収益認識会計基準と法人税法22条の2及び関係法令通達の論点研究 【第84回】
〈Q9〉法人税法22条の2第1項の引渡基準と収益認識会計基準の履行義務充足基準との関係はどのように考えるべきか。
monthly TAX views -No.115-「「国の借金は国民の資産」というのは本当だろうか」
本年6月、経団連のシンクタンクである21世紀政策研究所は、「中間層復活に向けた経済財政運営の大転換」と題する、主に以下の内容の報告書を公表した。
令和4年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第1回】
令和4年度税制改正では、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用されるグループ通算制度についても改正が行われている。
この改正については、グループ通算制度が施行される前の最後の手直し(一応できあがったあとで、不完全な部分を直すこと)といえる改正であるが、その中でも、特に、M&Aの障害になると懸念されていた投資簿価修正制度の見直しが行われたことはサプライズといえる。
そこで、本稿では、グループ通算制度に関する改正法令を読み解くことで、その内容と想定される実務への影響を解説したい。
法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例43】「関係会社へ支払った追加傭車費の寄附金該当性」
私は、都内において運送業を営む株式会社X(3月決算法人)で経理部長を務めております。わが社は高度成長期に会社を設立して以来、自動車部品等の工業製品のほか、法人契約の引越業務等に関し、50年に渡り地道に業務を拡大してきており、現在ではお陰様で営業エリアは関東一円をカバーし、支店網も20店舗以上展開してきているところです。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第96回】「電子取引における印紙税の注意点①」
印紙税の課税文書となる請負契約を結ぶにあたり、打合せ時に書面で仮契約を結んでおいて、後日、電子契約にて本契約を結ぼうと考えています。
電子契約には印紙税がかからないと聞きました。この場合、本契約を電子契約で結ぶため、事前に書面で作成した仮契約書には収入印紙の貼付は必要ないのでしょうか。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第21回】「米国LPSは我が国租税法上の法人に該当するか」
米国LPSのような外国事業体は我が国租税法上どのように取り扱われるのでしょうか。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第47回】「法人の事業の用に供されていた宅地等の範囲(特定同族会社事業用宅地等の特例の適否)」
被相続人である甲の相続発生に伴い、甲の所有していたA土地及びB土地を長男乙が取得した場合には、乙が適用できる小規模宅地等に係る特定同族会社事業用宅地等の特例の適用面積は何㎡でしょうか。
租税争訟レポート 【第62回】「更正の請求に係る事実関係の立証責任(第1審:東京地方裁判所令和2年1月30日判決、控訴審:東京高等裁判所令和2年12月2日判決)」
本件は、福岡市内において診療所を経営することを目的として設立された医療法人社団である原告が、処分行政庁に対して、平成23年4月1日から平成24年3月31日までの事業年度の法人税に係る更正の請求並びに平成23年4月1日から平成24年3月31日まで及び同年4月1日から平成25年3月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という)に係る各更正の請求をしたのに対し、処分行政庁から平成29年7月20日付けでいずれについても更正をすべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、これらの各通知処分の取消しを求める事案である。
これからの国際税務 【第32回】「2つの柱の合意実施についてのスケジュール遅延」
コロナ・パンデミック後の経済復興課題に加えて、ロシアのウクライナ侵攻が及ぼす経済課題も議題としてインドネシア・バリで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議(7月15~16日)においては、2つの柱から成る新しい国際課税の合意についての実施計画も議論された。同会議の議長を務めたインドネシア財務大臣・中央銀行総裁による議長総括(注1)では、第2の柱の実施計画は予定通り(2022年中の法改正、2023年からの施行)とするが、第2の柱と同時実施とされていた第1の柱の実施計画については、1年遅らせることが確認された。昨年10月の予定と比較した繰延べの具体的状況は、議長総括で確認されるところによれば、以下のとおりである。
(注1) G20 Joint Press Release(No.24/191/DKom, No.SP-107/KLI/2022)
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第16回】「課税要件事実の認定に関する実質主義」-未経過固定資産税等相当額清算金の性質決定に関する裁判例の検討-
前回扱った財産評価も、税法における事実認定であることは前回Ⅳ(おわりに)でも述べたが、税法における事実認定には、ほかに、事実状態・事実行為の確認、法律行為・契約の解釈、公正妥当な会計処理(法税22条4項)の結果の確認も含まれる。これらにおいて認定されるべき課税要件事実とは、課税要件に包摂されるべき事実をいい、それは、課税要件を組成する法律要件要素(課税要件要素 [Steuertatbestandsmerkmal])に高められ抽象化された類型的事実(法律事実)ではなく、法律事実に該当する個々の具体的事実(税法の適用・税法的評価を受ける前のいわゆる「ナマの事実」)を意味する事実的概念である(以上については拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【56】参照)。