会計上の『重要性』
判断基準を身につける
~目指そう!決算効率化~
【第15回】
「重要性の有無の判定方法③」
~体重だけでなく体脂肪率もチェックする
公認会計士 石王丸 周夫
今回は、決算書全体に対する重要性をどう判断するかについて考えていきます。
まず手始めに、虚偽記載の重要性判断に関する以下の問題にチャレンジしてみてください(解答は問題のすぐ下にあります)。
〔問題15〕
次のア~ウの記述のうち、誤っているものが2つある。
その記号の組合せの番号を1つ選びなさい。
ア 会計処理の誤りが複数検出された場合、それらが利益に及ぼす金額の合計値に重要性が認められなければ、処理を修正する必要はない。
イ 会計処理の誤りが見つかった際、売上総利益や営業利益といった損益計算書の途中段階の利益に対する影響よりも、税引前利益や税引後利益への影響を重視すべきである。
ウ 虚偽記載額の決算への影響は、ROEのような投資家が重視している指標への影響も把握することが望ましい。
1・・・ア、イ
2・・・ア、ウ
3・・・イ、ウ
〔解答〕 1
いかがでしたか。正解できたでしょうか。
決算書全体に対する総合判断の話ですので、少々難しかったかもしれません。
以下、この解答について触れながら、解説していきます。
《未修正事項の評価》
決算作業の最終段階で何らかの要修正事項が見つかるということは、できれば避けたいものです。利益に影響のある誤りを修正すれば、税金計算をやり直さなければなりませんし、それに伴って税効果の処理もやり直し、1株当たり情報の計算もやり直し・・・となって、まるで「ふりだしに戻る」ような状態になるからです。
そのような場合、本来的にはすべて修正すべきなのですが、見つかった要修正事項に重要性が認められないのであれば、修正を見送るという対応も実務上容認されます。
たとえば、次のような簡単な事例を考えてみます。
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