中国における営業税改革の概要、改革効果の検証及び展望 【第3回】
上海において改革により効果が現れ始めている一方、試験地域における税務当局と対象企業の双方が様々な問題に直面している。
税務当局にとっては中央と地方財源の再配分、徴税機関の一本化、徴税業務の効率化、徴税コストの削減などの問題が残る。
組織再編税制における不確定概念 【第3回】「従業者引継要件等における『おおむね』とは」
組織再編税制においては、税制適格要件における従業者引継要件、規模要件、みなし共同事業要件における規模要件、規模継続要件において、「おおむね」という文言がそれぞれ規定されており、税制適格要件における株式継続保有要件において、「おおむね」という文言を使用していないのと対照的である。
本稿においては、従業者引継要件を例に挙げて、その具体的な内容についての解説を行う。
法人税の解釈をめぐる論点整理 《役員給与》編 【第9回】
役員の退職給与は、法人にとっては債務であり、その債務が確定したときに損金算入が認められる(法法22③二かっこ書)。
したがって、役員の退職給与については、原則として、株主総会等の決議によって具体的な支給額が決定された事業年度における損金算入(確定日基準)となる。
ただし、通達では、実際に支給された事業年度における損金算入(支給日基準)も認められている(法基通9-2-28)。
税務判例を読むための税法の学び方【5】 〔第2章〕法令の解釈方法(その4)
ある法令が甲という事項について規定していながら、類似の乙や丙について規定していない場合に、規定されていない以上、乙や丙に適用がないと考える解釈である。
例えば、民法第737条1項には「未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。」とあるが、このことから、成年の子ならば、婚姻をするについて父母の同意を得る必要がないと解釈するものである。
税法においては、多くの例がある。
ある法の適用を受けるものについて限定列挙している場合には、そこに挙がっていないものには適用がないことになる。
企業不正と税務調査 【第3回】「税務調査と内部監査・会計監査との相違点」
税務調査の視点は、基本的には「性悪説」―つまり、納税者には、できるだけ税金を少なくしたいという動機が存在する―に立つ。
こうした姿勢が、業務監査や会計監査との大きな違いであることは言うまでもなく、おまけに、国税調査官は、納税者による不正の事例を数多く知っているため、どのあたりをつつけば脱税行為を発見できるかというノウハウを豊富に有している。
脱税というのは、しょせん、売上を減らすか、仕入や経費を増やすかして、利益を少なくすることでしか達成できないため、独創的な手口というのは考えづらい。
〔税の街.jp「議論の広場」編集会議 連載9〕 個人が太陽光発電装置を取得した場合についての所得税の取扱いについて
平成24年7月から、再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始されることに伴い、平成24年5月29日から、グリーン投資減税の対象設備の定義が変わり、太陽光・風力発電設備については、所定の要件を満たせば、取得価額を初年度に即時償却できるようになった。
太陽光・風力発電設備については、初年度に即時償却できるようになったこともあり、昨今のエネルギー事情も相俟って、設備メーカーなどが積極的に設置を呼びかけているところでもある。
適格株式移転があった場合の完全親法人に係る少数株主の評価額
一般的に、少数株主である個人が自らの親族に株式を贈与する際の評価額は、配当還元方式でよいと理解しています。
当社は組織再編成の一環のため、適格株式移転により完全親法人を新設する予定です。
適格株式移転の前後で配当還元方式による評価を行う場合に、何か注意すべき点がありますか。
〔平成9年4月改正の事例を踏まえた〕 消費税率の引上げに伴う実務上の注意点 【第12回】税率変更の問題点(11) 「経過措置に関する注意点(その2)」
第9回でも述べたように、平成26年4月1日の施行日以後に目的物の引渡しがなされる請負工事等については、原則として新税率が適用されることとなるが、指定日(5%適用の場合は平成25年10月1日、8%適用の場合は平成27年4月1日)の前日までに契約を締結した場合など一定の要件を満たしたときには、施行日後の引渡しであっても旧税率を適用することが、以下の経過措置の規定により認められている。
平成25年3月期 決算・申告にあたっての留意点 【第4回】「減価償却における定率法の改正」
平成23年12月の税制改正で、法人税率引下げに対する課税ベース拡大措置のひとつとして「定率法の償却率引下げ」とそれに伴う整備が行われた。
具体的には、平成24年4月1日以後に取得される減価償却資産に適用する定率法の償却率が定額法の償却率を2倍した償却率(以下「200%定率法」という)に変更された。
これにより、平成19年度税制改正で導入された250%定率法の償却率から、200%定率法へ引き下がることになる。
間もなく決算を迎える3月決算法人においては、200%定率法が適用される最初の事業年度となる。
税理士が知っておきたい e‐Tax(電子申告)最新の常識 【第3回】「実務上の失敗談とQ&A」
初めてのe‐Taxというのは、とかく緊張するものである。
パソコン操作に自信がない場合はなおさらである。
筆者自身も初めてe‐Taxによる申告及び納税を行った時は、心拍数が上がり、手に汗を握りマウスをクリックしたものである。
また、クリック一つで申告及び納税が完了するというあまりの簡単さに、逆に不安を抱き、税務署及び地方公共団体に完了の問合せをしたほどである。