金融・投資商品の税務Q&A 【Q84】「税制適格ストックオプションの行使により取得した株式を他の証券会社へ移管した場合のみなし譲渡」
私(居住者たる個人)は、勤務先(A社)から付与されていた税制適格ストックオプションを行使することにより取得したA社株式を保有しています。当該A社株式はB証券会社の証券口座に入庫されましたが、私が通常取引をしているのはC証券会社であるため、C証券会社の口座へ移管することを検討しています。ところが、証券口座を移管すると含み益について譲渡所得として課税対象となると聞きました。譲渡していないにもかかわらず確定申告が必要になるのでしょうか。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第31回】「同族会社の行為計算否認規定が適用された2つの転貸方式の事例」
今回は不動産賃貸について、同族会社を介して転貸したことにより、通常受け取るべき賃貸料が著しく減少され、所得税の負担を不当に減少する結果になると認められるとして、同族会社の行為計算否認規定の適用を受けた2つの事案について、課税庁が示した算定根拠を検討する。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第58回】「土地交換時の税務上の取扱い」
私(X)は、兄YとA土地を共有(2分の1持分)しています。A土地は祖父から遺贈により承継した物件で、この土地には父Z所有の建物があり父Zが居住しています。
私の父Z(90歳)は、B土地を所有していますが、父Zの財産のほとんどはこのB土地となっています。なお、B土地には私が所有する賃貸物件があります。
兄Yは遠方に居住しており、父Zの介護などは近隣に居住する私が日常的に行っているため、最近父Zから私所有の賃貸物件があるB土地を私に相続させたいという話がありました。ただ、当然ながら兄Yへの思いもありいくらかの財産を兄Yにも承継させたいようです。相続税評価額は下図の通りです。
B土地すべてを私が承継する前提で、兄Yが財産を相続する方法はありますでしょうか。
〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第10回】「所得税基本通達2-47に定める「生計を一にする」の判定」
① 審査請求人(請求人)は、平成23年8月に死亡した被相続人の子であり唯一の相続人である。
② 被相続人は昭和24年にA市B区C丁目24番25に住所を定め、以後、死亡まで住民票上の住所に異動はなかった。
③ 請求人及び被相続人は平成4年12月までは、被相続人の居宅に同居していたが、請求人は同日A市C区内に転居し、他方、被相続人は同日以降も引き続き同人の居宅に単身で居住した。
④ 請求人は、平成8年7月、被相続人の配偶者の死亡により相続(持分2分の1・他の2分の1は被相続人が相続)したA市B区C丁目21番3の宅地(本件宅地)上に居宅を建築し、同地に住所を定め、以後、被相続人の相続開始日まで住所に異動はなかった。
⑤ 被相続人の相続税申告において、請求人が取得した本件宅地の被相続人持分につき、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)を適用した。
⑥ 原処分庁は、請求人に小規模宅地等の特例の適用はない等の理由により更正処分をした。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q83】「付与契約の内容を変更した税制適格ストックオプションの行使により取得した株式の譲渡」
私(居住者たる個人)は、勤務先(上場を目指すスタートアップ企業)から税制適格ストックオプションを付与されていますが、今般、2023年8月に、当該ストックオプションに係る契約を変更して権利行使価額を引き下げると聞きました。引下げ後の権利行使価額に基づいて当該ストックオプションを行使したことにより取得する株式を、上場後に譲渡する際に留意することはありますか。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例126(所得税)】 「先代名義のままであった居住用家屋につき被相続人を経由せず直接相続人名義で登記したため、「空き家に係る3,000万円の特別控除」が適用できなくなってしまった事例」
令和Y年分の所得税につき、被相続人甲(依頼者の実母)の相続により取得した居住用財産の譲渡につき、「被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」(以下「空き家に係る3,000万円の特別控除」という)を適用して申告をしようとしたが、相続税申告の際、居住用家屋が先代(依頼者の亡父)名義のままであったことから、被保険税理士の助言により、被相続人を経由せず直接依頼者が相続する内容で分割協議書を作成して登記したため、適用ができなくなってしまった。これにより、所得税額等につき過大納付が発生したとして賠償請求を受けた。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q82】「信託型ストックオプションの行使により取得した株式の譲渡」
私(居住者たる個人)は、勤務先(上場企業)が信託会社を通じてストックオプションを付与する制度(いわゆる、信託型ストックオプション)を導入しているため、この制度に基づいてストックオプションを取得しました。今年、このストックオプションを行使して株式を取得し、市場で売却しましたが、この場合、確定申告が必要でしょうか。
なお、この株式は国内証券会社の一般口座に預けられています。
固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第29回】「建物の取壊費用等が不動産所得の必要経費ではなく、土地の取得費に算入されるべきとされた事例」
不動産所得の必要経費になるか、土地の取得費になるかによって納税コストも大きく変わる場合もあり、境界線がどこにあるのかが重要となる。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q81】「保有株式がTOB成立後に買い取られた場合の申告手続き」
私(居住者たる個人)は、上場会社であるA社の株式を保有していますが、B社による株式の公開買付け(TOB)が行われることになりました。私はTOBには応じないことにしたのですが、この度、TOBが成立したことによってA社が上場廃止となり、保有していたA社株式がB社によって買い取られることになりました。私はA社株式を特定口座(源泉徴収選択あり)で保有していたので、A社株式の譲渡によって譲渡益が生じたとしても確定申告を行う必要はないのでしょうか。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例124(所得税)】 「代替資産の取得価額が見積額を超えたため、4ヶ月以内に更正の請求をしなければならないところこれを失念したため、見積超過額部分につき「収用等の圧縮記帳の特例」の適用ができなくなってしまった事例」
令和X年分の所得税につき、T県S市土地開発公社に土地建物を収用され、取得価額の見積額で「買換(代替)資産の明細書」を記載して「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例」(以下「収用等の圧縮記帳の特例」という)を適用して申告したが、代替資産の取得価額が見積額を超えたため、代替資産を取得した日から4ヶ月以内に更正の請求をしなければならないところこれを失念してしまった。これにより、代替資産の見積超過額部分につき「収用等の圧縮記帳の特例」の適用ができなくなってしまい、還付不可となった金額につき損害が発生したとして、賠償請求を受けた。