国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第47回】「相続税の外国税額控除と日米相続税条約」
私(無制限納税義務者)は、夫から相続により米国の不動産を取得しました。私の日本における相続税は、配偶者の相続税額の軽減により納税額は生じませんが、私も夫も米国の非居住者であることから米国において多額の遺産税が生じるようです。何かいい節税方法はありませんか。
〔弁護士目線でみた〕実務に活かす国税通則法 【第7回】「重加算税における『隠蔽』又は『仮装』の意義」
本稿からは、加算税の中でも最も実務的論点の多い重加算税、その中でも重加算税の要件である「隠蔽」又は「仮装」の意義を取り上げる。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例92(法人税)】 「「給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除」の適用にあたり、雇用者給与等支給額等を誤転記したため、特別控除額を限度額まで適用できなくなってしまった事例」
平成31年3月期の法人税につき「給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除」の適用を受けて申告したが、関与先から提供された資料から「雇用者給与等支給額」及び「比較雇用者給与等支給額」の金額を誤転記したため、結果として特別控除額を少なく申告してしまった。
これにより、法人税等につき過大納付税額が発生し、賠償請求を受けたものである。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第42回】
収益の計上額に係る時価の測定時期として約定日などの近接日を採用する余地がないのかという点について、今後争点となる事例が登場する可能性は否めない。もっとも、法文の「通常得べき対価の額」という部分において、役務提供がいつなされたものであるかといった時間的要素を考慮するという見解が成り立つ可能性もある。
日本の企業税制 【第85回】「OECDのブループリント」
2020年10月12日、OECDは、市場国に対し適切に課税所得を配分するためのルールの見直し(Pillar1)と軽課税国への利益移転に対抗する措置の導入(Pillar2)に関するブループリントを公表した。
このブループリントは、各国の見解の相違を埋め、多国間プロセスにおける次のステップに進むために、残された政治的、技術的問題を明らかにするものであり「将来の合意のための強固な土台」と位置付けられている。併せて、これら2本の柱がもたらす経済影響分析も公表されており、これによると、特にPillar2に含まれる世界共通最低税率を導入すると、年間で世界全体の法人税収が最大4%(約1,000億米ドル)増加することが見込まれている。
これからの国際税務 【第22回】「包摂的枠組(IF)承認のデジタル課税に関する新ルール案(青写真)の課題」
2020年10月9日、BEPSプロジェクトの最後のテーマである「デジタル経済の課税」について、過去5年間の詳細設計に向けた検討の成果物である「2つの柱からなる新しいルール」を提案する最終草案が、G20/OECDの下で約140ヶ国により構成された包摂的枠組(IF)により承認され、同月12日に公表された。
10月14日のG20財務大臣会議コミュニケは、この報告を歓迎し、これに基づき残存する課題を解決して、2021年半ばまでの最終合意を目指すよう求めている。以下では、その内容を概観するとともに、残された主な課題について考察を行う。
〈令和2年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第2回】「令和2年分から適用される改正事項(その2)」
連載第2回は、前回に引き続き令和2年分の所得税から適用される改正事項のうち、年末調整において注意しておくべき事項について解説を行う。また、令和2年分の年末調整で新たに設けられた「基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」の記載方法を示すこととする。
給与計算の質問箱 【第11回】「年末調整書類の様式の変更点」
12月の給与計算時に年末調整を行うにあたり、年末調整書類を役員・従業員へ配付する時期になりました。年末調整書類の様式は、昨年と比較して変更点はあるでしょうか。
組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の現行法上の問題点と今後の課題 【第12回】「譲渡損益の繰延べ、資産調整勘定」
内国法人が、完全支配関係にある他の内国法人に対して、その有する譲渡損益調整資産を譲渡した場合には、当該譲渡損益調整資産に係る譲渡利益額又は譲渡損失額が繰り延べられ(法法61の13①)、当該他の内国法人において、当該譲渡損益調整資産の譲渡、償却、評価換え、貸倒れ、除却その他これらに類する事由が生じた場合に、当該内国法人において実現することになる(法法61の13②)。