日本の企業税制 【第19回】「BEPS行動3:外国子会社合算税制の強化」
BEPS行動3(外国子会社合算税制の強化)は、軽課税国に置かれた外国子会社への利益移転を防ぐため、外国子会社の利益を親会社の利益に合算して課税する外国子会社合算税制(CFCルール、タックスヘイブン税制)に関して、各国が導入すべき国内法の基準について勧告を策定するものであるが、わが国の現行税制とは大きく異なる方式が提示されている。
法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第14回】「企業活動への影響」
従来国外事業所得であった所得で改正後は国外PEに帰属しない所得は外国税額控除の対象にならないため、二重課税リスクが生じる。例えば、日本の本社から海外の顧客に直接販売する取引について、従来は国外源泉所得であった所得が改正後は国外PE帰属所得とならない場合には、重課税リスクが生じる。
法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第13回】「外国法人の所得税」
帰属主義への見直しにより、国内源泉所得について改正が行われている。これにより、組合事業利益の配分に係る国内源泉所得は、「PEを通じて」組合契約等に基づいて行う事業から生ずる利益の配分で一定のものと改正されている。
この改正に伴い、PEを有しない外国法人が組合事業利益の配分所得を有することはなくなったため、PEを有しない外国法人の課税標準を定める規定を削除するなどの整備を行った(所法178)。
法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第12回】「内国法人の法人税③」
国外事業所等から本店等への支払いにつきその国外事業所等の所在する国又は地域においてその支払いに係る金額を課税標準として課される外国法人税の額については、その外国法人税の課税標準である支払金額がわが国の法人税の課税対象所得として認識されないことから、その外国法人の課税標準である支払金額について二重課税が生じない。
日本の企業税制 【第18回】「BEPS行動8~10:移転価格ガイドラインの改定」
BEPSの端緒となったのは、米国系多国籍企業が欧州で起こした移転価格問題であり、移転価格課税の抜本的見直しはBEPSプロジェクトの中心的な課題とされている。
具体的には、行動計画13が移転価格課税の実効性を高めるための文書化ルール(国別報告、マスターファイル、ローカルファイルの導入)であるのに対して、行動計画8~10が移転価格課税の考え方、課税方式を抜本的に改めようとするものである。
法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第11回】「内国法人の法人税②」
国外事業所得等帰属所得は独立して事業を行う事業者と擬制するので、収益認識の時期も独立の事業者であるとした場合に所得を認識すべき時期となる。例えば、支店から本店に商品の販売を行った場合は、内国法人全体として収益が実現していない場合でも、支店の収益を認識することとなる。
法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第10回】「内国法人の法人税①」
国外事業所等に帰属する所得はAOAに従い、内部取引を認識したうえで独立企業原則により決定される。PEの譲渡に係る所得を含むが、国際運輸業所得に該当するものは除く(法法69④一、法令145の2)。
国外事業所等とは、条約締結相手国については相手国にある条約に定める恒久的施設であり、その他の国・地域ではその国・地域にある恒久的施設に該当するものをいう(法法69④一、法令145の2①)。
日本の企業税制 【第17回】「BEPS行動6(租税条約の濫用防止)の動向」
BEPS行動6=租税条約濫用の防止では、租税条約締約国でない第三国の個人・法人等が不当に条約の特典を享受することを防止するためのモデル租税条約規定及び国内法に関する勧告を策定することとされており、本年9月に最終勧告及びモデル租税条約の改定が予定されている。
法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第9回】「改正の内容⑧」
PEの種類の違いによる課税所得の範囲の違いがなくなったことから、みなし事業年度についても所要の整備が行われた(法法14二十三・二十四)。
PEを有しない外国法人が事業年度の途中でPEを有することになった場合は、その事業年度開始の日からその有することとなった日の前日までの期間を、その有することとなった日からその事業年度終了の日までの期間とをそれぞれ事業年度として区分する。