租税争訟レポート 【第50回】「準確定申告における無申告加算税の正当な理由(国税不服審判所2019(平成31)年2月1日裁決)」
本件は、審査請求人が、貨物の運送業務を請け負う個人事業者であった父(被相続人)が平成29年に死亡したことに伴って、同年分の所得税等の確定申告書をその死亡の日の翌日から4ヶ月を経過した後に提出したため、原処分庁が、無申告加算税の賦課決定処分をしたのに対し、請求人が、①未成年者である請求人が相続の開始を知った日は、未成年後見人が選任された日であるから、選任された日の翌日から4ヶ月以内に提出された確定申告書は期限後申告書に該当しないとして、また、②仮に提出した確定申告書が期限後申告書に該当するとしても、確定申告書を法定申告期限までに提出しなかったことについて正当な理由があるとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第34回】
法人が資産の販売等を行った場合において、法人税法22条の2第3項の適用があると、その資産の販売等に係る収益の額について、「その額につき当該事業年度の確定した決算において収益として経理したものとみなして」2項の規定が適用されることになる。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第73回】「役員給与の減額が認められる場合」
新型コロナウイルスの影響で役員給与を減額する問題について、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」(以下「FAQ」という)の問6-2では、次のような説明があります。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第6回】「〔第1表の1〕養子縁組解消と株主判定」
丙は、下記の通り、甲と乙と養子縁組をしていましたが、甲と乙の死亡後に死後離縁を検討しています。また、非上場会社であるA社の議決権総数のうち70%は丙が保有しており、30%は丁が保有しています。
丁に相続が発生した場合において、次のそれぞれの場合には、丁の相続人である己が取得するA社株式の評価は原則的評価方式になるのでしょうか、それとも特例的評価方式(配当還元価額等)になるのでしょうか。
令和2年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第5回】「所得金額及び法人税額の計算(その2:グループ調整計算を行う項目)」
受取配当金の益金不算入制度について、連結納税制度では、グループ調整計算(グループ全体で益金不算入額を計算)となるが、グループ通算制度では個別申告方式となるため、負債利子控除額の上限額の計算を除いて、個別計算(各法人で益金不算入額を計算)となる(法法23)。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例88(所得税)】 「相次相続控除により納付税額がゼロであったことから「取得費加算の特例」の適用はないものと思い込み、適用せずに申告してしまった事例」
平成X6年分の所得税につき、相続により取得した土地の譲渡について、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」(以下「取得費加算の特例」という)の適用が受けられたにもかかわらず、相次相続控除により納付税額がゼロであったことから、適用はできないものと思い込み、適用せずに申告してしまった。これにより、所得税等につき過大納付が発生し、賠償請求を受けた。
〔弁護士目線でみた〕実務に活かす国税通則法 【第3回】「修正申告を行う意味を考える」
前回は税務調査の意味を検討したが、今回は、税務調査終了時の調査結果説明時に税務当局から持ち掛けられることがある「修正申告」の意味合いを考えてみたい。
修正申告とは、端的には、一度税務申告書を提出し又は更正処分を受けて税額等が確定した納税者が同一の年度について税額が増加する若しくは還付金又は損失の額が減少する税務申告書を提出する行為である(国税通則法第19条)。
国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第43回】「最近の裁判例から見た「住所」をめぐる判断要素」
会社のオーナーで、海外と日本を行き来している顧問先があります。このオーナーの住所がどこにあるかが課税関係に大きな影響を受けるのですが、住所がどこにあるかを判断する際に重要な基準は何でしょうか。
措置法40条(公益法人等へ財産を寄附した場合の譲渡所得の非課税措置)を理解するポイント 【第24回】「「特別の利益供与」の該当性」-ケーススタディ-
次のようなケースでは、「特別の利益」の供与(措令25の17⑥二)に該当しますか。