平成28年度税制改正における役員給与税制の見直し 【第2回】「特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)及び利益連動給与に係る改正事項」
前回紹介した役員給与をめぐる状況を踏まえ、平成28年度の税制改正では、わが国経済の「稼ぐ力」向上に向けた「攻めの経営」を促すべく、企業経営者に適切なインセンティブを付与するため、役員給与における多様な株式報酬や業績連動報酬の導入促進等を図る観点から、事前確定届出給与及び利益連動給与の取扱いについて、下表の通り2点の改正が行われた。
連結納税適用法人のための平成28年度税制改正 【第1回】「法人税率等の改正」
前年に引き続いて、連結納税適用法人を対象に平成28年度税制改正の概要を解説したい。
連結納税適用法人にとって、税制改正とは次の4種類に分類される。
そして、平成28年度税制改正については、連結法人税率の引下げ(②)、連結欠損金の繰越控除制度の見直し(①)、雇用促進税制の見直しや企業版ふるさと納税の創設(②)、減価償却制度の見直しや事業税の見直し(④)などがあり、今年度も連結納税適用法人にとって税負担及び実務への影響が大きい改正となっている。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例39(所得税)】 「遺産分割につき誤った説明をしたため「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」の適用が受けられなくなってしまった事例」
依頼者の実父の相続税の申告及び被相続人の居住用財産の譲渡につき税務相談を受けた際、相続税については、基礎控除以下であるため申告は不要であること、及び、遺産分割に際し、実父の居住用財産を依頼者が相続し、譲渡しても、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」(以下単に「3,000万円の特別控除」という)の適用は受けられると説明していた。
包括的租税回避防止規定の理論と解釈 【第17回】「同族非同族対比基準」
前回は、争点9(不当の意味と課税要件明確主義)として紹介されている最高裁昭和53年4月21日判決について解説を行った。
本稿では、争点10(同族非同族対比基準)として紹介されている東京高裁昭和49年6月17日判決について解説を行うこととする。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第30回】「収入印紙によらない納付方法①(書式表示)」
当社は飲食チェーン店です。各店舗において、売上代金は社員のほかに、アルバイトなどもレジを利用し、領収しています。売上代金を現金で領収した場合、手書きの領収書のほかに、レジから出力されるレシートや領収書についても、5万円以上の領収には収入印紙の貼付が必要である旨は、社員等に伝えてはいますが、レジの混雑時など収入印紙の貼付漏れが発生しないか心配です。
いちいち収入印紙を貼付せずに印紙税を納める方法はないでしょうか。
日本の企業税制 【第32回】「消費税率引上げ延期の影響」-見直しが必要な関係法令-
安倍首相は、6月1日、平成29年4月に予定されていた、消費税率の8%から10%への引上げについて、30ヶ月延期し、平成31年10月とすることを表明した。当初平成27年10月に予定されていた8%から10%への引上げは、これで当初の予定より4年間延期されることになる。
消費税率引上げを延期するためには関係法令の改正が必要であり、安倍首相は、「2019年10月からの引上げを明記した関連法案を秋の臨時国会で成立させたい」とした。
見直しが必要な関係法令を挙げると次の通りである。
平成28年度税制改正における役員給与税制の見直し 【第1回】「改正前の取扱いと過去の改正経緯」
平成28年3月31日に公布された平成28年度の改正税法では、かねてより改正要望の多かった役員給与に関する税制の見直しが盛り込まれた。
これに先立ち、平成27年12月16日に与党(自由民主党及び公明党)から公表された平成28年度税制改正大綱によれば、本年度の税制改正もまた、経済の「好循環」を確実なものとするため、企業が収益力を高めて前向きな国内投資や賃金引上げに一層積極的に取り組んでいくよう促す観点から引き続き成長志向の法人税改革が盛り込まれており、その一環として役員給与税制の見直しも織り込まれたものである。
裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第9回】「募集株式の発行等⑧」
前回は、東京地裁平成4年9月1日判決、東京地裁平成6年3月28日判決について解説を行った。
【第9回】に当たる本稿では、東京地裁平成9年9月17日判決、千葉地裁平成8年8月28日判決、大阪高裁平成11年6月17日判決について解説を行うこととする。
理由付記の不備をめぐる事例研究 【第13回】「交際費と外注費」~外注費ではなく交際費等に該当すると判断した理由は?~
今回は、青色申告法人X社に対して、外注費を否認して、交際費等に該当するものとした法人税更正処分の理由付記の十分性が争われた那覇地裁平成15年12月24日判決(税資253号順号9498。以下「本判決」という)を取り上げる。
税務判例を読むための税法の学び方【84】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その12:「一時所得の計算における所得税法34条2項の「その収入を得るために支出した金額」の範囲②」(最判平24.1.13))
控訴審においても、「所得税が個人の得た所得に対して課税される租税であることに鑑みれば、その所得の意義をいわゆる純所得、すなわち、個人が稼得した収入金額から当該個人が当該収入を得るために支出した必要経費等を控除した金額とすることは純理論的にはむしろ正しいといえよう。」としながらも、「一時所得といっても、その所得発生の態様はさまざまであるので、・・・必要経費に相当する費用にあたるものとして「その収入を得るために支出した金額」としたうえ、さらに、括弧書きで「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。」との限定を加えたものと思われる。
