「生産等設備投資促進税制」適用及び実務上のポイント 【第5回】「特別償却・税額控除の適用を判断する際の留意点」
本連載では「「生産等設備投資促進税制」適用及び実務上のポイント」として、第1回から概要、要件、手続などをご紹介してきたが、第5回となる今回は、実際に生産等設備投資促進税制を適用するに当たっての有利不利の判定、要件を満たさない場合の対処法などを解説する。
生産等設備投資促進税制の詳細は、これまでの連載で十分にご理解いただけたことと思うが、最終的なタックスプランニングにおいて、実務上の判断を左右する重要なポイントとしては、以下の5点が挙げられる。
中小企業のM&Aでも使える税務デューデリジェンス 【第6回】「親族への事業承継における税務の取扱い」
事業承継を含むグループ内再編では、対象会社の株式異動を伴うケースがほとんどである。
一般に税務上は、株主構成に変化がある場合はグループ内再編における適格要件等を満たさなくなることがあり、その場合は含み益を益金算入させざるを得ない状況となる。
一方で、今回のテーマである親族間の事業承継を前提とした株式異動であれば、実質的には株主構成に変化がなかったと捉えることが多く、その場合は適格要件を満たすことで含み益が益金算入されないことになる。以下にその具体例を記載する。
交際費課税Q&A~ポイントを再確認~ 【第5回】「交際費と寄附金を区別する」
法人税法上、交際費等と寄附金は次のとおりに定義されている。
【交際費等】
交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(措法61の4③)
【寄附金】
寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をすること(法法37)
上記のとおり、一般的には「交際費、接待費、機密費」などの名目の支出であれば交際費等に、「寄附金、拠出金、見舞金」などの名目の支出であれば寄附金に該当する。ただし、必ずしも名目のとおり税務上も取り扱われるとは限らない。したがって、寄附金になるのかそれとも交際費等になるのかは、個々の実態に応じて判定する必要がある。
小説 『法人課税第三部門にて。』 【第12話】「調査終了時の「理由」の説明義務」
「めんどくさいです・・・」
山口調査官は忌々しそうにつぶやいた。
「何が?」
田村上席は、新聞を読んでいる。
今は昼休みで、法人課税第三部門には、今日も出遅れた2人以外、誰もいない。
租税争訟レポート 【第12回】架空外注費の認定による課税処分を否認した裁決(国税不服審判所公表裁決)
本件は、製造業を営む審査請求人(以下「請求人」という)が総勘定元帳の運搬勘定に計上した運搬費について、原処分庁が、その一部は過大に計上されたものであるとして、法人税並びに消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)の更正処分等をしたのに対し、請求人が、当該運搬費は過大に計上されたものではないなどとして、原処分の一部の取消しを求めた事案である。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載28〕 普通法人から公益法人等への移行時における別表5(1)利益積立金額の記載方法について
この度、法人税法上の普通法人である出資持分の定めのない社団医療法人から、社会医療法人に移行しました。認定日の前日まででみなし事業年度が生じて、課税所得範囲の変更に伴う所要の調整を行いました。ところが、社会医療法人になって最初の申告で、法人税別表5(1)の利益積立金額欄の記載方法が分からなくなりました。どのように記載すべきか教えて下さい。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第1回】「馬券訴訟」
個人が得た競馬の馬券の払戻金に対しては所得税が課されることとなるが、その際の所得区分が争点となっている事案が注目を集めている。ここでは、札幌国税不服審判所平成24年6月27日裁決(札裁(所)平成23第9号)を取り上げてみたい。
裁決では、納税者の主張する雑所得ではなく一時所得に該当するとの判断が示されているが、その判断の妥当性について考えてみたい。まずは、事案の概要と国税不服審判所の裁決内容を紹介しよう。
相続税対策からみた生前贈与のポイント 【第1回】「贈与契約・贈与財産管理と贈与税の課税方法の選択」
相続税節税の王道は、課税対象となる個人財産を減らすことにある。
このため、相続税の節税対策の一環として、親から子、祖父母から孫に対する財産の生前贈与は、相続税の節税対策の定番として広く行われているところである。
ただ、このような親族間での財産の贈与は、その実態が外部からは分かりにくく、贈与の事実をめぐって税務当局とのトラブルが生じやすい。税務当局とのトラブルを生じさせないためにも、贈与に関する十分な理解が重要となる。
そこで本シリーズでは、相続税対策の一環として行われる親族間での財産の贈与について、平成25年度税制改正を踏まえつつ、実務上留意すべき事項を述べたいと思う。
教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について 【第5回】「個別論点~「学校等」「教育資金」の範囲、「領収書等」の取扱い」
第3回及び第4回は、平成25年度税制改正で創設された「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」(以下「本制度」という)の適用を受けるために必要な手続とその留意点を中心に解説した。
連載最終回となる本稿では、個別の論点として平成25年3月30日に公表された政省令及び告示、平成25年4月に国税庁及び文部科学省から公表されたQ&A(その後文科省のQ&Aに関しては同年5月2日に改定されている。以下「文科省QA」)を中心に、「学校等」及び「教育資金」の範囲と、本制度適用するにあたり取扱金融機関へ提出する「領収書等」の取扱いについて解説する。