日本の企業税制 【第117回】「児童手当と扶養控除」
6月30日、政府の税制調査会(中里実会長)は、答申「わが国税制の現状と課題 -令和時代の構造変化と税制のあり方」を取りまとめた。税制調査会の答申としては令和元年の答申「経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制のあり方」以来4年ぶりのものとなる。
相続税の実務問答 【第85回】「居住用宅地を内縁の配偶者が遺贈により取得した場合の小規模宅地等の特例の適用」
被相続人甲と私は、内縁関係にありました(私は、甲の親族ではありません)。甲と私は、甲が所有するM市の住宅に同居しており、甲と私の生計は一でした。甲は、今年の2月に亡くなり、私はM市の住宅を遺贈により取得しました。私は、今後もこの住宅に住み続けるつもりです。
ところで、この住宅を含めた甲の遺産の総額が相続税の基礎控除額を超えることとなりますので、相続税の申告をしなければなりませんが、相続税の計算上、私が遺贈により取得した住宅の敷地部分について、小規模宅地等の特例を適用することはできないのでしょうか。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第51回】「代表取締役一任決議と形式基準」
当社は、株主総会で役員報酬の支給総額のみを定め、各役員の支給額は「代表取締役に一任する」旨の決議を行っています。
これは、過大役員給与の判定における形式基準において、何か問題でしょうか。
令和5年度税制改正における『グループ通算制度』改正事項の解説 【第5回】
清算中の通算子法人につきその残余財産が確定した場合、その通算子法人は、その残余財産の確定の日の翌日において、通算承認の効力が失われることとなる(法法64の10⑥五)。
そして、その通算子法人は、その通算事業年度開始の日からその残余財産の確定の日までの期間を最終事業年度(残余財産確定事業年度)として法人税及び地方法人税、住民税、事業税の確定申告書を提出することとなる。
令和5年度税制改正では、次のように、残余財産が確定した通算子法人の確定申告書の提出期限の見直しが行われている。
基礎から身につく組織再編税制 【第54回】「非適格株式分配を行った場合の現物分配法人、現物分配法人の株主の取扱い」
今回は、非適格株式分配を行った場合の現物分配法人、現物分配法人の株主の取扱いについて解説します。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第20回】「今治造船移転価格事件(地判平16.4.14、高判平18.10.13、最判平19.4.10)(その1)」~租税特別措置法66条の4第1項、2項~
本件は、被控訴人(課税庁)が、わが国に所在する船舶の製造及び修繕を業とする控訴人(納税者)のパナマ共和国所在の国外関連者との船舶建造請負取引について、いわゆる移転価格税制を適用し、平成4年3月期及び平成6年3月期の法人税等について更正処分等を行ったところ、控訴人がこれらの処分に違法があると主張して、その取消しを求めた事案である。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第22回】
国税庁のFAQ「2-2 暗号資産取引の所得区分」は、暗号資産取引により生じた利益は、所得税の課税対象になり、原則として雑所得に区分されるとしており、暗に譲渡所得に区分されることを否定しているといえる。
かかる説明については、暗号資産の譲渡による所得の所得区分に関して、次のような疑問が浮かぶ。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第121回】「節税商品取引を巡る法律問題(その15)」
節税商品取引を巡る消費者あるいは投資者保護の検討において、成人向け租税リテラシー教育が重要であることは既述のとおりであるが、そこでは、金融教育における成人向け教育の取組みが参考となろう。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第16回】「国税通則法32条(31条・33条)」-賦課課税方式における賦課決定とこれによる納税義務の確定の「本質」-
国税通則法16条1項2号は、賦課課税方式を「納付すべき税額がもつぱら税務署長又は税関長の処分により確定する方式」と規定し、同法第2章(国税の納付義務の確定)第3節で「賦課課税方式による国税に係る税額等の確定手続(第31条-第33条)」を定めている。