〔令和3年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第2回】「「5G導入促進税制の創設」「大企業に対する租税特別措置の適用除外の見直し」「交際費等の損金不算入制度の特例の見直しと延長」「少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例の見直しと延長」」
令和2年度税制改正における改正事項を中心として、令和3年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。【第1回】は「オープンイノベーション促進税制の創設」及び「賃上げ・投資促進税制(大企業向け)の見直し」について解説した。
【第2回】は「5G導入促進税制の創設」、「大企業に対する租税特別措置の適用除外の見直し」、「交際費等の損金不算入制度の特例の見直しと延長」及び「少額減価償却資産の取得価額の損金算入特例の見直しと延長」について解説する。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第26回】「不動産法人化の視点と民事信託活用」
私A(55歳)は会社役員の傍ら、数棟の収益不動産を所有し賃貸経営をしています。不動産経営は順調ですが、会社からの給与所得と不動産所得を合計すると所得税率が最高税率となり、税負担が重いことが気になっています。
不動産法人化(法人を設立し、不動産を個人所有から法人所有へ移す)により税負担を抑えることができ、民事信託を活用することにより、さらにメリットもあるという話を聞きました。
なお、私には息子がいて不動産経営を承継してほしいという思いがあり、ノウハウ共有のため新築物件の管理を任せたいと考えています。
民事信託を活用した不動産の法人化はどのように進めれば良いでしょうか。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第47回】
変動対価や売上割戻しの課税上の取扱いについては、法人税基本通達2-1-1の11及び2-1-1の12に基本的な内容が定められている。以下では、このうち法人税基本通達2-1-1の11について検討する。
本通達は、資産の販売等に係る契約の対価について、値引き等の事実(値引き、値増し、割戻しその他の事実をいい、貸倒れ又は買戻しの可能性に基づく事実を除く)により変動する可能性がある部分の金額(変動対価)がある場合について定めている。法人が変動対価に係る値引き等をした後の金額で収益を計上した場合の取扱いをどうするか、という問題である。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第68回】「砂利採取業者事件」~最決平成16年1月20日(刑集58巻1号26頁)~
砂利採取業者X社は、売上除外等の方法により多額の法人税を逋脱していた。これにつき、国税局査察部は内偵調査を開始していたが、これを察知したX社は、税理士を通じ、管轄の税務署に対し、事情を説明して修正申告の可否等について相談した。これを受けて、税務署は税務調査を実施することとし、当該税理士を通じてその旨通知した上でこれを実施して、X社から関係資料を預かった。税務調査後、担当の統括調査官は、国税局査察部に対し、税務調査の実施を連絡した上で、一部資料をFAX送付した。その後、国税局査察部は、当初予定していた強制捜査を繰り上げて実施した。
monthly TAX views -No.97-「カーボンプライシング導入に向けた「炭素税」の論点とは」
菅総理が「2050年温暖化ガス排出量実質ゼロ」を表明して以降、わが国でも急速に脱炭素社会の実現に向けた動きが広まっている。
SDGsの流れもあり、気候変動をもたらす原因であるCO2の排出を抑えることは、いわば世界共通の責務ともいえよう。環境後進国の汚名返上に向けてのチャンスでもある。
〔令和3年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第1回】「「オープンイノベーション促進税制の創設」「賃上げ・投資促進税制(大企業向け)の見直し」」
令和2年度税制改正における改正事項を中心として、令和3年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。本連載では、その中でも主なものを解説する。
【第1回】は、「オープンイノベーション促進税制の創設」及び「賃上げ・投資促進税制(大企業向け)の見直し」について、令和3年3月期決算申告において留意すべき点を解説する。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例26】「中古自動車販売業の代表者に対する役員報酬の過大性」
私は、東海地方を拠点に主として中古自動車等の輸出入業務を行う自動車販売業を営む株式会社Aにおいて、総務管理部長を拝命しております。わが社は元レースドライバーで代表取締役のBが創業した会社で、Bは自動車に関する豊富な知識と人脈を最大限に生かしてわが社の事業規模を拡大してきました。海外社製の中古自動車はトラブルも多く、売りっ放しでは顧客の信頼をつかむことが難しい商品ですが、Bは販売後のクレーム処理やアフターサービスにもきめ細かく対応するため、顧客からの信頼も極めて厚いと業界内では評判です。
ところがBは数年前から、わが国の高い所得税の負担に業を煮やして、東南アジアに移住し、現地で顧客に対する受注獲得業務を担当しております。Bは国外脱出後も、わが国に居住していた時期と同様に、A社の売上の大部分を稼ぎ出しているところです。すなわち、Bの指示の下、A社の日本国内の従業員は、中古自動車のオークションに関する落札業務を担当するほか、Bが開拓した顧客との契約書等のやり取り、中古自動車の輸出入に係る手続き、経理・税務申告業務等に従事しています。
A社にとってBがこれまで果たしてきた職責は極めて重く、その成果は目覚ましいものであったため、Bに対する役員給与は、日本国内に居住していた時も海外に移住してからも、それにふさわしい水準であったものと考えられます。ところが、A社が最近受けた税務調査で、税務署の調査官から、Bに対する役員給与は、会社の業績が横ばいであるにもかかわらず大幅に伸びているばかりでなく、同業他社の役員給与の水準と比較しても大きく上回っているため、不相当に高額であるといわざるを得ないと指摘されました。
A社の業績に対するBの寄与度は絶大であり、その独特の役割や貢献を反映した役員報酬につき、同業他社の通常の役員の水準と比較して高低を論じること自体がナンセンスであると考えておりますが、法人税法上どのように考えるのが妥当なのでしょうか、教えてください。
令和2年度税制改正における国外財産調書制度の見直し 【第2回】
令和2年度税制改正においては、国外取引や国外財産についての適正・公平な課税を実現するため、納税者側から一層の情報開示を促すための仕組み等が重要である等の観点から、国外財産調書について以下の改正が行われた。
居住用財産の譲渡損失特例[一問一答] 【第15回】「居住の用に供されなくなった家屋が災害により滅失した場合」-災害跡地の譲渡-
Xは、6年前の12月に居住用家屋とその敷地を東京に取得しました。一昨年の4月に大阪へ転勤となり、その家屋は空き家となっていましたが、昨年の9月の大型台風でその家屋は滅失してしまいました。
本年の5月にその敷地を売却しましたが、多額の譲渡損失が発生しました。なお、災害で滅失したその家屋の取得から滅失までの所有期間は、5年超の要件を満たしていません。
他の適用要件が具備されている場合に、Xは当該譲渡について、「居住用財産買換の譲渡損失特例(措法41の5)」を受けることができるでしょうか。