暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第3回】
暗号資産が所有権の客体となり得るならば、そのことから演繹的に暗号資産の法律関係を導く途が拓かれるが、有体物ではない、姿かたちのない暗号資産は所有権の客体にならないと考えられている(以下の記述については、金融法委員会「仮想通貨の私法上の位置付けに関する論点整理」のほか、泉絢也「暗号資産(仮想通貨)取引と課税」日本租税理論学会編『租税上の先端課題への挑戦』95頁以下(財経詳報社2020)及びそこで引用されている文献参照。後述の(2)の「《更なる考察》 『占有=所有』構成」、「《更なる考察》 私法の議論から得られる示唆」において同じ)。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第43回】「役員への保証料の支払いについて適正額が示された事例」
当社は、金融機関から融資を受けるに当たり、代表取締役の個人保証を求められました。これを受け、当社は代表取締役に保証料を支払うことを検討しています。
この場合における税務上の留意点はありますか。
基礎から身につく組織再編税制 【第45回】「適格現物分配」
前回は組織再編税制における「現物分配」に関する基本的な考え方を解説しました。今回は、適格現物分配の要件について解説します。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第2回】「グラクソ事件(最判平21.10.29)(その2)」~租税特別措置法66条の6、日星租税条約7条1項、ウィーン条約法条約32条~
本最高裁判決においては、もう1つ重要な判示がなされた。本件において、OECDモデル条約コメンタリー(以下、単に「コメンタリー」)が、「ウィーン条約32条にいう『解釈の補足的な手段』として参照されるべき資料」と判示されたのだ。
相続税の実務問答 【第76回】「葬式費用の範囲①(告別式当日に初七日の法要を済ませた場合)」
私の父が先月亡くなりました。通夜や告別式など、一連の葬式費用の全額(200万円)を私が支払いましたので、相続税の申告の際には、私の相続税の課税価格の計算上、控除したいと考えています。
ところで、私たちの住む地域では、かつては、告別式に引き続き、火葬場で遺体を荼毘に付した後、斎場に戻って、お清めの飲食をし、故人が亡くなった日から7日目に、再度、親戚一同がお寺に集まって、初七日の法要を行い、精進落としの食事をするのが習わしでした。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第56回】「敷地所有権者の相続に係る貸付事業用宅地等の特例の適用(配偶者居住権設定後に二次相続があった場合)」
甲の相続(一次相続)では、下記のとおり甲の建物持分について配偶者居住権が設定され、甲の配偶者である乙が配偶者居住権及び敷地利用権を取得し、甲の建物所有権の持分、敷地所有権及び土地所有権は、長男である丙が取得しました。甲の相続後は、乙がしばらくの間、居住の用に供していましたが、乙が老人ホームに入所するのを契機として、乙は丙の承諾を得て、第三者に賃貸することになりました。乙が貸付の用に供した後、3年経過後に丙に相続が発生しました。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第112回】「節税商品取引を巡る法律問題(その6)」
節税商品は「節税」を売り物とするものであるから、商品内容の説明に当たっては本体契約の説明に加えて課税上の取扱いに係る説明もなされなければならないし、課税上のリスクに係る説明もなされなければならないと考える。ところが、先に述べたとおり、金融機関や保険会社の販売担当者などが税制上の説明を行うには専門的知識の欠如という問題が惹起されるし、また、個別具体的に課税上の取扱いに係る説明を行うことは、税理士法に抵触することにもなりかねない。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第7回】「国税通則法8条(~9条の3)」-国税の連帯納付義務についての民法の準用-
連帯債務とは、「同一内容の給付(=可分給付)について複数の債務者が各自独立した全部給付義務を負担し、かつ、債務者中の誰かの全部給付によつて総債務者の債務が消滅する、という複数主体の債務」(西村信雄編『注釈民法(11)債権(2)』(有斐閣・1965年)48頁[椿寿夫執筆])をいうが、税法は一定の場合(税通9条、9条の2、税徴33条後段、自税4条1項後段・2項、登税3条後段、印税3条2項、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律20条・関税13条の3)についてこれを「連帯納付義務」として定め、国税通則法8条はこれについて民法の連帯債務に関する規定の一部を準用する旨を定めている。