〈業種別〉
会計不正の傾向と防止策
【第1回】
「自動車部品製造業」
公認会計士・税理士 中谷 敏久
-本連載の趣旨-
昨年の東芝事件をはじめ、企業における会計上の不正事例には枚挙にいとまがない。
ただし特定の取引形態や法規制、商慣習等によって「会計不正が起こりやすい業種」というものが存在し、その事例から一定の傾向を把握することは可能である。
そこで本連載では、これら会計不正が起こりやすい業種を毎回ピックアップし、その傾向と原因、防止策について紹介したい。
第1回で取り上げるのは「自動車部品製造業」である。
どのような業種業態か?
自動車部品製造業は自動車産業の中では“サプライヤー”と呼ばれ、トヨタ、日産、ホンダなど日本を代表するメーカーに部品を供給している。
メーカーは国内外の競争に打ち勝つため徹底したコスト管理をしており、サプライヤーも当然のごとく毎年コスト削減が求められる。それに対応すべく生産設備の新規導入や生産体制の見直し改善が実施され、また、国外に安い労働力を求めて、東南アジア等に現地子会社を設立し、当該工場から現地のメーカーに部品を供給する体制を敷いているサプライヤーは多い。
ただし、このような生産効率が優先されるあまり、間接コストとしての経理事務作業は軽視され、対応が後手に回るケースが多いのも現状である。
どのような不正が起こりやすいか?
メーカーから絶えず品質面及びコスト面で高いレベルを要求されるため、必然的に生産管理体制の構築は社内の優先目標のひとつとなる。また、計数管理手法として管理会計が重要視され、原価計算及び損益管理に関する会計情報には関心を持つが、逆に過去情報としての財務会計には無関心である経営者は少なくない。
そのため、業容拡大によって事務量が増加しているにもかかわらず、生産活動に支障をきたさないということでその対策を怠り、旧態依然として手作業によって会計情報を集計しているケースが見受けられる。
ここに会計不正が発生する原因がある。
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