組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨
【第16回】
公認会計士 佐藤 信祐
(《第2章》 平成13年度税制改正)
② 適格組織再編成の場合の特例
(ⅰ) 適格合併及び適格分割型分割
平成13年度税制改正直後の法人税法62条の2第1項では、以下のように規定されている。
【法人税法62条の2第1項】
内国法人が適格合併又は適格分割型分割により合併法人又は分割承継法人にその有する資産及び負債の移転をしたときは、前条第1項及び第2項の規定にかかわらず、当該合併法人又は分割承継法人に当該移転をした資産及び負債の当該適格合併又は適格分割型分割に係る最後事業年度又は分割事業年度終了の時の帳簿価額による引継ぎをしたものとして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。この場合においては、当該内国法人は、同条第1項後段の規定にかかわらず、当該合併法人又は分割承継法人から当該合併法人又は分割承継法人の株式(第61条の2第4項(合併及び分割型分割による株式割当等がない場合の譲渡利益額又は譲渡損失額の計算)に規定する場合において同項の規定により同項に規定する株式割当等を受けたものとみなされる自己の株式を含む。)を当該適格合併に係る第2条第17号ハ(定義)に規定する純資産価額に相当する金額又は当該適格分割型分割に係る同号ニに規定する純資産価額に相当する金額により取得し、直ちに当該株式を当該内国法人の株主等に交付したものとする。
上記のように、資産及び負債を帳簿価額で引き継いだものとして計算し、当該資産及び負債の帳簿価額から計算される純資産価額により、株主への交付を行ったものとみなして計算するものとされている。ただし、次回(【第17回】)で解説するように、被合併法人の利益積立金額を合併法人に引き継ぐこととされているため、法人税法2条17号ハに規定する純資産価額とは、「被合併法人の当該適格合併の日の前日の属する事業年度終了の時の当該移転資産の帳簿価額から当該移転負債の帳簿価額及び当該適格合併に係る次号ニに掲げる金額を減算した金額」を意味する(なお、次号ニに掲げる金額とは、適格合併により引き継ぐ利益積立金額のことをいう)。
そのため、適格合併を行う場合において、移転資産の帳簿価額が300であり、移転負債の帳簿価額が100であり、資本金等の額が50であるときに、以下の仕訳を行うということである。
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