)である。
〈令和元年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第1回】「配偶者控除及び配偶者特別控除について」~平成30年分の見直し事項の再確認~
平成29年度税制改正により配偶者控除及び配偶者特別控除に見直しが行われ、平成30年分の所得税から適用されている。この見直しにより、平成29年分以前と平成30年分以後では、源泉徴収事務及び年末調整事務において、以下の点が変更されている(所法83、83の2、79②)。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第11回】「事業承継対策で役員退職金を支給する場合の留意点」
私Yは、金属製造業を営む非上場会社(S社)の代表取締役社長(65歳)です。そろそろ役員を退任して、後継者である息子Zにバトンタッチしたいと考えています。ただし、いきなりZにすべてを引き継がせるのは少し不安なので、しばらくは会長(取締役でない)というポジションで会社に関与していこうと考えています。
ところで、役員退職金を支給した次年度には自社の株価が引き下げられると聞きました。そのタイミングで私が所有するS社株式を後継者であるZへ譲渡又は贈与することも検討しています。
事業承継対策において役員退職金を支給する際の留意点について教えてください。