相続税の実務問答 【第71回】「相続人に被相続人の死亡を知らせなかった場合の相続税の課税」
母は、2年前から施設に入所しています。1人で食事や入浴をすることが困難な状態で、多少、認知症の症状は認められるものの、私たち家族とは日常会話をすることはできます。
昨年8月2日に、父が亡くなりました。相続人は母、姉及び私の3名です。父の死を母に知らせると、母が落胆し、生きる気力を失ってしまうのではないかと思われましたので、姉と相談し、これまで母には父の死を知らせていませんし、今後もしばらくは、母には知らせないつもりです。新型コロナウイルス感染症がまん延してからは、施設の入所者との面会が制限されましたので、母とゆっくり話をする機会もなくなり、父の死を母に感づかれることもありませんでした。
姉と私は、相続税の申告期限である6月2日までに相続税の申告書を提出し、納税するつもりですが、母の申告はどうすればよいのでしょうか。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第37回】「新たに貸付事業の用に供された宅地等の判定(貸付事業用宅地等の判定)」
平成30年度税制改正により、貸付事業用宅地等の範囲から、被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で相続開始前3年以内に「新たに貸付事業の用に供された宅地等(相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業を行っていた被相続人等の当該貸付事業の用に供されたものを除く)」が除かれることになりましたが、次に掲げるA宅地からF宅地のうち、3年以内に「新たに貸付事業の用に供された宅地等」に該当するものを教えてください。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第107回】「節税商品取引を巡る法律問題(その1)」
税理士に節税義務なるものが当然に一般的に課されているのかという素朴な疑問を出発点として、これまでいくつかの事例を基に税理士の責任を論じてきた。結論めいたことを述べるのは早計であると思われるが、税理士法1条《税理士の使命》のみから直接に節税義務なるものを導出することは難しいといわざるを得ず、個々の事案ごとで異なる、納税者と税理士との契約内容等に踏み込んで、個別に判断すべきものであるという点を指摘できよう。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第2回】「国税通則法1条」-国税通則法の目的と国税通則法制定の趣旨-
国税通則法1条は、同法の「目的」を定める規定(以下「目的規定」という)である。国税徴収法1条や「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」1条も同様に目的規定である。
〔疑問点を紐解く〕インボイス制度Q&A 【第14回】「令和4年度税制改正における適格請求書等保存方式導入時の経過措置の見直し」
令和4年度税制改正では、適格請求書等保存方式に係る見直しが行われました。その中で、免税事業者が適格請求書発行事業者の登録をする場合の経過措置の期間が延長されましたが、条文上、どのような改正がなされたのでしょうか。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q75】「NFTを譲渡した場合の課税関係」
私(居住者たる個人)は、NFTを使ったデジタルトレーディングカードを保有していましたが、時価が上昇していると聞いたので、マーケットプレイスで譲渡することにしました。この場合の譲渡益は課税対象になりますか。
“国際興業事件”を巡る5つの疑問点~プロラタ計算違法判決を生んだ根本原因~ 【追補】
令和4年度税制改正の一環として、本年3月31日、法人税法施行令の一部を改正する政令が公布された(※1)。本稿は、同改正のうち、利益剰余金と資本剰余金の双方を原資として行われた剰余金の配当(以下「混合配当」という)の取扱いが争われた国際興業事件最高裁令和3年3月11日判決(※2)(以下「本件最判」という)を踏まえた同施行令23条1項4号の改正を中心に検討する。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第41回】「「事業承継ガイドライン」の改訂と活用」
私はA社の創業社長です。今年60歳になるのでそろそろ事業の承継について考えたいと思っていますが、何から始めればよいのかわかりません。知り合いから最近改訂された中小企業庁の「事業承継ガイドライン」を一度読んでみることを勧められましたが、どういった内容の資料なのでしょうか。教えてください。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第78回】
〈Q2〉法人税法22条の2第1項の引渡しと民法上の引渡しとの関係はどのように考えるべきか。