遺贈寄付の課税関係と実務上のポイント 【第6回】「相続人が相続財産を寄付する場合の寄付金控除の取扱い」
国、地方公共団体や特定の公益法人等に相続財産を寄付した場合に相続税が非課税になることについては前回説明した。
相続財産を寄付した場合の税制上の優遇措置は、相続税が非課税になることだけでなく、相続人が寄付金控除を受けることができるということもある。
相続税が課税される方にとっては、相続税が非課税になったうえで、寄付金控除も適用できるので、二重に優遇措置が受けられる。
相続税が課税されない方にとっても、寄付金控除を受けられるメリットは大きい。そこで今回は、相続財産を寄付した場合の寄付金控除の取扱いについてみていくことにする。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第14回】「外国関係会社が複数の事業を営んでいる場合に、その主たる事業が外国子会社合算税制の適用に当たって事業基準を満たすか否かの判断」
我が社はシンガポールにアジア地域の持株会社兼統括会社を設置しています。同社の主たる事業は株式等の保有ですが、外国子会社合算税制の対象となるのでしょうか。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第94回】「メールで送信した注文請書に係る印紙税の取扱い」
従来、請負契約における注文請書を紙で送付していましたが、紙での送付を取りやめて、これからは注文請書をPDFにて電子メール添付ファイルとして、相手方に送信する予定です。
この場合、印紙税の取扱いはどうなりますか。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第69回】
収益認識会計基準は履行義務単位で収益を認識することを原則とするが、一定の場合には契約単位で認識することを認めている。他方、法人税基本通達2-1-1は、法人税法における収益計上単位の原則は契約単位であることを明らかにしつつ、複数の契約を結合して単一の履行義務として収益計上することや、1つの契約に複数の履行義務が含まれている場合に各履行義務に係る資産の販売等をそれぞれ収益計上の単位とすることを認めている。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第9回】「課税減免規定の解釈のあり方」-判例にみられる課税減免規定固有の問題の検討-
前回は、税法が定める課税減免規定の解釈について、その限定解釈の意義・性格及び射程を検討したが、今回は、その解釈のあり方について若干の判例を素材にして検討することにする。
“国際興業事件”を巡る5つの疑問点~プロラタ計算違法判決を生んだ根本原因~ 【第2回】
本件においてXが行った行為の検討に入る前に、まず、プロラタ計算の導入経緯と本件最判の意義を確認したい。
組織再編成・資本等取引の税務に関する留意事項 【第5回】「圧縮記帳及び特別償却」
法人税法及び租税特別措置法において、圧縮記帳に係る規定が設けられているが、このうち、本稿では、特定資産を買い換えた場合の圧縮記帳(措法65の7)について解説を行うものとする。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第17回】「先代事業者から事業を承継した者が申告期限までに死亡した場合の特定事業用宅地等の特例(相続後に事業承継している場合と生前に事業承継している場合)」
被相続人である甲は、下記の通り令和2年5月10日に死亡していますが、中華料理屋の事業の用に供されていたA宅地及び家屋(いずれも甲が100%所有しており、平成3年から事業の用に供しています)を乙に相続させ、その他の財産は長男である丙に相続させる旨の遺言書を作成していました。
乙はA宅地及び家屋を相続しましたが、相続税の申告書を提出しないで令和2年10月5日に死亡し、乙の相続人である丙がA宅地及び家屋を相続しました。
丙は中華料理屋の事業を乙から承継しましたが、事業の先行きが見えず、令和3年7月10日に事業を廃止しています。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例105(所得税)】 「取得時に事業用買換特例の適用を受けていた土地の売却につき、圧縮記帳後の取得価額で計算すべきところ、圧縮記帳前の取得価額で計算して申告してしまった事例」
平成X0年分の所得税につき、取得時に「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」(以下単に「事業用買換特例」という)の適用を受けていたS区土地の売却につき、圧縮記帳後の取得価額で計算すべきところ、圧縮記帳前の取得価額で計算して申告してしまった。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第12回】「不動産を買い受けたが賦課期日である1月1日時点の所有者でない者が、固定資産の価格に不服がある場合に訴えの原告適格者になることができるか否かが争われた判例」
固定資産税は、毎年1月1日を賦課期日として、土地、家屋、償却資産を所有している者が固定資産課税台帳に記載された登録価格(以下「固定資産の価格」という)を基に算定した税額を固定資産の所在する市町村に納める税金である(地方税法第343条第1項、第349条第1項、第359条)。