法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例68】「法人の支出する飲食費等のうち交際費等に該当するものの判断基準」
そのような中、最近税務署の税務調査を受け、交際費に関する指摘を執拗に受けております。すなわち、わが社は中小法人に該当し、当初申告では法人税の取扱い上損金算入が認められる上限に達しない金額の交際費のみ計上していたのですが、申告を見直したところその金額が増加したため、更正の請求を行いました。ところが税務署は、追加計上した部分の金額につき、「特定の取引先の社長や大学の理事との飲食費が突出して多いが、これはプライベートな飲食であり個人で負担すべき支出ではないか」と難癖をつけてくるのです。業務を発注し合う間柄の取引先との飲食費が交際費にならないというのは、社会通念に反するトンデモ理論だと思うのですが、税法の解釈はどうなるのでしょうか、教えてください。
〔令和6年度税制改正における〕外形標準課税制度の見直し 【後編】
次に掲げる要件を全て満たす法人については、外形標準課税の対象とされることになった(地法72の2①一ロ、地令10の2~10の5、地規3の13の4)。
〈判例・裁決例からみた〉国際税務Q&A 【第46回】「取引単位営業利益法の適用」
独立企業間価格の算定方法の1つである取引単位営業利益法の適用に当たり、比較対象取引に該当するか否かにつき国外関連取引と非関連者取引との類似性の程度を判断する場合にはどのような要素を勘案すべきでしょうか。
谷口教授と学ぶ「税法基本判例」 【第43回】「心理的所得概念と課税所得」-フリンジ・ベネフィット通達事件・大阪高判昭和63年3月31日訟月34巻10号2096頁-
本連載は、基本的には、拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)で参照している(あるいは参照する予定の)判例の中から、同書における叙述の順に従って「税法基本判例」を取り上げ検討するものであるが(第1回Ⅰ参照)、前回までで同書第2編(税法通則)の参照判例の検討を一先ず終えて、今回からは同書第3編(所得課税法)の参照判例の中から「税法基本判例」を取り上げ検討していくことにする。
今回は、前掲拙著第3編第1章(課税物件としての所得(課税所得))の第2節(包括的所得概念と市場)で検討した心理的所得概念(同書【175】)を問題にしたものと解されるフリンジ・ベネフィット通達事件・大阪高判昭和63年3月31日判タ675号147頁(以下「昭和63年大阪高判」という)を検討することにする。
〔令和6年度税制改正における〕外形標準課税制度の見直し 【前編】
本稿では令和6年度税制改正のうち、外形標準課税に関する部分について前・後編の2回にわたって解説する。
〔令和6年度税制改正における〕賃上げ促進税制の拡充及び延長等 【第2回】
令和5年11月2日に閣議決定された『デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて』(以下単に「総合経済対策」という)では、わが国経済がコロナ禍の3年間を乗り越え改善しつつある一方、輸入物価の上昇に端を発する物価高の継続が国民生活を圧迫し、回復に伴う生活実感の改善を妨げているとの現状認識のもと、賃金と物価が好循環する絶好の機会を確実なものとするために、適用期限の到来を迎えようとする「賃上げ促進税制」を強化する方針が示された。
学会(学術団体)の税務Q&A 【第10回】「学術集会の共催セミナー(法人税)」
本学会は、毎年総会のタイミングに合わせて、学術集会を開催していますが、その際、企業と共催セミナーを開催し、企業から共催セミナー費(セミナーの会場利用料)を受け取っています。当該共催セミナー費は、法人税法上の収益事業に該当するのでしょうか。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第54回】
以下、日本の居住者(一般の投資家であり、米国で事業等を行っていない個人)が本信託の受益権に係る持分(本件持分)を米国の市場で購入し、譲渡した場合に、本件分離課税特例が適用されるかという点を中心に検討する。なお、本信託及びその居住者以外の関係者自体の課税関係については検討の対象外とする。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第58回】「中央出版事件-旧信託法下における外国籍の孫への海外信託贈与-(地判平23.3.24、高判平25.4.3、最判平26.7.15)(その3)」~(平成19年改正前)相続税法4条1項、2項4号、5~9条、(平成18年改正前)信託法1条、(平成18年改正後)信託法2条~
信託行為該当性について、原審では、借用概念(統一説)により結論を導いている。本件の争点1~3において「信託の準拠法とされた米国州法でなく日本法を参照していることは、日本法の前提とする信託の概念を参照していると理解することもできる」(※2)という評価がある。これは、米国州法に基づく信託を、米国州法に当てはめて判断するのではなく、わが国の信託法に当てはめて判断することを妥当とするものである。さらに「本判決は、契約に用いたアメリカ州法ではなく、その契約内容を検討し、それに即した日本法を適用して本事件を解決している」(※3)と、同様に肯定的に評価する意見もある。