これからの国際税務 【第20回】「電子経済課税ルール確立への最終局面における難題」
G20の政治的リーダーシップの下で、140ヶ国に及ぶ包摂的枠組国間で2020年内の合意達成に向け行われていた電子経済課税ルールに関する協議が、難題に直面している。
今年1月末に、電子経済がもたらす莫大な超過収益の一部について、市場国に新たに課税権を付与する具体策の枠組みが合意され、その内容は2月開催のG20財務大臣中央銀行総裁会議において承認された。
Q&Aでわかる〈判断に迷いやすい〉非上場株式の評価 【第5回】「〔第1表の1〕法人たる同族関係者の範囲と株主判定」
下記の通り、経営者甲が所有しているA社株式の全て(議決権総数の14%に相当する株式)を後継者乙に贈与する場合において、A社株式の評価方式は原則的評価方式が適用されるのでしょうか。それとも特例的評価方式(配当還元価額等)が適用されるのでしょうか。
なお、B社の株主はいずれもA社の役員及び従業員であり、B社の議決権行使は甲に一任されています。D社はA社の主要な取引先であり、甲及び乙の同族関係者には該当しないものとします。
相続税の実務問答 【第49回】「贈与税額控除により相続税額が算出されない場合の相続税の申告義務」
今年の1月に母が亡くなりました。相続人は父と私の2名です。母の遺産の総額は、4,000万円で、遺産分割協議の結果、その全てを私が相続することとなりました。
私は、一昨年に母から現金300万円の贈与を受けていますので、この金額を相続税の課税価格に加算して相続税の計算をすると次のようになります。
令和2年度税制改正における『連結納税制度』改正事項の解説 【第4回】「所得金額及び法人税額の計算(その1:損益通算、欠損金の通算)」
通算法人の所得事業年度終了日(基準日)において、他の通算法人の基準日に終了する事業年度において通算前欠損金額が生ずる場合には、その通算法人の所得事業年度の通算対象欠損金額は、その所得事業年度の損金の額に算入される(法法64の5①②)。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第16回】「役員給与における隠ぺい又は仮装行為の具体例」
法人の所得計算上、役員給与に関しては、隠ぺい行為や仮装行為と認定されると損金算入できないと聞きました。
「隠ぺい又は仮装」とは、売上を除外したり架空仕入れを計上したりというケースなら想像しやすいですが、役員給与に関してはどのような行為が隠ぺい又は仮装行為に該当するのか、イメージしにくいです。
役員給与について、隠ぺい又は仮装行為となる具体的な例を教えてください。
給与計算の質問箱 【第7回】「従業員が役員に昇格した際の賞与、退職金の注意点」
2020年7月1日付けで勤続10年の従業員Aが役員に昇格しました。代表権の無い取締役であり、使用人兼務役員ではありません。なお、当社の事業年度は8月1日から7月31日です。
このAの昇格に伴う、次の①~③の場合について教えてください。
① 2020年7月31日に他の従業員に夏季賞与を支給する予定で、Aに対しても従業員の期間に係る夏季賞与50万円を支給した場合、損金算入できるでしょうか。
② 2020年7月31日に役員賞与としてAに対して事前確定届出給与50万円を支給した場合、損金算入できるでしょうか。
③ 2020年7月31日にAに対して従業員の期間に係る退職金50万円を支給した場合、損金算入できるでしょうか。
収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第33回】
法人税法22条の2第2項は、(1項が定める引渡・役務提供基準ではなく)近接日基準による収益計上を認める条件として、確定決算による収益経理を求めている。これは、いわば、形式面・手続面において会計処理と税務処理の一致を求めるものであるが、その影響はさほど大きくはなさそうである。
基礎から身につく組織再編税制 【第18回】「適格合併を行った場合の申告調整(その2)~親会社が子会社を吸収した場合~」
前回は、子会社同士が適格合併を行った場合の申告調整の具体例を取り上げました。
今回は、親会社が子会社を適格合併により吸収した場合の申告調整の具体例について解説します。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第90回】「附帯決議から読み解く租税法(その3)」
そもそも「附帯決議」とは何か。
「附帯決議」とは、はじめにも述べたとおり、国会の委員会が法案や予算案の採決に当たり、所管する省庁に対する運用上の努力目標や注意事項などを盛り込む決議をいう。附帯決議は政治的あるいは道義的なものと位置付けられることから、特段の法的な拘束力はないと言われている。
谷口教授と学ぶ「税法の基礎理論」 【第39回】「租税法律主義と租税回避との相克と調和」-不当性要件と経済的合理性基準(5)-
前々回から、ユニバーサルミュージック事件・東京地判令和元年6月27日(未公刊・裁判所ウェブサイト)における不当性要件に関する同判決の判断枠組みを検討してきたが、前々回のⅢ2では、その判断枠組みにおける経済的合理性基準に係る相応性基準による裁量審査(相応性審査)について、行政法における比例原則が行政庁の裁量を認めつつその裁量を限界づける場合における裁量審査と、思考方法及び審査構造の点で、類似するものとの見方を示しておいたところである。
今回は、行政法における比例原則についてその意義・内容・機能を概説した上で、その機能に関連して裁量審査の考え方の傾向を整理し、相応性審査との本質的差異を意識しつつ、裁量審査の方法として一般化することができる内容を抽出することにしたい。