国際課税レポート 【第14回】「トランプ大統領令への欧州(EU)の対応と今後の動向」
本稿では、トランプ関税及びトランプ国際課税とデジタルサービス税及び15%グローバルミニマム課税を仕掛けたEUの動きについて、本稿執筆時点(2025年5月14日)の限られた情報によるものとはなるが、今後の展望を予想する参考としてまとめておきたい。
仕入税額控除制度における用途区分の再検討-ADW事件最高裁判決から考える- 【第2回】
法が認めている控除税額の計算方法のうち、「課税売上げに対応する課税仕入れに係る消費税額のみを控除の対象とする」という仕入税額控除の考え方に最も忠実な計算方法は、個別対応方式である。統計等は公表されていないが、大手企業を中心に、本則課税のもとで全額控除の適用を受けられない事業者の場合、一括比例配分方式よりも個別対応方式の方が控除税額が多くなるとして、個別対応方式の適用を選択している事業者が多いのではないかと推測される。
〈適切な判断を導くための〉消費税実務Q&A 【第9回】「新リース会計基準適用後のオペレーティング・リースの借手の消費税に関する会計処理」
企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」(以下「新リース会計基準」という)では、これまでオフバランスとされていたオペレーティング・リースもオンバランスで処理することになるそうですが、消費税の取扱いについて教えてください。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第54回】「〔第5表〕貸付金債権の評価」-債務者が相続開始前までに解散していた場合-
甲株式会社の株式価額の算定上、乙株式会社の貸付金債権の相続税評価について第5表「1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算明細書」の資産の部に計上する相続税評価額は、上記の相続開始日時点の相続税評価額における資産から負債を控除した差引金額3,282,732円を回収不能額として相続開始時点における貸付金債権の金額(35,282,732円)から控除しても問題ないでしょうか。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第67回】
以下では、所得税法上、個人が行うDeFi取引の入り口場面ともいうべきトークンの移転、とりわけ暗号資産(トークン)の流動性供給の開始やラップは課税イベント(含み損益に対する課税の契機となる事象)であるか、言い換えれば、含み損益を課税所得に反映させる事象であるかという点を検討する。
monthly TAX views -No.147-「デジタル民主主義ではポピュリズムは防げない」
AIエンジニアの安野貴博氏は、昨年の東京都知事選で、子育て政策など具体的な政策とそれにかかる財源を示し、AI活用の有用性を説いた。この目新しさが有権者の注目を浴び、候補者中4番目の投票を得た。
仕入税額控除制度における用途区分の再検討-ADW事件最高裁判決から考える- 【第1回】
本稿は、消費税の仕入税額控除制度における用途区分の解釈適用が争われたエー・ディー・ワークス事件の最高裁判決(最高裁令和5年3月6日判決・民集77巻3号440頁、以下「ADW事件最高裁判決」)を紹介し、同判決の内容を踏まえ、用途区分の考え方や納税者が注意すべきポイントを5回にわたって検討・整理するものである。なお、筆者は同事件の納税者代理人であったが、同事件に関する本稿の記述は全て公開情報に基づくものである。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例74】「海外の保険業を営む子会社へ支払う地震保険再保険料の損金性」
そもそも保険というものは、将来起こり得る様々なリスクに備えるため、同じような不安を抱える方から一定の保険料を支払ってもらい、その貯まった金額から将来の支払いに充てるという機能を有するものです。当社も顧客の抱える多様なリスクに備えるため、様々な保険商品を開発し顧客の要望に応えようと努力しておりますが、近年、企業活動のグローバル化や気候変動等により、そのリスクが予想外に多額になることも珍しくなく、当社1社でその支払いに対応するというのは、極めて困難なケースもみられるところです。
そこで、当社1社では抱えきれないリスクに備えるため、従来からある再保険というスキームを活用して、そのような事態に備えようとしております。
さて、わが社の場合、ほぼ毎年税務調査を受けておりますが、今回は再保険について課税庁との間で激しい議論が交わされております。すなわち、国税局の主査は、わが社が引き受け、海外子会社に再保険に出した保険契約につき、再保険料のうち一部は海外子会社を利用した単なる「預け金」に過ぎず、租税回避目的のスキームであるため、損金性はないと主張しております。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q93】「相続で取得した非上場株式を発行会社に譲渡する場合のみなし配当課税の特例」
私(居住者たる個人)は、相続により取得した株式を保有しています。この株式は非上場であり市場で売却することができないため、発行会社に買い取ってもらうことにしました。発行会社が自己株式を買い取る場合にはみなし配当が生じるところ、相続で取得した株式については特例があると聞きました。どのような特例ですか。